コラム更新日:2026.08.06

日々の業務で、膨大な社内資料のリサーチや議事録の要約作業に追われ、本来のクリエイティブな仕事に時間が割けないと悩むビジネスパーソンは少なくありません。そんな課題を解決するツールとして注目されているのが、複数の資料を一か所にまとめ、AIが分析や要約を行ってくれる「AIノートブック」です。

現在、AIノートブックの代表格として、Googleが提供する「Gemini Notebook(旧称:NotebookLM)」と、Microsoftが提供する「Copilot ノートブック」の二大陣営が存在します。しかし、「どちらが自社の環境や業務フローに合っているのかわからない」という声も多く聞かれます。 本記事では、両者の違いをわかりやすく解説します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

目次

Gemini NotebookとCopilot ノートブックの違いとは?

そもそもGemini NotebookやCopilot ノートブックのようなツールは、「AIノートブック」や「AIリサーチアシスタント」などさまざまな名称で表現されますが、広義には「AIワークスペース」というカテゴリの一領域に位置づけられます。

一般的な生成AIのようにインターネット上の不特定多数の情報を無作為に参照するのではなく、ユーザーが意図的に指定した資料だけを根拠に回答を生成するのが最大の特徴です。これにより、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)を抑え、高い信頼性を保ちながら情報抽出や要約を行うことができます。

代表的なツールであるGemini NotebookとCopilot ノートブックは、どちらもこのコンセプトを共有していますが、明確な違いは「最初から参照できるデータの範囲」にあります。具体的には、自ら選んだデータをアップロードして独自の学習環境を構築するか、すでに社内に蓄積された既存の業務データを直接活用するかです。ここでは、両者の基本的な違いを機能やコスト面から比較し、それぞれの特長を解説します。

【比較表】機能・用途・コストの違い

Gemini NotebookとCopilot ノートブックはいずれも0円(無料)から利用することができますが、ビジネス用途では有料プランが推奨となります。Gemini Notebookは「Google Workspace Business Starter」以上のプラン、Copilot ノートブックは「Microsoft 365 Business Standard」 と 「Microsoft 365 Copilot Business」の導入が推奨されます。

両者の違いを以下の表に整理しました。

比較項目 Gemini Notebook Copilot ノートブック
提供元 Google Microsoft
無料版の有無 あり あり
料金 個人向け¥725/月~
法人向け(Google Workspace)¥800/月(ユーザー)~
個人向け¥21,300/年~
法人向け¥3,041/月~(ユーザー)
情報の参照元 ユーザーが指定した個別ファイル ユーザーが指定した個別ファイル+ユーザーが指定した共有場所(SharePointの「フォルダー」や「サイト」を丸ごと指定可)
対応データ形式 Googleドキュメント・Googleスプレッドシート・Googleスライド、PDF、画像、音声、Web URL、YouTube動画など Word、Excel、PowerPoint、PDF、OneNote、SharePoint上のファイルなど
1ノートブックのソース数 50~600件(プランによって変動) 300件
対応言語 80以上の言語に対応 約42言語に対応
得意な用途 リサーチ、音声や図解コンテンツの作成、専門知識のインプットなど 既存のOfficeファイルを利用した企画書作成、情報整理、社内ナレッジ共有など

※料金や仕様は2026年時点の情報を基にしています。


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Gemini NotebookはWebリンクや音声、PDFなど幅広いソースに対応しています。一方、Copilot ノートブックは主要なオフィス用文書ファイルを中心に参照できる特徴を持っています。

また、Gemini Notebookは「自分で必要なソースを持ってきて思考を深めるツール」であるのに対し、Copilot ノートブックは「すでに社内にある膨大な資料を連携させて業務を進めるツール」という明確な役割の違いがあります。

リサーチ特化型AI「Gemini Notebook」の特長

Gemini Notebookは、ユーザー自身が必要な資料を選択し、アップロードすることで「自分だけの専用AI」を構築できるツールです。数百ページに及ぶ業界レポートや特定の専門書などを読み込ませることで、その資料の範囲内でのみ回答を生成する高精度なアシスタントが誕生します。不要なノイズ情報が混ざらない設計により、新規プロジェクトの立ち上げ時や、特定のテーマについて深くリサーチしたい場面に最適といえるでしょう。

