Geminiの「Gem」で毎日の業務をもっと効率化。作り方や便利な活用方法を解説
コラム更新日:2025.07.30
Gem は、Google が提供する AI「Gemini」に含まれる、特定のタスクに特化した AI アシスタントを作成できる機能です。この Gem をカスタマイズすることで、毎回詳細な指示を与える手間を省き、業務効率化を加速する効果が期待できます。
この記事では、Gem の概要から、基本的な使い方、ビジネスシーンでの活用例までを解説します。限られた時間とリソースで業務効率を最大化したい方は、ぜひ参考にしてください。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
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Gemini の「Gem」とは
Google が提供する生成 AI「Gemini」には、特定のプロンプト(AI への指示)をテンプレート化する「Gem」が搭載されています。これは、Gemini に対し「○○の条件で業務を遂行してほしい」「△△のトーンで応答してほしい」といった、生成の条件を固定する機能です。
結果は通常の Gemini と同じ AI モデルによって生成されますが、Gem で定型的なプロンプトを設定することで、毎回同じプロンプトを入力する手間を省きます。
Gem のメリットの一つは、個々の業務ニーズに特化した AI アシスタントを作成できる点にあります。たとえば、特定の書式で書類を作成する場合や、専門分野の情報を効率的に収集したい場合に、Gem をカスタマイズしておくと、通常の Gemini よりもユーザーの意図を正確に理解し、期待通りの回答を生成しやすくなります。
➤Gem の主な活用例
通常の Gemini では一からプロンプトを作成する必要があるタスクに対し、Gem はあらかじめ設定した指示(カスタム指示)によって、業務の効率をより向上させる効果があります。
ここでは、Gemならではの活用例をいくつか紹介します。
- 定型文書の作成
メール、報告書、企画書、プレスリリースといったビジネス文書を、あらかじめ設定された特定のトーンや書式、スタイルに合わせて自動生成します。 - 校正・校閲
ブランドに合わせた表現、専門用語の適切な使用、読者に響くトーンなどを指定することで、文書の誤字脱字チェックだけでなく、適切なフィードバックや提案を得られます。
Gemini 画面にテキストを入力するほか、Google ドライブにあるファイルを読み込んで校正を行うことも可能です。 - アイデア発案
新規プロジェクトや新商品キャッチコピーなどに関するブレインストーミングを行う際に、あらかじめ設定した事業フェーズや市場特性、ターゲット層などの条件に基づき、多様な視点からのアイデアを提案してもらえます。 - 翻訳
ビジネス文書やメールを他言語に翻訳(あるいは他言語から和訳)する際に、単なる直訳ではなく、専門用語や業界特有のニュアンスなどを考慮した翻訳を効率的に行います。 - 情報収集と要約
特定のテーマに関する情報を収集する際に、設定した条件に合わせて必要な情報だけを抽出し、特定の形式でレポートを生成します。リサーチにかかる時間と労力を削減し、意思決定のスピードアップにつなげます。
これらの活用例は一部に過ぎません。Gem を効果的に活用するために重要なのは、自社の業務フローを分析し、どの部分で Gem が最も効果を発揮するかを特定することです。自社のどのシーンで Gem を活用するか、具体的にイメージしてみましょう。
Gem の基本の使い方。Gem マネージャーで Gem を作ってみよう
Gemini で Gem を作成し、管理するには「Gem マネージャー」を使用します。Gem マネージャーは、作成したすべての Gem を一元的に管理し、編集や削除を行うことができる機能です。ここでは、Gem を作成する手順を紹介します。
➤ステップ1.Google が用意した Gem を使うか、専用の Gem を作るか選択する
まず、Gemini のインターフェースから Gem の作成を開始します。通常、Gemini の画面内に Gem を作成するためのメニューがあります。この画面で、「Google が作成した Gem(プリメイド Gem) 」をそのまま使用するか、プリメイド Gem をコピーして編集するか、自身で新しい Gem を作成するかを選択します。
今回は、独自の AI アシスタントを作成することを想定し、「Gem を作成」を選択した場合の流れで説明します。
➤ステップ2.新しい Gem を立ち上げ、指示を入力する
「新しい Gem の作成」をクリックすると、設定画面が立ち上がります。
ここで、作成する Gem に「名前」と「カスタム指示」を入力します。ポイントは、作成する Gem の目的を明確にすることです。
名前:
この Gem がどのような目的で使用されるのか、識別しやすい名前を付けます。たとえば、「議事録作成」「文書作成ジェネレーター」「翻訳アシスタント」などです。
カスタム指示:
この Gem が果たすべき役割について、具体的な指示を記述します。通常の Gemini でも同様ですが、詳細な指示を与えることで、より利用者の意図に沿った応答を生成できるようになります。
以下はカスタム指示の例です。すべてを入れる必要はありませんが、いくつか設定しておくと、期待する結果を得やすくなります。
- ペルソナ:Gem の役割(「あなたは○○の専門家です」「○○をサポートしてください」など)
- タスク:Gem にやってほしい作業や作成してほしいものを指示
- コンテキスト:背景情報(トーン、求める動作、品質、注意点など)
- 形式:どのような形式で回答してもらうか(箇条書き、オプションを提示など)
Gem のカスタム指示にどのような情報を含めるかは、AI を使用する目的や生成したい結果によって異なります。Google の公式サイトにカスタム指示の作成例が記載されていますので、参考にするのもよいでしょう。
参考:Gemini アプリ ヘルプ「カスタム Gem 作成のヒント」
