ビジネスで役立つ Gemini のプロンプト設計テクニック
コラム更新日:2025.09.08
注目を集めている AI サービス。「期待していた回答が得られない」「効果的に活用するコツが知りたい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか?
本記事では、Google Workspace の生成 AI「Gemini」をビジネスで使いこなすためのプロンプト設計テクニックをご紹介します。適切なプロンプトには「回答精度の向上」「創造性の発揮」といった効果があり、生成 AI を有効活用するために欠かせません。
今回は、Gemini のプロンプト設計のコツとビジネスシーンでのプロンプト設計、生成 AI を活用する注意点について解説します。Gemini で適切なプロンプトを使えるようになり、ビジネスの新たな可能性を探求したい方は、ぜひ参考にしてください。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
Gemini を使いこなすならプロンプト設計が重要
Gemini は Google が開発したマルチモーダル生成 AI システムで、誰でも利用可能なチャット型 AI サービス「Gemini アプリ」や Google Workspace 上で使える「Google Workspace with Gemini」など、Gemini モデルを使用したサービスが複数提供されています。特に、Google Workspace の生成 AI Gemini は、Google の各種サービスと連携して使えるのが特徴です。
ビジネスシーンでの活用が注目されている生成 AI Gemini ですが、その効果を高めるためには、適切なプロンプト設計が欠かせません。的確なプロンプトを与えることで、より正確で有益な結果を得られます。
ビジネスにおすすめな Google Workspace の生成 AI サービス「Gemini」については、以下の記事でご紹介しています。
関連記事:Google Workspace の生成 AI Gemini とは?料金や機能、導入方法を徹底解説
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➤プロンプト設計とは?
プロンプトとは、AI システムに対する指示文のことで、適切な指示や質問を与える技術をプロンプト設計といいます。プロンプト設計は、単に指示を与えるだけでなく、AI システムとユーザー間のコミュニケーションを円滑にするための重要な役割です。プロンプト設計に磨きをかけることで、「回答精度の向上」や「創造性の発揮」が期待できます。
【Google 推奨】Gemini 回答の精度を高める 4 つの要素
Google は、Gemini 回答の精度を高めるプロンプト設計において、考慮したい要素として次の 4 つを挙げています。
- ペルソナ
- タスク
- コンテキスト
- フォーマット
ペルソナは、書き手を設定することです。例えば、「あなたはコピーライターです」「製品管理の専門家です」というように Gemini に役割を与えます。具体的なペルソソナを設定することで、Gemini からの回答が与えた役割・キャラクターに沿ったものになります。
タスクは、Gemini にして欲しいことを指します。手順のリスト化やユーザーのフィードバックの整理など、具体的にどのような作業なのか、何が目標かなどを明確に伝えることが重要です。例えば、「この資料を箇条書きで要約してください」「キャッチコピーを 5 つ提案してください」など具体的に指示することで、漠然とした回答を避け、必要な情報や結果を得やすくなります。
コンテキストは、指示の背景や状況のことで、タスクに関してどのような背景事情や状況があるのかを説明します。例えば、企画名や企画の詳細、訴求ポイントなど、事前に多くの情報を Gemini に伝えることで、回答の精度が高まります。
フォーマットは、出力の形式を指定することです。「表形式」「箇条書き」「300字以内で簡潔に」などフォーマットを指定すると、Gemini 回答の見やすさや使いやすさが向上します。
➤4 つの要素を意識したプロンプト例
ここでは、4 つの要素を意識したプロンプト例を見ていきましょう。
<プロンプト例>
出典:Google「Gemini for Business 企業向け Gemini 活用ガイド(2024年6月版)」
効果を得やすいプロンプトを書くコツ
プロンプト設計で意識したい 4 つの要素に加えて、さらに効果を高めるために実践したいコツをご紹介します。
➤専門・技術用語を使わない
専門用語や技術用語など、複雑な表現は AI システムの理解が難しい場合があります。 AI システムが意図を誤解したり、特定の分野に偏った結果になったり、期待している内容と異なる生成結果になる可能性があるため、一般的な用語を使うようにしましょう。
➤アウトプットの回答例を挙げる
プロンプト設計で、例の提示は非常に重要です。言葉だけでは伝わりにくいニュアンスを具体例を出すことで意図が明確化し、AI システムが誤解なく理解できるようになります。得たい結果を具体的な例を用いることで、理想に近いアウトプットの作成につながります。また、必要に応じて「小学生向け」「上司向け」などアウトプットの受け手を指定するのもコツの一つです。
➤追加で指示を出す
AI システムの曖昧さや誤解を解消するために、追加で指示を出し、複数回やり取りをすることで、よりユーザーの意図にあった回答が期待できます。 「意図しない回答の改善が必要」「もっと多くのアイデアがほしい」といった場合など、出力された回答への再質問や、同じプロンプトで指示を何回か試してみると、より効果的な回答を得られます。
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【業務別】ビジネスシーンでの Gemini プロンプト例
Google Workspace の生成 AI Gemini は、Gmail や Google ドキュメントなどのアプリとシームレスに連携でき、業務効率化につながります。ここからは、ビジネスシーンでの Gemini プロンプト例について、業務別でご紹介します。
Google Workspace の生成 AI Gemini の利用方法やビジネスへの具体的な活用例は、以下の記事で紹介しています。併せてご覧いただき、より効果的な AI の利用をご検討ください。
関連記事:Google Workspace with Gemini の使い方。できることは?日本語対応はいつ?