そして、集約した情報から「多彩なフォーマットでアウトプットを出力できる点」も大きな魅力です。通常の対話形式や要約にとどまらず、視覚的な樹状図として表示する「マインドマップ」や、理解度をチェックする「クイズ」、要約スライドとナレーションを組み合わせた「動画解説」などを、ワンクリックで自動生成できます。日本語を含む80以上の言語をサポートしているため、海外論文を日本語の音声で要約・解説させるといった高度な活用も容易です。

Gemini Notebookは、「多彩なアウトプットで理解を助ける、最強の学習・リサーチアシスタント」といえます。

ワークフロー統合型AI「Copilot ノートブック」の特長

Microsoftが提供するCopilot ノートブックは、Microsoft 365のエコシステムに深く統合された「AIワークスペース」です。既存の業務フォルダや各種オフィスドキュメントとの連携に特化しており、組織内に蓄積されたデータをそのまま直接活用できるのが大きな魅力です。

Word、Excel、PowerPointといった日常的に使っているOfficeファイルや、SharePointのフォルダに保存されている社内データを簡単に読み込ませることができ、業務効率を飛躍的に向上させます。

過去の会議メモや複数の資料を横断的に分析し、そこから次回会議のアジェンダ案や提案書の下書きを自動作成するといった、ビジネス文書作成の実務生産性を高める用途に適しています

また、画面が左右に分割されたワークスペースになっており、左側でプロンプトを入力し、右側で回答を確認しながら、プロンプトを少しずつ修正して再実行できるという特長があります。ソース一覧・チャット・出力を同時に確認でき、複雑なドキュメント作成作業の生産性を大きく向上させます。

Copilot ノートブックは、「Microsoft 365の資産をフル活用し、業務プロセスを標準化・自動化する、実務特化型の情報基盤」といえるでしょう。

【どちらを選ぶ?】自社の環境や業務フローに適したツールの見極め方

それぞれのツールがどのような企業や利用シーンに向いているのかを明確にします。自社の状況と照らし合わせて検討してください。

Gemini Notebookが向いているシーン:クリエイティブなリサーチと学習

Gemini Notebookは、新しい知識を習得したり、バラバラな形式の情報を整理して視覚化したりする場合に真価を発揮します。以下のような状況で活用が推奨されます。

  • Google Workspaceをメインで利用している:Google ドライブ上の各種ファイル(Google ドキュメントやGoogle スライドなど)をシームレスに取り込めるだけでなく、そこへWebサイトやPDFなどの外部情報を手軽に掛け合わせて分析することが可能です。
  • 厳密なファクトチェックを優先したい:回答には必ず参照元の引用番号が付与され、クリック一つで「ソースの何ページ目のどの段落か」まで即座にジャンプできます。これは、会計実務や法務確認のように、ハルシネーション(AIの嘘)を許さない業務において非常に強力な安心材料となります。膨大な専門書を正確に読み解き、出所を明確にしながらレポートをまとめる必要がある部門には最適です。
  • 多様な形式のデータを頻繁にリサーチ・分析したい:社外のWebサイト、PDF、YouTube動画などを活用するマーケティング、企画、研究開発などの業務に適しています。
  • 学習や知識のインプットを効率化したい:長文の資料を音声や図解に変換して直感的に理解したい場合や、難解な社内マニュアルを読み込ませ、新入社員向けに分かりやすい音声コンテンツを作成して学習効率を高めたい場合に適しています。

