コラム更新日:2026.07.08

働き方の多様化やテレワークの普及に伴い、従来のオフィス内と社外に境界線を引く「境界型セキュリティ」だけでは、社内の重要なデータを守ることが難しくなっています。多くの組織、特にセキュリティ対策へのリソースが限られる中小企業において、巧妙化するサイバー攻撃や情報漏洩のリスクに対する危機感がいっそう高まっているのではないでしょうか。

特に、場所を選ばない働き方を実現するためにクラウドツールの導入が急速に進む一方で、社外からのアクセスに対する安全性をどのように確保すべきか、頭を悩ませる企業が増えています。

そのなかで、「すでに導入しているGoogle Workspaceで、ゼロトラスト環境を構築できるのか」「専門知識や社内リソースが足りないなかで、正しく設定・運用できるのか」という具体的な解決策を探している担当者の方も多いはずです。本記事では、Google Workspaceを活用したゼロトラスト環境構築の有効性や、それを支える主要機能、自社に最適なプラン選びのポイントを詳しく分かりやすく解説します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

目次

Google Workspaceでゼロトラストは実現できる?

従来の境界型セキュリティに限界を感じ、新たな対策を模索する中小企業が増えています。しかし、導入に必要な専門知識の不足や、日々の運用工数の増加に頭を悩ませる担当者の方も多いのではないでしょうか。Google Workspaceの適切な活用により、きわめて強固なゼロトラスト環境を構築することが可能です。ここでは、まずGoogleWorkspaceの概要とGoogleWorkspaceがおすすめな理由について解説します。

ゼロトラストについて詳しく知りたい方は「ゼロトラストネットワークとは?安全なクラウド移行で管理を楽に」をご一読ください。

Google Workspaceとは?

Google Workspaceとは、ビジネスに必要なメールやカレンダー、チャット、オンラインストレージなどが一体となったクラウド型のグループウェアです。あらゆる業務ツールがクラウド上で統合されているため、中小企業においても場所を選ばない柔軟な働き方を実現するために広く活用されています。

すべてのデータがクラウド上で一元管理されるからこそ、高度なセキュリティ対策をスムーズに実装できる基盤としての側面も持っています。たとえば、Google ドライブを活用すれば、ファイルの閲覧権限や共有範囲をアカウントごとに細かく設定することができ、組織外への不要な情報流出を防ぐ基本的な対策が最初から備わっている点が大きな特徴と言えます。安全な業務環境の土台となるサービスです。

ゼロトラスト実現になぜGoogle Workspaceがおすすめなのか

ゼロトラストとは「すべてを信頼せず、常に検証する」という先進的なセキュリティの考え方です。Google Workspaceがおすすめな理由は、外部からのサイバー攻撃だけでなく、内部不正に対する強力な対策が標準で組み込まれている点にあります。

具体的には、管理者による厳格な権限管理、ユーザーの操作ログを詳細に記録・監査する機能、データ共有範囲の制限など、内部からの情報流出を防ぐ仕組みが網羅されています。たとえば、退職者のアカウント停止やアクセス権変更も一括で行えるため、悪意ある持ち出しや誤操作のリスクを最小限に抑えられます。柔軟な働き方を安全に支えるうえで、Google Workspaceはまさに最適な選択肢となり得るでしょう。

Google Workspaceのゼロトラストを支える3つの主要機能

Google Workspaceには、ゼロトラストの核心となる高度なアクセス制御やデータ保護の機能が備わっています。デバイスの状態やアクセス元の環境を常に検証し、情報の流出を未然に防ぐための3つの主要な仕組みについて、それぞれの役割を解説します。

コンテキストアウェアアクセス(CAA)による動的なアクセス制御

コンテキストアウェアアクセス(CAA)とは、ユーザーのIPアドレスやデバイスのセキュリティ状態に応じて、アクセス権を動的に制御する機能です。GoogleWorkspaceでは、以下のような「コンテキスト」をリアルタイムに評価し、アクセスの可否を判断します。

  • ユーザーの属性 :どの部署やグループに所属しているか
  • 場所 :オフィスのIPアドレスからか、自宅からか
  • デバイスの状態 :会社所有のPCか個人所有のスマートフォンか、OSは最新版か、暗号化されているか
  • 時間 :勤務時間内か、深夜か など

そのため、万が一社員のIDやパスワードが外部に流出してしまったときでも、未承認の社外端末や危険なネットワークからのアクセスを自動的に遮断します。これにより、アカウントの乗っ取りや社外での不正なデータ閲覧リスクを低減できます。

さらに、特定の時間帯や特定の国からのアクセスのみを許可するといった詳細なポリシー設定もできるため、自社の運用ルールに合わせた柔軟かつ強固なセキュリティ体制を無理なく構築できるでしょう。

MDMによる会社所有デバイス・個人端末の制限と管理

MDMとは、「モバイルデバイス管理(Mobile Device Management)」機能のことです。高度な管理機能を使い、会社支給端末の統制や個人端末「BYOD(Bring Your Own Device)」の利用制限が行えます。たとえば、社員がスマートフォンを外出先で紛失したときには、管理者が遠隔操作で端末内の業務データを消去できます。

