NotebookLM で社内チャットボットを構築。解決できる課題と活用法
コラム更新日:2025.09.02
Google が提供するリサーチアシスタント「NotebookLM」は、特定の情報に特化したチャットボットとして活用できる優れたツールです。今回は、NotebookLM でチャットボットを構築するメリット、構築のステップや注意点、チャットボットの具体的な活用方法と解決できる課題を紹介します。Google Workspace との連携メリットについても解説しますので、貴社の業務効率化にお役立てください。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
NotebookLM とは?Google が提供するリサーチアシスタント
NotebookLM は、ユーザーがアップロードした情報源(ソース)に基づいて対話形式で応答する、リサーチアシスタントです。チャットボットを作成する機能はありませんが、質問すると AI が必要な情報を素早く見つけ出して回答を提示してくれるため、特定の業務知識に特化したチャットボットとして活用できます。
インターネット上の情報を広く集める AI と異なり、NotebookLM は指定した情報のみを調査するため、AI が誤った情報を生成する「ハルシネーション」を抑制しやすいのが特長です。
ハルシネーションとは、生成 AI が誤った情報を「あたかも真実であるかのように生成してしまう」現象のこと。NotebookLM を活用すれば、社内のマニュアルや議事録といった信頼できる情報のみを AI に読み込ませることが可能で、より正確でハルシネーションリスクが低いチャットボットを構築できます。
参考:NotebookLM とは?機能・使い方から活用事例まで徹底解説
NotebookLM で社内チャットボットを構築する 3 つのメリット
NotebookLM を社内チャットボットとして活用すると、業務効率化や生産性向上など、企業にとってさまざまなメリットがあります。主なメリットとして、以下の 3 つが挙げられます。
➤FAQ 対応の自動化
社員からの頻繁な問い合わせに、チャットボットが自動で即座に回答することで、総務や人事などの担当者の手間を削減し、コア業務への集中を促します。担当者が不在のときでも、NotebookLM なら質問・回答できるというメリットもあります。
➤知識の民主化とナレッジ共有の促進
議事録や研修資料、マニュアルといった社内情報を NotebookLM にアップロードし、ノートブックをチームで共有することで、誰もが簡単に必要な情報にアクセスできます。この手軽さから、組織内での知識共有が促進され、特に新入社員のオンボーディングや業務の引き継ぎがスムーズになります。
➤社員の生産性向上
情報を探す手間が省けるため、社員はより重要な業務に時間を充てられるようになり、組織全体の生産性向上につながります。さらに、NotebookLM は Google Workspace と連携しており、Google ドキュメントなどの各アプリとシームレスに使えるため、作業効率が飛躍的に向上します。
チャットボット構築の 3 ステップ
NotebookLM を使って社内チャットボットを構築するプロセスは、主に3つのステップで進められます。
➤1.ノートブックの作成
まず、Google のアプリランチャー(①)から「NotebookLM」を選択して、情報源を整理するための「ノートブック(②)」を作成します。
チャットボットを作るための最初のステップで、多くの人が利用することを想定して、分かりやすいタイトルをつけるとよいでしょう。

➤2.情報源のアップロード
用意したノートブックに情報源となるソースをアップロードします。対応するファイルは多岐にわたり、PDF、Google ドキュメント、Google スライド、音声ファイルなどが利用可能です。「ソース」の「追加」から、またはチャットの「ソースをアップロード」の、どちらからでもアップロードできます。
この際、従業員の個人情報など機密事項を含むものは、ソースにしないよう注意しましょう。就業規則のような社内規程は、法改正(例:ハラスメント防止、所定外労働の制限など)に対応しているかなど、アップロード前に内容を確認することも重要です。

編集権限がある場合は、チャット右上のアイコンをクリックすると「チャットを設定」が開き、会話のスタイルと回答の長さを設定できます。用途に合わせて設定すると、チャットでの対話がより効果的になるでしょう。
➤3.情報源とチャットボットの共有
ソースをアップロードしたノートブックを、社内のメンバーと共有します。共有するグループやユーザーを追加して送信することで、相手は作成したノートブックにアクセスして、質問できるようになります。
共有の権限は「閲覧者」「編集者」があるほか、アクセスできる範囲を「ノートブックすべて」または「チャットのみ」で指定できます。