Copilot ノートブックが向いているシーン:Microsoft 365環境での実務特化

Copilot ノートブックは、日々の実務フローの中にAIを深く組み込み、業務を「標準化」したい企業に最適です。以下のような環境やニーズで真価を発揮します。

  • Microsoft 365をメインで利用している:既存のWord、Excel、PowerPoint、Teamsの会議メモ、SharePoint上のファイルなどをそのままシームレスに参照できます。
  • セキュリティ上、SaaSの新規導入に制限がある:Microsoft Purviewによる監査ログの追跡が可能であり、業界標準のセキュリティ認証に準拠しているため、厳格なデータ管理が求められる環境で安心して利用できます。
  • 業務を標準化したい:「カスタム手順」機能により、回答の前提条件や出力形式を固定できます。たとえば「常に当社の監査方針に基づいてリスクを抽出せよ」といった指示をAIに記憶させることで、誰が使っても同じ品質の回答が得られる「業務専用エージェント」を構築できます。

GeminiとCopilot全体の比較は以下の記事で解説しています。ツール選定の一助として、あわせてご一読ください。

Gemini Notebookを業務で活用するならGoogle Workspaceも検討しよう

Gemini Notebookは個人向けのアカウントでも利用できますが、企業が本格的に業務へ導入し、安全かつ効率的に運用するためには、ビジネス向けの「Google Workspace」環境での利用を推奨します。ここでは、法人環境でGemini Notebookを活用するメリットと、運用時のポイントについて解説します。

Google Workspaceとの組み合わせで業務に活用しやすい理由

Google Workspace環境でGemini Notebookを利用する最大の理由は、「データの安全性」と「シームレスな連携」にあります。個人版(無料版)のアカウントでは、ユーザーがアップロードしたデータが将来的にAIの学習に利用される可能性がゼロではありません。しかし、Google Workspace環境下であれば、入力した機密データや社内資料がAIモデルの学習に利用されることはないと明確な規約が適用されます。

さらに、Google ドライブ、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライドといった使い慣れたツールと直接連携できるため、資料のインポートから出力結果のエクスポートまで、一連の作業が組織内でスムーズに完結します。

たとえば、チームで共有しているGoogle ドライブのフォルダから企画書を直接読み込み、その内容を要約して別のドキュメントに瞬時に書き出すといったフローが実現可能です。これにより、組織全体のナレッジ共有が加速します。

また、Google Workspaceユーザーは登録できるソース数や質問回数の制限が大幅に緩和されます。大量のドキュメントを日常的に横断処理したい場合には、Google Workspaceの導入が不可欠です。

Google Workspaceを組織で導入・運用する際のポイント

企業がGemini Notebookを安全に導入・運用するためには、適切なルール作りと管理体制が不可欠です。まずは、Google Workspaceの管理コンソールを活用し、特定の組織部門やグループに対してのみGemini Notebookの利用を許可するなど、柔軟なアクセス制御を設定することが重要です。

また、社内データの取り扱いに関する明確なガイドラインを策定する必要があります。「入力データの機密ランクを定義する」ことが有効で、たとえばプレスリリースなどの「公開情報」、社内会議の議事録などの「社内情報」、そして顧客データなどの「極秘情報」というようにレベル分けを行い、どのレベルまでの情報をGemini Notebookに入力してよいかを社内で共有します。

定期的にノートブックを整理し、不要になったプロジェクトのデータは削除するといった運用ルールを設けることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えつつ、AIの恩恵を最大限に引き出すことができます。

「Gemini Notebook」と「Copilot ノートブック」の違いを押さえ、新しい働き方を

AIノートブックは、単なる文章作成ツールから「指定された知識を持った優秀なアシスタント」へと進化しています。

Gemini Notebookは、手動で厳選した情報を深掘りし、新しいアイデアや洞察を引き出す「思考・分析パートナー」です。一方のCopilot ノートブックは、社内の業務データを連携させて迅速に成果物へ仕上げる「実務ドキュメントの作成アシスタント」といえます。

どちらが優れているかではなく、自社のデータインフラや解決したい課題にどちらがフィットするかが重要です。まずは特定のプロジェクトや少人数のチームでトライアル導入を行い、実際の業務データを使った際の精度や使い勝手を検証してみることをおすすめします。

自社に最適なAIノートブックを選定し、組織の生産性を飛躍させる新しい働き方を実現しましょう。

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