また、セキュリティ対策が不十分な私物端末からのデータ持ち出し(シャドーIT)や、ウイルスに感染した個人端末を経由した社内ネットワークへの侵入リスクを回避することが可能です。これにより、業務の利便性を損なうことなく、私物端末を業務で安全に活用するうえでの大きな安心材料となります。

DLP(データ損失防止)による情報漏洩対策

DLP(データ損失防止)は、社外秘ファイルや顧客の個人情報など、事前に指定した重要データの外部流出を自動で検知してブロックする機能です。たとえば、社員がうっかり社外への共有リンクを設定してしまったり、メールに機密ファイルを添付して誤送信したりするような、ヒューマンエラーに起因する重大な情報漏洩リスクを未然に回避します。

クレジットカード番号やマイナンバーなどの特定の文字列を自動で識別して制限をかけることもできるため、管理者の目視による確認負担を大幅に抑えながら、確実で隙のないデータ保護を実現することが可能です。

Google Workspaceのセキュリティ豆知識

ゼロトラスト環境への第一歩として、まずは「2段階認証プロセス」の義務化から始めることがおすすめです。これだけでも、パスワード漏洩による不正アクセスのリスクを大幅に低減させることができます。特別なコストをかけずに今すぐできる対策として、ぜひ試してみてください。

【比較】Google Workspaceのプラン別セキュリティ機能

コンテキストアウェアアクセスやDLPなど、ゼロトラストの構築に必要な高度なセキュリティ機能はGoogleWorkspaceでは上位プランに集約されています。自社の規模と要件に合わせて最適なプランを選べるよう、機能の差に注目して整理しました。

  Business Starter Business Standard Business Plus Enterprise Standard Enterprise Plus
エンドポイント管理(MDM) 基本 基本 高度 エンタープライズ エンタープライズ
データ損失防止(DLP)
コンテキストアウェアアクセス(CAA)
監査ログ(基本)
Vault

Business Plusプランでも一部の管理機能は利用できますが、高度なアクセス制御やDLPをフルに活用して完全なゼロトラスト環境を目指す場合は、Enterprise Standardプラン以上の選択が必要となります。自社の予算とセキュリティ要件を比較し、慎重に検討することが大切です。各プランに搭載されている具体的なセキュリティ機能の細かな違いや、自社のセキュリティ要件を満たす最適なプランの見極め方については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。プラン選びで失敗しないための参考に、ぜひあわせてご覧ください。

自社だけでセキュリティ機能を設定する際のリスクと注意点

専門知識がないまま自社だけでセキュリティ設定を行おうとすると、思わぬトラブルを招くことがあります。あらかじめ押さえておくべき具体的なリスクについて、3つの視点から詳しく見ていきましょう。

設定ミスによるセキュリティホールの発生

Google Workspaceの高度なセキュリティ機能は、適切な設定を行って初めて真価を発揮します。しかし、チェック項目の意味を正しく理解していないと、重大な設定ミスを見落とし、逆にセキュリティホール(脆弱性)を生み出してしまう危険性があります。「守れているつもり」で運用している状態こそが最も危険であり、気づかないうちに機密データが外部に露出してしまうリスクを否定できません。事実に基づいた正確な知識がないまま設定を運用することは大きなリスクを伴うことがあるため、事前の確認が不可欠です。

厳しすぎる制限による業務効率の低下

ゼロトラストの構築を急ぐあまり、安全性を意識しすぎてアクセスポリシーを厳しく設定しすぎてしまい、現場の利便性が著しく低下するリスクがあります。「社外からのアクセスがいっさいできない」「承認手続きが多すぎて業務が進まない」といった事態を招くと、結果として現場の社員がルールをすり抜けて私物端末や個人クラウドを使う「シャドーIT」の温床になりかねません。セキュリティと業務効率のバランスを考慮した、適切なルール設計が運用の成功に繋がります。

運用・ポリシー管理の複雑化と形骸化

セキュリティ環境の構築は「一度設定したら終わり」ではありません。組織変更や社員の入退社、新しいデバイスの追加などに合わせて、継続的にポリシーを更新・維持していく必要があります。しかし、これらを自社だけで運用し続けると、設定の複雑さから管理工数が雪だるま式に膨れ上がってしまいます。次第に日々のアップデートが追いつかなくなり、最終的には設定が形骸化(機能していない状態)してしまうリスクがあります。導入後、数か月が経過した段階で運用の壁にぶつかる企業は非常に多いため、長期的な運用体制をどう確保するかも含めて検討しなければなりません。

Google Workspaceのセキュリティ豆知識

セキュリティ設定を見直す際は、一気にすべての制限をかけるのではなく、まずは一部のテストグループで運用を試してみることがおすすめです。現場の業務への影響を最小限に抑えながら、想定外の設定ミスをあらかじめ防ぐことができます。

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Google Workspaceを活用し安全な働き方を実現しよう

本記事では、Google Workspaceによるゼロトラスト環境構築の重要性と核心機能、導入時の注意点を解説しました。多様な働き方を安全に支えるためには、適切なプラン選びと正確な初期設定が欠かせません。しかし、自社だけで安全かつ正確に環境を構築・維持するための専門知識やリソースが不足している場合は、リスクを抑えて効率的に導入するためにも、まずは専門のパートナーへ相談してみることをおすすめします。プロの伴走支援を受けることで、運用工数の負担を最小限に抑えながら強固なセキュリティを実現できます。

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