コラム更新日:2026.08.26

Google Cloud のサービス「Gemini Enterprise」は、企業が Gemini を活用して業務プロセスを自動化する、高度な AI エージェントプラットフォームです。以前は「Google Agentspace」と呼ばれていたもので、2025 年 10 月に改称し、追加機能とともに再発表されました。

Gemini Enterprise は、個別の業務を支援する AI アシスタントに留まらず、作成した AI エージェントが社内にある大量のデータを横断して検索・分析を行い、自ら業務を遂行します。

この記事では、Gemini Enterprise の導入を検討している方に向けて、その概要、料金プラン、導入方法などを解説します。

TSクラウドロゴ

執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

※名称変更に関するお知らせ: NotebookLMは、2026年7月に「Gemini Notebook」に名称が変わりました。メディア内では旧名称が利用されていることがあります。その場合は、Gemini Notebookに読み替えてご確認ください。

目次

AI活用支援サービス for Gemini サービス詳細を見る

Gemini Enterprise とは?

Gemini Enterprise は、Google Cloud が提供する高性能な AI プラットフォームです。テキストの要約や質問の回答のような個別のタスクを処理する AI アシスタントとは異なり、社内のシステムやデータと連携して業務プロセス全体を自動化することができます。

AI エージェント作成・運用のプラットフォーム

Gemini Enterprise は、Google Cloud の基盤の上で提供される、企業データの安全な活用に特化した AI サービスです。中心となるのは、Google が提供するマルチモーダル AI 「Gemini」です。

Gemini Enterprise の特徴の一つが、ノーコードおよびローコードで自社専用の「AIエージェント」を作成・運用できるプラットフォームである点です。

AI エージェントとは、単に人間の質問に答えるだけでなく、与えられた目標に向けて自律的に思考し、情報収集、データ加工、外部システムの操作などのタスクを実行する AI システムを指します。

Gemini Enterprise と Google Workspace with Gemini の違い

Gemini Enterprise と Google Workspace with Gemini の違いについて解説します。

「Google Workspace with Gemini」は、ビジネス向けのクラウド型グループウェアサービス「Google Workspace」上で利用できる Gemini サービスです。Gmail や Google ドキュメントなど、 Google Workspace 内の各アプリと連携し「AI アシスタント」として業務効率化を実現します。

一方、「Gemini Enterprise」は、主な対象を大企業や大規模組織とし、業務フロー自動化のためのプラットフォームを提供しています。

連携範囲が Google Workspace だけにとどまらず、Microsoft 365 や Salesforce などの外部ツールとも連携可能で、社内のさまざまなツールに接続し、部署やシステムなどで分断されがちな情報を横断して検索・活用できるようになります。

比較項目 Gemini Enterprise Google Workspace with Gemini
管理基盤 Google Cloud コンソール Google Workspace 管理コンソール
対象 大規模組織、自動化・統治が必要な現場 ビジネスユーザー
主な用途 組織横断的な AI エージェント構築と運用 文書作成、メール要約、画像生成などの支援
連携範囲 Workspace + 外部 SaaS + 独自データベース 主に Google Workspace 内のデータ
カスタマイズ性 独自の AI エージェントをノーコードで構築 標準機能の利用が中心
技術的制御 VPC-SC、CMEK、ADK 等の高度な制御 エンタープライズレベルのプライバシー保護・権限管理

「Google Agentspace」 を利用していた場合はどうなる?

2025 年 以前のサービス名称である 「Google Agentspace」 は「Gemini Enterprise」へと名称変更されました。これまで分散していた AI 機能やエージェント構築ツールを 1 つの強力なプラットフォームへと統合したのが Gemini Enterprise です。Google Agentspace を契約中の企業は、Gemini Enterprise として引き続き利用可能です。アップグレードを希望する場合は、移行先や手続きについて、Google Cloud のセールス代理店に相談できます。

Gemini Enterprise の主な機能とできること

Gemini Enterprise は、最先端の生成 AI 技術を結集し高度な処理を可能にします。

マルチモーダル AI テクノロジーを使った情報処理

Gemini Enterprise の真価は、テキストデータだけでなく、画像、音声、動画など、さまざまな種類のデータを同時に読み取って処理できる「マルチモーダル AI テクノロジー」にあります。

注目すべきは、「Deep Research」や 「Gemini Notebook Enterprise」などの Google 製の事前構築エージェントにアクセスし、すぐに使用できることです。

Deep Research は、Web 上の情報や組織内の膨大なデータを自律的に検索・統合・分析するエージェントです。例えば、市場トレンドの調査や競合分析といった、従来は人間が数日かけて行っていたリサーチ業務を、数分から数時間で完了させ、詳細なレポートまで自動生成します。

Gemini Notebook Enterprise は、リサーチおよび知識アシスタントとして機能します。企業内のドキュメント、メモ、ソースをインポートし、それらのデータに基づいて正確な推論や要約、アイデア出しを行います。単なる AI チャットとは異なり、回答の根拠が常にソースに基づいているため、企業のナレッジ共有における信頼性を劇的に向上させます。

