NotebookLM のセキュリティ対策は万全?機密情報を保護し、情報漏洩リスクを減らす方法を解説

コラム更新日:2025.08.06

AI 活用はビジネスに不可欠な要素となりつつあります。中でも、Google の AI Gemini を搭載したノートツール「NotebookLM」は、アップロードした資料の内容のみに基づいて質問応答や文章生成ができるため、議事録の要約、社内教育、資料作成など、回答の正確性が強く求められる場面での活用が期待されています。

一方で、「入力したデータを AI の学習に使われるのでは?」「機密情報の漏洩リスクはない?」といった NotebookLM のセキュリティに関する懸念を抱く方も少なくないでしょう。

この記事では、NotebookLM の基本的なセキュリティ対策を解説するとともに、想定される情報漏洩リスクの具体的なパターンと、機密情報を保護しながら安全に活用するための具体的な方法を解説します。安全に NotebookLM を使うために踏まえておきたい内容ばかりですので、ぜひ最後までお目通しください。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

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NotebookLM 基本的なセキュリティ対策は?

前提として、NotebookLM は Google のその他サービスと同様に、データの暗号化や不正アクセス対策など、強力なセキュリティ機能で保護されています。ユーザーがアップロードしたコンテンツの所有権はユーザーに帰属しますが、Google は利用規約に基づき、サービス運営・改善のため、ユーザーコンテンツを分析しています。

その上で気になる NotebookLM 利用時のデータ保護に関する Google のポリシーは、ご利用の環境ごとに異なります。

企業向けの有料の Google Workspace アカウントで NotebookLM を利用する場合には、Google Workspace 利用規約やプライバシーハブが適用されます。NotebookLM にアップロードしたファイルや、入力したプロンプト、回答の結果を人間のレビュアーが確認することや AI モデルのトレーニングに使用されることはありません。

参考:Google Workspace「Google Workspace 利用規約

参考:Google Workspace 管理者ヘルプ「Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ

POINT

NotebookLM を個人の Google アカウントで利用し、フィードバックを送信した場合、人間のレビュアーがその内容を確認することがあるとしています。トラブルシューティング、不正使用への対応、改善のために利用される可能性があるため、個人情報など機密性のある情報は送信しないよう注意が必要です。

(参考:NotebookLM でデータを保護する仕組み

リスクはゼロ?情報漏洩リスクが高まる代表的なパターン

NotebookLM が堅牢なセキュリティ基盤を備えているとは言え、「絶対に安全」と言い切ることはできません。NotebookLM の情報漏洩リスクが高まる代表的なパターン 3つを紹介します。

アカウント情報の漏洩

最も基本的かつ重大なリスクが、NotebookLM へのログインに利用する Google アカウント自体の乗っ取りです。以下のようなケースでは、情報漏洩リスクが非常に高まるため注意が必要です。

  • フィッシング詐欺:Google のログインページを装った偽のサイトに誘導され、IDとパスワードを盗まれてしまうケース
  • パスワードの使い回し:他のサービスで漏洩したパスワードを使い回し、不正ログインの標的になってしまうケース
  • マルウェア感染:パソコンやスマートフォンがウイルスに感染し、キーボードの入力情報や保存されているパスワードが盗まれるケース

もし Google アカウントが第三者に乗っ取られてしまえば、そのアカウントで利用しているNotebookLM 内の情報(アップロードした社内情報や機密情報、AIとの対話履歴など)が筒抜けになってしまいます。利用者自身の基本的なセキュリティ意識が問われる部分です。

アクセス権限設定の不備

NotebookLM は、作成したノートブックを他のユーザーと共有できます。共有機能はチームでの共同作業に役立つ便利な機能ですが、権限設定次第で意図しない情報漏洩に繋がる危険があります。


以下のようなケースで、情報漏洩リスクが高まると言えます。

  • 共有範囲の設定ミス: 個人の Google アカウントを利用して機密情報を含むノートブックを「リンクを知っている全員」に共有設定している場合。リンクが外部に漏れれば、誰でもそのノートブックにアクセスできてしまいます。
  • 権限の過剰付与:閲覧権限だけでなく、誤って編集権限を与えてしまった場合。元の情報が改ざんされたり、意図せず内容が変更されたりするリスクが生じます。
  • 共有設定の解除漏れ:プロジェクトの終了や、メンバーの異動・退職後も、不要になったノートブックの共有設定を解除していない場合。アクセス権が不要になった人物が機密情報にアクセスできる状態が続いてしまいます。

個人アカウントの NotebookLM をビジネスで利用

利便性の高さから、会社が利用を許可していないにもかかわらず、従業員が個人の Google アカウントで NotebookLM を業務に利用してしまう「シャドー IT」や、コストの観点から会社が個人の Google アカウントの利用を推奨することは大きなリスクです。


個人アカウントの利用には、以下のような情報漏洩リスクがあります。

  • 管理の欠如:管理者は、誰が、いつ、どのような社内情報に NotebookLM からアクセスしているのか把握できません。この状況では、インシデントが発生しても原因の特定や影響範囲の調査が困難です。
  • 退職者のアクセス:従業員が退職した後も、個人アカウントには業務で利用したノートブックが残り続けます。個人の Google アカウントを会社で管理することは困難なため、退職者が機密情報を保持し続ける可能性があります。
  • セキュリティレベルのばらつき:会社が求めるセキュリティポリシーを個人のアカウントに適用することはできません。セキュリティ意識の低い従業員のアカウントが狙われ、そこから機密情報が漏洩する可能性があります。

