コラム更新日:2025.08.22

Google Workspace のセキュリティ対策は、技術的な側面だけでなく、社員一人ひとりの意識が不可欠です。本記事では、社員が無自覚に発生させてしまうセキュリティリスクに焦点を当て、それらを軽減するための効果的な社員教育プログラムの構築方法を解説。企業の情報資産を保護するために必要な社員のセキュリティ意識向上と具体的な対策ステップについてご紹介いたします。

社員教育とあわせて、セキュリティの基盤となるGoogle Workspace 導入時の初期設定や計画も非常に重要です。Google Workspace 導入の具体的な手順や、他社の成功事例を網羅した資料 3 点セットをご用意しましたので、本記事とあわせてぜひご活用ください。
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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

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Google Workspace のセキュリティ対策、社員の意識が鍵となる理由

Google Workspace は、生産性やコラボレーションを飛躍的に向上させる強力なツールです。しかし、その利便性の裏側には、常にセキュリティリスクが潜んでいます。多くの企業で、不正アクセスや情報漏えいを防ぐために、2段階認証や、MDM (モバイルデバイス管理)といった技術的な対策が講じられています。これらの対策はもちろん重要ですが、それだけでは十分ではありません。

なぜなら、セキュリティリスクの多くは、社員一人ひとりの行動や意識に起因しているからです。どんなに強固なシステムを構築しても、社員が無意識のうちにセキュリティホールを作り出してしまっては意味がありません。パスワードの使い回し、フィッシングメールへの安易な返信、機密情報を誤った公開設定にしてしまうといったヒューマンエラーは、技術的な対策では防ぎきれない、危険なリスク要因です。

Google Workspace のセキュリティを高めるためには、社員教育を通じてセキュリティ意識を向上させ、適切な行動を習慣づけることが不可欠。社員一人ひとりが「自分の行動が会社のセキュリティを守る」という当事者意識を持つことこそが、最も効果的で根本的なセキュリティ対策と言えるでしょう。

社員が無意識に招くセキュリティリスクとは?

Google Workspace を利用する中で、社員が意図せずセキュリティリスクを招いてしまうケースは少なくありません。ここでは、3つのセキュリティリスクについて詳しく見ていきましょう。

  • パスワードの使い回しや安易な共有
  • 不審なメールやフィッシング詐Gへの対応
  • 共有設定の誤りによる情報漏洩

パスワードの使い回しや安易な共有

社員の中には、複数のサービスで同じパスワードを使い回してしまう人もいるでしょう。万が一、1つのサービスからパスワードが流出した場合、Google Workspace を含む他のサービスも不正アクセスされる危険性が高まります。

Google Workspace では、管理コンソールでパスワードの長さや使用する文字の種類を強制でき、安全性を高めることができます。しかし、最終的には社員自身がパスワードの重要性を理解し、責任を持って管理することが重要です。

不審なメールやフィッシング詐欺への対応

サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しており、特に注意が必要なのが、フィッシング詐欺です。Google Workspace は、Gmail の強力なフィルタリング機能によって多くのスパムメールやフィッシングメールをブロックしますが、100 % 防げるわけではありません。社員が「おかしい」と気づかずに不審なメールに記載されたリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりすることで、マルウェアに感染したり、情報が盗まれたりするリスクが生じます。

共有設定の誤りによる情報漏洩

Google ドライブ や Google ドキュメント などの共有機能は、Google Workspace の大きなメリットです。しかし、この共有設定を誤ると、機密情報が意図せず社外に公開されてしまう危険性があります。

たとえば、社内でのみ共有すべきプロジェクトの資料を「リンクを知っている全員」に公開してしまったり、退職した社員のアカウントが共有設定されたまま放置されたりするケースがあります。このようなヒューマンエラーによる情報漏洩は、企業の信頼を大きく損なう事態に発展しかねません。

TSクラウドが提供している「セキュリティクイック診断レポート」では、上記のようなセキュリティリスクをはじめ、アカウントやメール、アプリのセキュリティホールや、ファイル共有など、お客様が今すぐ見直すべき最重要な12項目の現状を診断し、具体的なネクストステップを提示。スピーディーに組織のセキュリティレベルを引き上げることが可能です。

Google Workspace のセキュリティを高める社員教育のポイント

Google Workspace のセキュリティを強化するためには、社員一人ひとりの意識改革が不可欠です。ここでは、効果的な社員教育を行うためのポイントを解説していきます。

全社員に徹底する情報セキュリティポリシーの策定

まずは、企業全体で遵守すべき情報セキュリティポリシーを明確に策定し、全社員に周知徹底することが重要です。情報セキュリティポリシーは、情報の機密性や完全性、可用性を維持していくために定める組織の方針や行動指針をまとめたもので、一般的に「基本方針」「対策基準」「実施手順」の3階層で構成されています。このポリシーには、以下の項目を盛り込むとよいでしょう。

基本方針 目的:なぜ情報セキュリティが必要なのか、その重要性を提示
適用範囲:ポリシーが適用される組織や人々、情報資産を定義
情報セキュリティの考え方:組織全体として、情報セキュリティをどのように捉えているか、経営者のコミットメントを表明
対策基準 具体的なルールの明示:基本方針を遵守するための、具体的なルールやガイドラインを策定