Agent Designer は、ノーコード / ローコードで、独自のカスタム エージェントを作成することができます。

外部ツールとの連携

Gemini Enterprise は、Gmail や Google ドライブなど Google の各データソースに直接アクセスできるほか、外部ツールと連携して使うことも可能です。具体的には以下のようなツールやサービスと接続できます。

  • オフィス生産性向上ツール
    Google Workspace、Microsoft OneDrive
  • 主要 SaaS およびビジネスアプリケーション
    Salesforce、SAP、Slack、ServiceNow、Jira Cloud、Confluence Cloud
  • データストア
    BigQuery など

Gemini Enterprise のプラン・料金比較

Gemini Enterprise には複数のプランがあります。

項目 Gemini Enterprise Business Gemini Enterprise Standard/Gemini Enterprise Plus Gemini Enterprise Frontline
料金
(1ユーザーあたり)
月額 21 ドル 月額 30 ドル~ オプション
主な機能 IT の設定不要で使える基本プラン。
・外部ツールに接続してワークフローを自動化
・ノーコードで 独自の AI エージェントを構築
・AI とのチャットによる検索、分析、コンテンツ作成
など
Business プランの全機能に、さまざまな機能と高度なセキュリティ・ガバナンスが追加された上位プラン。 Standard および Plus で購入できるオプションで、倉庫や店舗など現場スタッフ向け。
備考   Standard と Plus では、ユーザーあたりのストレージとデータのインデックスが異なる。  

【活用例】 Gemini Enterprise の使い方

実際の業務において、Gemini Enterprise はどのように活用されるのでしょうか。ここからは、企業における部門別の活用シーンに焦点を当て、Gemini Enterprise の活用例を紹介します。

営業・マーケティング

営業やマーケティング活動における事務作業を Gemini Enterprise で自動化して、担当者が取引の成約や ROI 向上などに集中できる環境を整えます。たとえば以下のような活用です。

  • 顧客データを、事業規模や地域などのセグメントですばやく分類する
  • 顧客の職歴や最近の記事などを分析して、共感を呼ぶトーク内容を提案してもらう
  • 次に取るべきアクションや想定される質問などを AI に提案し、商談のヒントを得る
  • キャンペーンのレポートや各種資料を要約して、会議の準備に役立てる

人事・総務

就業規則、各種手当の申請方法、福利厚生の利用手続きなど、社内に分散している情報を Gemini Enterprise で横断的に利用できるようにすることで、従業員からの質問に担当者が対応する負担を削減できます。従業員は質問の回答を即座に得ることが可能です。

他には、

  • 新入社員の情報を分析して、個別のオンボーディング資料を用意する
  • 自社の給与データを分析して、市場的水準と比較する

などにも活用できます。

財務・経理

財務・経理の情報を Gemini Enterprise で分析して、企業の意思決定を迅速化します。具体的な活用シーンとして、以下のようなことが考えられます。

  • クレジットカードの明細を分析して、異常な支出やコンプライアンス違反が疑われる取引などを確認する
  • 決算発表を要約して、業界や競合他社のトレンドをすばやく把握する
  • 財務データの分析と報告書のドラフトを作成し、資料作成にかかる時間を短縮する

など

情報漏洩対策は?セキュリティ面の安全性

大規模組織での利用を前提として構築されている Gemini Enterprise は、セキュリティやコンプライアンス担保のために、さまざまな対策が講じられています。

  • データの所有権
    Gemini Enterprise のプロンプトや出力結果などのデータは、Google ではなく企業が所有します。またデータは指定のリージョン(保管庫)で暗号化されて保管されます。
  • モデルトレーニングへの不使用
    プロンプトや出力したデータなどが、Google や他の AI モデルのトレーニングに使用されることはありません。
  • 広告利用と第三者への販売の禁止
    Google が企業のデータを広告に使用することや、第三者に販売することはありません。
  • コンプライアンス要件
    データ所在地の選択、電子ログの保存、VPC Service Controls(VPC-SC)や顧客管理の暗号鍵(CMEK)によるデータ制御などを備えています。

Gemini Enterprise を自社で導入するには?

Gemini Enterprise は Google Cloud が提供するプロダクトの 1 つであるため、導入するには Google のアカウントと Google Cloud の初期設定が必要です。

Google アカウントを開設していない企業の場合は、企業の独自ドメインで「Cloud Identity」を申し込み、ユーザーを一元管理できる環境を構築します。Google Workspace を利用している企業の場合は、Google Workspace の ID を Google Cloud に使用できます。

AI プラットフォーム「Gemini Enterprise」で毎日の業務が劇的に変わる

Gemini Enterprise は、「AI アシスタント」の枠を超え、組織全体のデータを横断して業務を自動化する「AI エージェントプラットフォーム」として、AI 活用を次のステージへと引き上げます。

エンタープライズグレードの堅牢なセキュリティとガバナンス基盤のもと、業務に必要な AI エージェントの検索、作成、管理が可能。高性能 AI が社内の膨大なデータを横断的に検索・分析し、自律的に業務を遂行することで、各部門の業務プロセスを変革し、生産性の向上が期待できます。この機会に、貴社での Gemini Enterprise 導入を検討してはいかがでしょうか。

もっと読む