TIPS|指示内容(プロンプト)は Gem が自動で修正してくれる
Gem に指示内容(プロンプト)を入力する際、Gemini が自動的に修正(最適化)する機能があります。これは、利用者の意図を Gemini がより正確に理解し、質の高い応答を生成するためのサポート機能です。
AI に慣れていない方でも、基本的な指示を入力すれば AI が自動的により効果的な指示に改善してくれるため、高品質な Gem を作成できます。
ただし、自動修正された内容は必ず確認し、自社の要件に合っているかチェックすることが重要です。必要に応じて、修正内容を調整することも可能です。
TIPS|参照させたいファイルを追加できる
Gem を作成する際、特定のファイルを参照させることもできます。これは、Gem に「コンテキスト(背景情報)」を与える上で重要な機能です。たとえば、社内規定や特定のプロジェクトに関する文書などを参照させることで、Gemini がその参考情報を基にした回答を生成できるようになり、会社固有の知識や方針などに基づいた、より正確な回答を得やすくなります。
この機能は、AI が事実とは異なる情報を生成する現象である「ハルシネーション(AI がもっともらしい虚偽の情報を生成すること)」の抑制にも寄与します。参照する情報を明確に指定することで、Gemini がより正確で信頼性の高い情報を提供する効果が期待できます。
➤ステップ3.指示を保存し、Gemとの会話を始める
名前とカスタム指示の入力、必要に応じたファイルの参照設定が完了したら、Gem を「保存」します。保存後、通常の Gemini のチャット画面と同様に、「プロンプトを入力」欄に指示を与えると、あらかじめ設定した指示に沿って Gem が回答を生成します。
実用において重要なのは、作成した Gem のテスト運用です。実際の業務データなどを使用して(機密性に配慮しながら)、期待する結果が得られるかを確認してみましょう。初回のテストで完璧な結果が得られなくても、次のステップで紹介する修正機能を活用することで、徐々に理想的な AI アシスタントに育てていくことができます。
➤ステップ4.指示を修正する
Gem を利用している最中に、より適切な回答を得るために指示内容を修正したいと感じることもあります。Gem は作成後も指示内容の修正が可能で、Gem マネージャーから該当のGem を選択し、指示内容を編集することで、Gem の振る舞いをさらに最適化できます。
業務フローの変更、季節的な業務変更、新しい条件の追加などに応じて、Gem の設定を調整することで、常に最適なサポートを受けることが可能です。
Gemの活用アイデア 3 選
ここでは、Gem の具体的な活用アイデアをご紹介します。「これが正解」というものはないため、これらを参考に、自身の業務に最適な Gem を作成してみてください。
➤文書作成アシスタントとして活用
Gem を文書作成に活用します。たとえば、社内向けの報告書や企画書などの定型文書を作成する場合は、以下のように設定します。
➤アイデア発案パートナーとして活用
企画会議の前や新しいプロジェクトの立ち上げなどで、Gem を活用することで、従業員だけでは思いつきにくいアイデアを効率的に引き出すことが可能です。
➤翻訳に活用
通常の Gemini に翻訳を依頼する際に、文脈や専門用語のニュアンスを伝えるための追加の指示が必要になる場合があります。Gem で自社のビジネスに即した条件を設定することで、より高品質なビジネス翻訳が期待できます。
Gem の画面には、Google が作成した Gem が掲載されています。Googleのアカウントをお持ちの方は、実際に、自身の Gemini から Gem をご覧になり、Google の Gem を編集して使ってみるのもよいでしょう。
Gem は無料アカウントでも使える?ビジネスならGoogle workspaceがおすすめ
Gemini の Gem 機能は、無料アカウントの Gemini でも利用可能です。しかし、ビジネスで本格的に Gem を活用し、セキュリティ面や機能面でのメリットを最大限に活用したい場合は、Gemini for Google Workspace の利用を強く推奨します。
無料アカウントの Gem は手軽に利用できる一方で、企業の機密情報や社内文書を読み込ませて指示を出すことには、情報漏洩のリスクを伴います。
一方、Google Workspace で提供される Gemini は、強固なセキュリティ対策が施されており、企業の機密情報を安全に取り扱うことが可能です。
Google Workspace の Gemini では、Gem 以外にも、Gmail、Google ドキュメント、スプレッドシートといった Google Workspace アプリケーションと連携し、より高度な業務効率化を実現できます。たとえば、Gmail でメールのドラフトを作成したり、ドキュメントで会議の議事録を自動生成したり、スプレッドシートでデータ分析を支援したりするなどで活用できます。
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Gem を賢く使って、業務効率を加速!
今回は、Gemini の「Gem」機能について、その定義から活用例、そして安全な利用のための Gemini for Google Workspace の推奨まで、網羅的に解説しました。Gem は、利用者の業務内容に合わせて Gemini をカスタマイズし、特定のタスクを効率化するための「パーソナル AI アシスタント」として機能します。
Gem を賢く活用することで、日々のルーティンワークの自動化、文書作成や校正の効率化、アイデア発案の促進など、多岐にわたる業務において生産性を飛躍的に向上させることが可能です。ぜひ、本記事を参考に、ご自身の業務に最適な Gem を作成し、AI の力を最大限に引き出して、業務効率を加速させてください。
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