【具体的なルールの例】

  • パスワード管理
  • ユーザーアカウントの管理
  • アクセス権限の設定ルール
  • Google ドライブ などの共有設定のルール
  • フィッシング詐欺や不審なメールへの対応方法
罰則規定:ポリシーに違反した場合の罰則を明記
実施手順 具体的なマニュアル:対策基準を実践するための、より詳細な手順やマニュアルを策定
担当者と責任:各ルールの実施責任者や担当者を明示


策定したポリシーは、社内ポータルなどでいつでも確認できるようにしておきましょう。また、入社時の研修で必ず説明し、定期的に内容を見直すことも大切です。

実践的で効果的な教育プログラムの構築

セキュリティポリシーを策定するだけでなく、社員がそれを理解し、実践できるような教育プログラムを構築することが重要です。以下に、教育プログラムを構築するための3つのフェーズを紹介します。

フェーズ①現状把握

教育プログラムを開始する前に、まず自社のセキュリティ対策の現状を把握しましょう。具体的には、以下のような項目についてチェックします。

  • 社員のセキュリティ意識:「セキュリティについて不安に感じていることはあるか?」「パスワード管理はどのように行っているか?」といったアンケートを実施
  • セキュリティ事故の有無:過去に情報漏洩や不正アクセスなどの事故が発生していないかを確認
  • Google Workspace の利用状況:Google ドライブ の共有設定が適切か、2段階認証の利用率はどれくらいかなどをチェック

現状を把握することで、自社が抱える課題や、優先的に教育すべき項目が明確になります。

フェーズ②具体的な教育コンテンツの選定

現状把握の結果に基づいて、具体的な教育コンテンツを選定します。たとえば、パスワードの使い回しが多い企業であれば、パスワードの重要性を解説するコンテンツを重点的に提供するといった具合です。

Google Workspace の機能に特化した教育コンテンツ内容の例として、以下のようなものが考えられます。

  • パスワード: パスワードの扱いについての注意点や、2段階認証の設定方法と重要性
  • Google ドライブ : 共有設定に関する注意点
  • Gmail : セキュリティ機能と設定方法
  • モバイルデバイスのセキュリティ: MDM(モバイルデバイス管理)の重要性や、デバイス紛失時の対応フロー
  • セキュリティインシデント発生時の対応訓練

これらのコンテンツは、座学だけでなく、実際に手を動かして設定するハンズオン形式にすると、より効果的です。

フェーズ③多様な形式で継続的な教育を実施

一度きりの研修では、知識は定着しません。社員が常にセキュリティを意識できるように、多様な形式で継続的な教育を実施しましょう。

  • 定期的な研修: 半年に一度、あるいは年に一度のペースで、最新のサイバー攻撃の事例などを交えた研修を実施
  • e ラーニング: 自社のペースで学べる e ラーニングシステムを導入
  • 社内広報: セキュリティに関する注意喚起を社内メールやポータルで定期的に発信
  • 模擬訓練: フィッシング詐欺メールの模擬訓練を実施し、社員の対応力をチェック

このような継続的な取り組みによって、社員のセキュリティ意識は徐々に向上し、習慣として定着していきます。

効率的にセキュリティ対策を進めるなら専門家のサポートを!

「社員教育の重要性は理解できたが、自社だけで実施するのは難しい…」と感じる企業も少なくないでしょう。特に情報システム部門の担当者が少ない企業では、日々の業務に加えて、セキュリティポリシーの策定や教育プログラムの構築、運用まで行うのは大きな負担となります。

そんなときは、Google Workspace に詳しい専門家のサポートを受けることも一つの有効な手段です。TSクラウドが提供している「Google Workspace セキュリティ設定支援パック」では、専門家による診断で課題を明確化し、推奨値を提案。セキュリティ診断とあわせて管理者が主体的に学べる講義を実施し、システム担当者が自身で運用を行えるよう、伴走サポートいたします。
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Google Workspace を最大限に活用するために、社員へのセキュリティ教育は不可欠

Google Workspace は、チームの生産性を向上させる強力なツールです。しかし、その利便性を安全に享受するためには、技術的な対策だけでは不十分であり、社員一人ひとりのセキュリティ意識の向上が不可欠です。

パスワードの使い回し、フィッシング詐欺への対応、共有設定の誤りといったヒューマンエラーは、どんなに強固なシステムをもってしても防ぎきれません。しかし、社員教育を通じて、セキュリティポリシーを周知徹底し、実践的な教育プログラムを継続的に実施することで、これらのリスクを大幅に軽減できます。

もし、自社での教育体制の構築が難しい場合は、専門家のサポートを検討することも有効な選択肢です。社員教育は、単なるコストではなく、企業の資産と信頼を守るための重要な投資。社員が安心して Google Workspace を使いこなせる環境を整えることが、企業の成長にもつながっていきます。

社員が安心して Google Workspace を使いこなし、企業の成長に繋がる環境を整えるために。TSクラウドでは、セキュリティに関する研修や、導入時のセキュリティ強化支援など、専門スタッフがサポートします。まずは情報収集のつもりで、お気軽にお問い合わせください。

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