NotebookLM に社内情報を入力する際は、必ず会社のルールに従い、許可された組織管理下のアカウントを利用することが、組織全体のセキュリティ向上に不可欠です。

組織の機密情報を保護し安全に利用するなら有料版がおすすめ

NotebookLM の情報漏洩リスクの多くは、上記の解説の通りユーザーの管理不備やシャドー IT に起因します。これらのリスクを組織的に管理し、機密情報を保護しながら安全に AI を活用するためには、個人向けのアカウントではなく、企業向けの有料プラン「Google Workspace」の導入が最適解です。

Google Workspace を利用すれば、NotebookLM でアップロードした情報、入力したプロンプト、回答の結果は、AI モデルのトレーニングに使用されることも、Google が直接確認することもありません。

Google Workspace 版の NotebookLM では、管理者が NotebookLM を利用できるユーザーを制御したり、データ損失防止(DLP)ルールを適用して機密情報の不用意なアップロードを防いだり、監査ログによってドライブ上のデータへのアクセスを追跡したりすることが可能です。

ビジネスで機密情報を扱う場合は、Google Workspace の管理下で利用することで、より高いレベルのセキュリティとガバナンス確保につながります。

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すでに Google Workspace を利用している方へ

すでに Google Workspace を契約している場合、まずは、NotebookLM の運用ルールとして、以下のような情報を確認し、ない場合はルールを定めることが重要です。

  • 情報分類の定義:どのような情報が「公開情報」「社外秘」「機密情報」にあたるのかを明確に定義し、NotebookLM で扱ってよい情報の範囲を定めます。個人情報や取引先の重要情報など、特にセンシティブなデータの取り扱いについては、特に慎重な定義が求められます。
  • 利用ガイドラインの作成:ツールの利用目的、禁止事項、共有ルールなどを具体的に定めます。

管理者は、管理コンソールから NotebookLM の利用可否を切り替えたり、前述のようなセキュリティ設定を適用したりできます。全社で利用を開始する前に、一部の部門でパイロット導入を行い、利用ガイドラインを策定しながら段階的に展開していくとよいでしょう。

TSクラウドでは、NotebookLM ほか Google の生成AI(Gemini)の組織活用を支援するサービス「Gemini活用支援パック」をご用意しています。NotebookLM の基本的な使い方や、利用する上でのリテラシー研修などにも対応可能な内容です。NotebookLM を安全に活用し、業務効率化や生産性向上を図るなら、ぜひTSクラウドの Gemini活用支援パックのご利用をご検討ください。⇒サービス紹介資料をダウンロードする

NotebookLM を安全に利用するポイント

Google Workspace の導入に加え、利用者一人ひとりがセキュリティ意識を高め、日々の使い方に注意を払うことも、情報漏洩リスクを低減させるのに役立ちます。まずは以下の3つのポイントを意識した運用を行いましょう。

多要素認証(MFA)の活用

多要素認証は、パスワードに加えて、スマートフォンアプリへの通知や SMS で送信される確認コードなど、2つ以上の要素を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。Google アカウントのセキュリティを担保するために効果的な対策と言えます。

たとえフィッシング詐欺などでパスワードが漏洩してしまっても、多要素認証を設定していれば、攻撃者は 2つ目の認証要素を突破できないため、不正ログインを未然に防ぐことができます。

関連記事:管理者が押さえるべき Google Workspace の2段階認証設定

アクセス権限の厳格な管理

NotebookLM の共有機能を利用する際は「最小権限の原則」、つまりユーザーやプログラムに、業務遂行に必要な最低限の権限のみを与える、というセキュリティの基本原則を守ることも重要です。

  • 必要最小限の共有:ノートブックの共有相手は、本当にその情報が必要なメンバーだけに限定する
  • 適切な権限設定:相手の役割に応じて、「閲覧者」または「編集者」の権限を適切に使い分ける
  • 定期的な見直し:プロジェクトの終了時やメンバーの異動時に、不要になったアクセス権は速やかに解除(共有停止)する

社内情報の取り扱いに関するポリシーの設定とリテラシー教育

組織として、NotebookLM をはじめとする AI ツールを安全に利用するための明確なガイドラインやポリシーを策定し、全従業員に周知徹底する必要があります。

定期的にセキュリティ研修会などを実施し、最新の脅威や社内ポリシーについて従業員の理解を深める機会を設けましょう。生成 AI に関するインシデントのニュースなど、世の中の動向も交えながら解説すると、より当事者意識を持ってもらいやすくなります。

情報漏洩リスクを踏まえた対策で、安全な AI 活用とビジネススピード向上を両立

NotebookLM は「入力データが AI の学習に使われない」など、ユーザーのデータを保護するための仕組みが備わっています。しかし、アカウント管理の不備や安易な共有設定、個人アカウントの業務利用など、個人の使い方次第では、情報漏洩につながるリスクも十分に考えられるのです。

これらのリスクを組織的に管理し、機密情報を守りながら NotebookLM を最大限に活用するためには、Google Workspace の導入が効果的です。管理者による一元的な制御と、利用者一人ひとりが基本的なセキュリティ対策を徹底することで、安全な AI 活用環境が実現します。恐れるだけでなく、正しく備えて安全な AI 活用への第一歩を踏み出しましょう。

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