チャットで生成した内容は「メモに保存」「コピー」が可能です。外部に共有したい場合は、コピーを Google ドキュメントにして、内部で精査したうえでドキュメントを共有することもできます。
参考:NotebookLM の共有機能を使いこなそう。使い方から活用方法まで徹底解説
チャットボットを構築する際の注意点
NotebookLM は、テキストベースの情報処理は得意ですが、グラフや画像の読み取りは苦手で、アップロードしても期待した回答を得られない場合があります。そのため、PDF内のグラフやスライドに含まれる画像などをチャットボットに認識させたい場合は、あらかじめテキストで数値を補足するなどの対策が必要です。
チャットボットの具体的な活用方法と解決できる課題
NotebookLM でチャットボットを構築することで、以下のような課題の解決が期待できます。テキスト資料で理解が難しいものは音声解説(ポッドキャスト)にする、アイデア出しはマインドマップを活用するなどもおすすめです。
ここでは部門別に、活用方法を見ていきましょう。
➤人事・総務部門
従業員からの福利厚生、就業規則、休暇申請方法などに関する頻繁な問い合わせを、チャットボットで解決できます。関連規程や FAQ をアップロードしたノートブックを作成し、社員が自由に質問・回答を得られるようにします。これにより、担当者は問い合わせ対応にかかる時間を削減し、採用活動や人員計画などのコア業務に集中できます。
➤営業・マーケティング部門
NotebookLM の活用で、顧客情報や過去の提案資料を探す時間のロスを削減します。顧客情報や商談議事録をアップロードし、商談前に情報を素早く整理することが可能です。また、市場調査データや過去のマーケティング資料を分析させ、企画立案のアイデア出しに活用することもできます。
➤カスタマーサポート部門
カスタマーサポートにおける、問い合わせ内容の整理や、顧客に合わせた回答の作成にも役立ちます。問い合わせ履歴や FAQ 、製品マニュアルをアップロードし、顧客からの質問内容の要約や、適切な回答案の提案をさせることができます。これにより、迅速な顧客対応が可能になります。
参考:NotebookLMの活用事例 5 選。導入メリットと注意点も解説
組織で活用するなら Google Workspace の導入がおすすめ!
NotebookLM のチャットボット活用は無料アカウントでも可能ですが、ビジネス利用にはGoogle Workspace の導入をおすすめします。
無料アカウントと Google Workspace の主な違いは以下の通りです。
- セキュリティと管理機能
無料アカウントは個人利用が想定されており、組織としての管理が困難で、情報漏洩のリスクが高まります。一方、Google Workspace の「管理コンソール」では、NotebookLM の利用も含めて組織全体のアカウントやデータを一元管理できるため、情報漏洩や不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
- ストレージ容量
無料アカウントの場合、NotebookLM にアップロードできるデータも Google アカウント全体のストレージ(上限 15GB)に含まれますが、Google Workspace は組織全体で大容量のストレージを共有できるため、容量を心配せず利用できます。
- ツール連携
Gmail、ドライブ、ドキュメントなど、Google のさまざまなツールが NotebookLM とシームレスに連携します。Google Workspace を導入することで、これらすべてのツールを統合的に利用できるため、業務効率の飛躍的な向上が期待できます。
これらの理由から、NotebookLM の利便性を確保しながら安全に利用するためには、企業全体のセキュリティポリシーを適用できる Google Workspace が必要です。
NotebookLM で企業のナレッジ共有と生産性を最大化しよう
NotebookLM は、社内情報に特化したチャットボットとして、企業のナレッジ共有と業務効率化を同時に実現可能です。FAQ 対応の自動化から部門ごとの専門的な情報活用まで、さまざまなシーンで活躍するため、企業全体の生産性向上につながるでしょう。優秀なリサーチアシスタントとして、ぜひ NotebookLM をお試しください。



