コラム更新日:2025.07.14

多くの企業で導入が進められている Google Workspace ですが、「導入後に困るかもしれない」「本当に社内に浸透するのか」といった不安を感じる方もいるでしょう。

この記事では、Google Workspace 導入時によくある失敗例と、導入を成功させるためのポイントを分かりやすく解説します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

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Google Workspace 導入の失敗例

Google Workspace は、多くの企業で業務効率化や共同作業を促進するために導入が進められています。しかし、進め方によっては期待した効果が得られず、かえって業務の混乱や効率の低下を招くケースも少なくありません。

自社の導入を成功させるために、まずは、代表的な失敗例を把握しておきましょう。

導入後も旧システムを使い続ける

Google Workspace を導入したにもかかわらず、従業員が以前から慣れ親しんだ旧ツールを使い続けてしまうことは、よくある失敗例の1つです。これは、Google Workspace 導入の目的が明確に共有されていなかったり、新しいツールへ移行するメリットが十分に伝わっていない場合に起こりがちです。中には、個人の無料アカウントを使い続けているケースもあります。

具体的には、Google カレンダーがあるのに他の予定表ツールで会議を設定する、Google ドライブではなく個人の無料アカウントでファイルを共有するといった例が挙げられます。このような状況が続くと、業務が非効率なだけでなく、セキュリティ上でも問題です。

社内情報があちこちに分散して必要な情報が見つけにくくなるだけでなく、無料アカウントは管理者が権限を制御できず、誰が何にアクセスできるのか不明瞭なまま業務が行われてしまうため危険です。

結果として、せっかく導入した Google Workspace を十分に活用できず、業務の非効率性を解消できないまま、導入効果が薄れてしまうことになります。

ファイルストレージの二重運用が長期化する

Google Workspace 導入後も、従来のファイルサーバーと Google ドライブの両方を使い続ける「ファイルストレージの二重運用」が長期化するというケースも避けたい失敗例です。二重運用となる期間は必要ですが、運用面だけでなくコスト面でも負担が大きくなる要因となります。

この問題は、旧サーバーのデータ量が膨大で移行に時間がかかったり、特定の部署や個人が従来の利用方法に固執したりする場合に起こりやすいです。

二重運用が続いて、目的のファイルが旧サーバーにもGoogle ドライブにもあり「どれが最新版なのか分からない」という事態が発生すると、探す手間が増えて業務効率が低下します。たとえば、営業部門は Google ドライブで顧客情報を共有している一方で、経理部門では従来のサーバーで請求書を管理しているといった状況では、情報管理が複雑になるでしょう。

移行計画の不備で業務に支障をきたす

長年使い慣れた旧システムから Google Workspace への移行は、綿密な計画が重要です。しかし、十分な準備なしに移行を進めると、大きな混乱が生じ、日々の業務に深刻な支障をきたすことがあります。

たとえば、旧システムに保存されていた大量のデータがうまく移行できない、ファイル形式の違いによって Google Workspace 上で開けない資料が発生するなどです。特に、メールやカレンダーなど、日々の業務に深く関わる機能の移行は、事前に詳細な移行計画を立て、移行前にテストを行うことも大切です。

また、これまでの業務フローに Google Workspace の機能をどのように組み込むか、具体的なイメージが社内で共有されていないと、従業員が戸惑いを感じ、業務が滞ってしまうことも考えられます。このような状況は、社員のストレスを増大させて生産性低下につながるだけでなく、Google Workspace への不信感さえ生じさせてしまう原因となります。

ツールの知識不足で活用が進まない

Google Workspace の導入は目的ではなく、業務を効率化する手段です。従業員がツールの基本的な使い方や応用方法を十分に理解していないまま導入すると、その導入効果を実感しにくく、期待したほど活用が進まないという事態に陥りがちです。

具体的には、Google Meet の基本的なビデオ会議機能しか知らず、会議の録画機能やブレイクアウトルーム機能を活用できていなかったり、Google ドキュメントやスプレッドシートの共有機能を活用できず、従来通りメールでファイルを添付してやりとりを続けていたりするなどです。Google Chat でグループチャットを活用することでメールのやりとりを減らせるにもかかわらず、メールでのやりとりが主体となっているといった状況も考えられます。

これらの状況では、Google Workspace が提供する多くの便利な機能が活用されず、導入費用に見合った効果を感じにくいでしょう。

運用ルールが不十分で混乱が生じる

Google Workspace を導入した直後に起こりやすいのが、「フォルダがいくつもできて、どれが正しいのか分からない」「アクセス権の設定がバラバラで、ファイルが開けない・編集できない」といった混乱です。

このようなトラブルの多くは、運用ルールがあいまいなことが原因です。たとえば、フォルダ名のつけ方や、アクセス権の設定方針が決まっていないと、利用する人ごとに管理方法が違い、ファイルの分散や重複が起きやすくなります。

Google Workspace の導入を成功させるポイント

Google Workspace は高いセキュリティ機能や柔軟な共有設定を持っていますが、適切な運用ルールが確立されていないと、情報漏洩や不正アクセスなどセキュリティ上の問題や、日々の業務における混乱が発生する恐れがあります。

そのため導入には、以下のようなポイントに注意が必要です。

トップが「本気」で取り組むメッセージを発信

Google Workspace を導入するにあたって、経営層や部署のトップがその重要性を理解し、積極的に推進する姿勢を示すことは重要です。単に「便利だから使う」ということではなく、「業務効率化のために全社で取り組む」と明確なメッセージを発信することが、社内の理解と協力を得るための土台となります。