出典:Google「Gemini for Business 企業向け Gemini 活用ガイド(2024年6月版)」
➤マーケティング:コンテンツ企画案
ウェブマーケティングの担当者がコンテンツ企画案を考える際のプロンプト例です。
<プロンプト例>
<生成結果>

また、コンテンツ企画案作成のためのプロンプト設計では、以下の内容も取り入れるとよいでしょう。
- ターゲット:顧客層の詳細、その顧客層が課題としていること
- 商品の特徴:商品の特徴を箇条書きなどで整理(商品の強みや差別化ポイント、魅力)
- コンテンツの目的:ブランディング目的なのか、購買意欲の促進なのかなど
- 関連キーワード:商品に関連するキーワードをできるだけ多く書き出す
- 具体的な指示
- 制約条件の提示
- 参考例の提示
- 自由記述欄の設置
Google ドキュメントで生成 AI を使う方法は以下の記事で解説しています。
関連記事:Google ドキュメントの Gemini の使い方。AI で文章生成を時短!
➤カスタマーサービス:顧客対応
カスタマーサービス担当者の日常業務の一例として、顧客からの問い合わせやクレームに直接対応するシーンのプロンプト例です。
<プロンプト例>
1.破損した商品を受け取ったという顧客からのメールを受信。返信メールの作成を指示するプロンプトを入力
2.速達発送を使用せずにこの問題を解決する方法についてブレインストーミングをするため、追加でプロンプトを入力
➤人事マネージャー:プレゼン資料の作成
人事マネージャーの日常業務の一例として、社内ミーティングで使用するプレゼンテーション原稿作成時のプロンプト例です。
<プロンプト例>
1.プレゼンテーションで取り上げたいトピックを絞ったうえで、以下のプロンプトを入力
2.Gemini の回答をブラッシュアップするため、さらに的を絞った論点をいくつか追加して入力
3.原稿を締めくくる構成についてアイデアを求めて、追加でプロンプトを入力
➤提出資料の文章校正
資料を提出する前に、文章の校正を AI に依頼し、漢字の間違いや不適切な言い回しを指摘してもらえます。その他、文章のスタイルなどに合わせた文章への変更もプロンプト次第で可能です。 方法としては、作成した資料などの文章をコピーし、Gemini に貼り付けて校正を依頼します。
<プロンプト例>
➤生成 AI で Web 会議の背景画像を生成
背景画像を作成する際のプロンプトでは、以下を考慮して設計しましょう。注意点として、現時点(2025 年 9 月 3 日)では、画像生成は日本語対応していないため、作成したプロンプトを翻訳して入力します。
- 明確なイメージ
- イメージがあればイラストや画像を添付
- 構図やアングルを指定する
- 使用シーンやターゲット
- 制限事項を設ける:著作権や人物生成には注意が必要
Google Workspace with Gemini で画像の自動生成をする方法は、以下の記事で詳細を解説しています。
関連記事: Google Meet で AI を使う!背景の作成や翻訳機能で会議の質を上げよう
生成 AI を活用する注意点
生成 AI を活用する際に押さえておきたい注意点は次の 3 つです。
➤著作権侵害
AI は日々進化していますが、完璧ではありません。意図せず著作権を侵害してしまうリスクもあります。事前に生成したいものの著作権について調べておく必要があります。
➤生成された回答の真偽の確認
生成 AI の回答には誤った情報が含まれていることもあります。そのため、生成された回答は絶対ではなく、参考程度に留め、回答の真偽や情報元の確認を必ず行うようにしてください。
➤個人情報や機密情報の入力
生成 AI は、学習したデータに基づき、回答を生成します。そのため、個人情報や機密情報は入力しないよう注意しましょう。Gemini は個人情報や機密情報を保護するように設計されていますが、情報漏洩のリスクはゼロではありません。万が一、漏洩してしまうと情報が悪用されてしまう可能性があります。
Google Workspace の生成 AI Gemini は、Google のプライバシーポリシーのもと、入力した内容や回答データを学習しない・使用しないことが名言されています。情報漏洩などのリスク対策を徹底したうえでの生成 AI 導入は、セキュリティ面からも Google Workspace を選ぶとよいでしょう。
Google Workspace の生成 AI Gemini を効果的に活用しよう
Google が開発したマルチモーダル生成 AI システムである Gemini。ビジネスで効果的に活用するためには、プロンプト設計が重要です。プロンプト設計は、「ペルソナ」「タスク」「コンテキスト」「フォーマット」の 4 要素を意識することで、「回答精度の向上」や「創造性の発揮」といった効果が期待できます。
本記事では、ビジネスシーンで役立つプロンプト例やプロンプト設計のコツをご紹介しました。また、生成 AI を活用する注意点も参考に、生成 AI を効果的に活用して、生産性と創造性の向上を実現させましょう。
Gemini の効果的な活用方法は、プロンプト設計に限られません。TSクラウドでは、社内での生成 AI 活用を支援するサービス「Gemini 活用支援パック」を提供しています。実践的な講座で Gemini 活用の幅を広げませんか?サービスについては下記の資料で詳しく紹介していますので、ぜひご検討ください。


