コラム更新日:2026.02.12

「部署によって活用度に差がある」「使いこなせる社員が限られている」といった AI リテラシー格差は、多くの組織にとって共通の課題です。特に、人手不足を補うための業務自動化を急ぐ企業にとって、この格差をいかに埋めるかは重要課題といえます。

この記事では、社内で AI リテラシー格差が生まれる理由と、格差を放置することで生じる企業リスク、具体的な解消策を詳しく解説。格差を埋め、AI を組織の武器に変えるための具体的なステップがわかります。社内の二極化を解消した企業事例も紹介しますので、最後までお目通しください。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

目次

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なぜ組織内で AI リテラシー格差が広がるのか?

生成 AI に関する理解や活用スキルにおいて、個人や部署間などで差が生じる AI リテラシー格差が、課題になっている企業が徐々に増えています。「使える人」と「使えない人」の差が開く理由はさまざまで、一様ではありません。なぜ、格差は広がっていくのでしょうか。

【世代による意識の違い】

私生活や学校教育で IT に触れてきたデジタル・ネイティブな若年層は、新しいツールの導入に対して、抵抗がありません。AI による効率化をメリットと感じる傾向にあり、活用をポジティブに捉えていると考えられます。対照的に、中高年層は「どのツールがよいかわからない」「操作を教えてくれる人がいない」といった意識が障壁となって、利用が進まないという調査結果もあります。この意識の違いが、「AI を便利な道具として活用する層」と「既存のスタイルで業務を行う層」の格差につながっていると考えられます。

【組織環境による活用機会の差】

個人の意識だけでなく、会社側が「 AI 推奨」か「利用禁止・慎重」かによっても差が開きます。総務省が調査した「企業における生成AIの活用方針策定状況」によると、生成 AI を活用する方針の企業の比率は、大企業は約 56 %であるのに対し、中小企業では約 34 %となっています。経済的・人的リソースが豊富な企業ほど最新技術に触れる機会が多い(余裕がある)ということがうかがえます。

【過去の成功体験に固執】

過去の成功体験に固執し、新しい技術を「楽をしている」と否定的に捉えてしまう意識が、組織全体の変化を内部からブロックすることがあります。最新技術に抵抗はなくても、経営層が「必要性を感じない」という場合は、生成 AI サービス活用の障壁となります。

AI リテラシー格差が生じることによる企業リスク

生成 AI を「使える人だけが使う」状態を放置することは、後に以下のようなリスクをもたらします。

業務の属人化とブラックボックス化

AI 活用が一部のメンバーに偏ると、資料作成やデータ分析など、生成 AI が得意とする業務が特定の社員に集中し、属人化が進みます。 その社員が異動や離職をした際、 AI を前提とした効率的なプロセスが誰にも再現できなくなり、組織にとって機会損失となります。

生産性の二極化による競争力低下

AI リテラシーの差が大きくなると、AI を活用する社員は「時間をかけずに成果を出す」ようになる一方で、そうでない社員は「同じ仕事を手作業で行う」という構図になります。

AI を使いこなせる社員が 1 時間で終わらせる業務を、リテラシーの低い社員は従来通りの方法で時間をかけて行うという差が組織内で蓄積されると、企業全体のスピードが思うように上がらず、競合他社に勝てなくなる恐れがあります。労働コストの増大と、市場の変化に対する反応速度の低下が危ぶまれます。

管理外での AI 利用による情報漏洩

適切なリテラシー教育がないまま社員が AI を利用することも、またリスクにつながります。たとえば、企業が許可していない無料または個人契約の AI を業務利用する「シャドー AI」が問題になっています。機密情報を含む情報を無意識に AI に入力してしまうことで、AI がその情報を学習し、結果的に思わぬ情報漏洩につながるリスクがあります。

企業のシャドー AI 対策は、こちらの記事で詳しく解説しています。

AI リテラシー格差を解消するための 3 つの具体策

格差を埋めるには、組織全体の AI 活用シーンを設計し直す必要があります。

①AI 利用ルールの整備と共有

不安を解消して安全に活用できるよう、誰にでもわかるガイドラインを整備します。AI は「嘘(ハルシネーション)をつく」ということを前提に、 禁止事項を列挙するだけでなく、どのようなデータなら入力してよいか、出力結果をどのようなプロセスで確認すべきかといった具体的な「使いどころ」を明確に共有しましょう。現場が迷わず使えるよう、道筋を示すことが重要です。

②社員への基礎教育

まずは全社員に対し、 AI の仕組みや「できること・できないこと」といった基礎知識を浸透させることが不可欠です。AI は特別な人が使う魔法ではなく「便利な道具」として正しく認識させ、心理的なハードルを下げることが第一歩となります。「メールの要約」や「会議の議事録作成」など、すぐに効果を実感でき、かつリスクの少ないタスクからはじめることで、小さな成功体験を積み重ねることが効果的です。

③業務プロセスの再設計

AI を業務のどこで・どのように使うのかを、社員個人の工夫に留めず、標準の業務フローに組み込みます。便利だと実感できれば活用が進むため、たとえば、週 1 回活用例を共有する場を設ける、プロンプトをテンプレート化するなど、すでに活用している社員個人のナレッジをチーム全体の資産に変えることも、自然な格差策定につながります。

Google Workspace なら AI が特別なツールから「日常の道具」に

Google Workspace とは、メール、オンライン会議、クラウドストレージなど、ビジネスに必要なツールを 1 つに統合したクラウドサービスです。Google Workspace の生成 AI Gemini は、普段業務に利用するメールやチャットなどのアプリケーション上で、Gemini を呼び出せます。ツールの切り替え不要でシームレスに AI を利用できるため、新しいアプリを覚える負担を最小限に抑制。アシスタント感覚で日常業務へ無理なく浸透させられます。

▼TSクラウドは、導入から活用浸透までをトータルサポート。組織全体の底上げを一貫して支援します。まずは貴社の状況や課題をお聞かせください。

組織の AI 活用で成功した企業事例

AI を活用して、AIリテラシーの二極化の解消に成功した企業の事例を紹介します。

生成 AI 活用の「二極化」から脱却|株式会社ヘルシーパス 様

医療機関用のサプリメントを販売する株式会社ヘルシーパスは、AI の活用層と未利用層の 二極化が進んでいることを課題視。AI に対するリテラシー格差が、根本原因だと考えていました。これを解消するため、全社員を対象に TSクラウド の Gemini 活用支援サービスを利用。AI の基礎から高度なプロンプト技術まで体系的に学びました。

結果、それまで AI を使用していなかったスタッフが、月 300 回近く使用するほどに変革。さらに、Gemini を活用した業務自動化(GAS 生成)や、多様な話題の出たミーティング議事録を NotebookLM に読み込ませてランディングページをつくるなど、現場主導の DX が加速しました。

AI リテラシー格差を解消して、生産性の二極化を防ごう

AI リテラシーの格差は、放置すれば企業を衰退させかねないリスクにつながりますが、全社で向き合えば生産性向上への足がかりとなります。 一部の社員に頼る「個人任せ」ではなく、全社で AI を使いこなす基盤を築いて格差を解消していくことで、企業の競争力を高めます。まずは日常の業務プロセスを確認して、誰もが AI を活用できる環境を目指していきましょう。

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