現場の声を取り入れた導入設計

Google Workspace の導入設計は、IT 部門や総務担当のみで進めず、現場の意見を十分に聞き入れ、実際の業務フローに即した形で進めることがとても重要です。現場が感じている課題や不便さを無視して導入を進めると、「また使いにくいツールを押しつけられた」と感じられてしまい、導入に対するモチベーションが下がる恐れがあります。

導入を検討する段階で、各部門の業務フローをヒアリングし、Google Workspace のどの機能が有効か、どこに不安があるのかを把握することが大切です。これにより、現場に合った導入設計ができ、運用の初期段階でのつまずきを防ぎます。

移行ルール・管理ポリシーの徹底

Google Workspace へのスムーズな移行と安全な運用のためには、明確な移行ルールと新しい管理ポリシーの策定・周知が欠かせません。たとえば、「ファイルは全て共有ドライブに保存する」「個人アカウントでの業務利用は禁止する」といったルールを明文化し、全社で共有します。必要に応じて研修を実施し、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。

あいまいなルールのまま導入すると、使い方が人によって異なり、情報漏洩や混乱の原因になります。セキュリティを確保しつつ混乱なく新システムへ移行するためには、システム管理者だけでなく、各部門のリーダーにもポリシー遵守を促す体制づくりが必要です。

共有ドライブの権限管理を徹底

Google Workspace を安全かつ効率的に運用するには、共有ドライブの権限管理を徹底することも重要です。共有機能は便利ですが、設定を誤ると情報漏洩やデータ損失につながります。

たとえば、「リンクを知っている全員が閲覧可能」といった広範な共有設定は、機密情報が流出する恐れがあります。部署やプロジェクトごとに共有ドライブを作る際は、「編集者」「閲覧者」などの役割を明確に定義し、不要なメンバーに編集権限を与えないよう厳格な管理が不可欠です。

また、共有設定やアクセス権限は、人事異動やプロジェクトの進行、外部連携の変化などに合わせて定期的に見直すことも大切です。

Google Workspace には強力な検索機能があり、ファイルのバージョン管理も自動で行われるため、従来のファイルサーバーのような厳密な命名ルールや階層構造が必須ではないという側面もあります。しかし、効率的なファイルアクセスとセキュリティの両立には、フォルダ構造の最低限のルールづくりと、何よりも権限管理の徹底が重要です。これにより、安全かつスムーズな情報共有が可能になります。

社内研修と問い合わせ窓口の設置

Google Workspace の導入効果を最大限に引き出すためには、従業員がツールを使いこなせるようになるための十分な社内研修と、不明点が発生した際にすぐに相談できる問い合わせ窓口の設置が不可欠です。特に、IT に詳しくない部署や従業員は、ツールに対する心理的なハードルが高いため、不安を取り除くことも大切です。操作マニュアルの配布やサポート担当の配置など、移行計画の中に研修とフォロー体制を盛り込んでおきましょう。

社内研修では、各ツールの基本的な使い方だけでなく、従業員が「自分たちの仕事にどう活かせるか」をイメージできるように、具体的な業務シーンでの活用方法を例示しましょう。たとえば、Google ドキュメントを使った共同編集のデモンストレーションや、Google Meet によるリモート会議のロールプレイングなど、実際の業務に即した内容を取り入れると理解度を高められます。

また、導入直後や運用中に発生するであろう疑問やトラブルに対応できるよう、ヘルプデスクの設置や、よくある質問(FAQ)をまとめた社内ポータルサイトの開設、チャットでの Q&A 対応なども検討するとよいでしょう。

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導入支援サービスを活用して計画的に導入する

Google Workspace の導入は、データ移行、既存システムとの連携、セキュリティポリシーの策定、従業員の研修など、多くのタスクが発生します。企業によっては自社で全てに対応するのは難しい場合があるでしょう。このような場合、外部の専門サービスを活用することが、スムーズかつ計画的な導入につながります。

導入支援サービスは、現状分析から業務フローへの最適化提案、技術的な初期設定まで一貫して支援してくれます。自社内でのリソースが限られている場合ほど、外部の知見と経験を活かすことが効果的です。

販売代理店に依頼するメリット

Google Workspace は Google 公式からの直接購入だけでなく、販売代理店を通じて購入することも可能です。それぞれにメリット・デメリットがあり、企業のニーズによっても変わりますが、販売代理店では以下のようなメリットが期待できます。

  • 専門知識と経験に基づいたサポートでスムーズに導入・運用できる
  • サポートを受けられるため安心して導入できる
  • 代理店独自のサービスがあり、予算やニーズなどに合う最適なプランを導入できる

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よくある失敗例と解決策を把握して Google Workspace 導入を成功させよう

Google Workspace の導入は、生産性向上や働き方改革の推進などに有効な手段です。しかしその一方で、業務の混乱や業務効率の低下につながる失敗例も存在します。

スムーズに導入するためには、導入前の研修やサポート体制の整備など、計画的な移行が重要です。

失敗はどの企業でも起こり得ます。自社のみで対応するのが難しい場合は、外部の専門サービスを活用することも検討して、自社に合った形で導入・運用を進めていきましょう。

「自社に合った導入計画を立ててほしい」「移行のリスクを最小限にしたい」など、導入に関するお悩みは多岐にわたるかと存じます。TSクラウドでは、貴社に最適な導入・運用をサポートしますので、まずはお気軽にご状況をお聞かせください。

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