コラム更新日:2025.07.29

Google Workspace は、製造業が抱えるさまざまなお悩みを解決できる強力なツールです。ベテラン技術者のノウハウの継承、紙文化による非効率性、サーバーの老朽化に伴うリプレイス、BCP (事業継続計画)などに、効果的に対応できます。

この記事では、こうした製造業ならではの課題に、なぜ Google Workspace が強力な解決策となり得るのかを解説します。具体的な活用シーンや、実際に導入した企業の事例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

なぜ今、製造業で Google Workspace が選ばれるのか?オンプレミス環境との比較

これまで多くの製造業では、自社内にサーバーを設置する「オンプレミス環境」が主流でした。しかし、ビジネス環境が激変する現代において、その限界もまた明らかになっています。

比較項目 従来のオンプレミス環境 Google Workspace (クラウド)
コスト
  • サーバーなどのハードウェア費、ライセンス費、電気代、保守人件費など TCO (総所有コスト)が高騰しやすい
  • ユーザー単位のサブスクリプション費用のみ
  • ハードウェア保守から解放され、コスト構造がシンプルになるかつ予測可能になる
BCP/セキュリティ
  • 自社で災害・攻撃対策を構築・維持する必要があり、専門人材と多大なコストが必要
  • Googleの堅牢なデータセンターでデータを保護
  • 地理的に分散されたバックアップにより高い事業継続性を確保
柔軟性・拡張性
  • 急な増員やアクセス増に対応が困難
  • リモートアクセスには VPN などの追加設備が必要で、不安定になりやすい
  • ユーザー数の増減に柔軟に対応可能
  • インターネット環境さえあれば、場所やデバイスを問わずセキュアにアクセスできる
情報共有
  • ファイルサーバー内での属人管理に陥る
  • バージョン管理が煩雑になり、必要な情報が部署ごとに分断されやすい
  • クラウド上で常に最新情報を共有
  • リアルタイムでの同時編集や高度な検索機能により、組織のコラボレーションを加速


オンプレミスからの脱却は、単なるサーバー管理業務からの解放に留まりません。変化に強く、生産性の高い組織へと生まれ変わるための「戦略的な IT インフラの刷新」につながります。

【課題別】Google Workspace による製造業の課題解決の例

「理屈は分かるけど、それで自社の業務が具体的にどう変わるのか?」が気になる方も多いでしょう。ここでは製造業でよく見られる課題と、Google Workspace を活用した解決策を紹介します。

情報のサイロ化を共有ドライブで一元管理

「情報のサイロ化」とは、組織内でシステムやデータなどが共有できておらず、全体で活用しにくくなる状態のこと。たとえば、設計部門の最新図面は本社のサーバーで、品質部門の検査成績書は工場のパソコン本体など、それぞれの情報が孤立している状態です。 こうした情報の分断により、手戻りや確認作業など無駄な工数が発生します。

Google Workspace の共有ドライブに情報を集約することで、必要な人が必要なデータにアクセスしやすくなります。 ファイルのバージョン管理は自動化され、「どれが最新版なのか?」という混乱も起こりません。高度な検索機能で目的の情報を瞬時に探し出し、協力会社ともフォルダ単位で厳格な権限設定を行えば、安全かつ効率的な情報共有が可能です。

現場との連携不足をリアルタイムな情報共有で解決

手書きや Excel での日報・不良品報告は、集計に時間がかかり、迅速な経営判断の妨げになります。

Google フォームで報告用テンプレートを作成し、現場からの入力をデジタル化 すれば、この課題を解決できます。作業員はスマートフォンから簡単に入力でき、データは Google スプレッドシートにリアルタイムで集計 ・グラフ化されます。管理者はいつでも最新の状況を確認可能です。 また、トラブル発生時には、 Google Meet のビデオ通話で現場の状況を遠隔から確認 し、的確な指示を出すといった高度な連携も実現できます。

ノウハウの属人化を Google サイトや Google ドライブで解決

言葉や文章だけでは伝わらない、高度な技術の属人化は、企業の競争力を揺るがす大きなリスクです。動画や画像などを活用して、匠の技を継承します。

Google サイトと Google ドライブを使い、社内専用のナレッジベースを構築 すれば、この課題を解決できます。熟練技術者の作業風景をスマートフォンで撮影し、動画をドライブに保存。それらのデータを Google サイトで作ったポータルに埋め込むだけで、独自のノウハウを詰め込んだナレッジベースができあがります。Google サイトの構築に専門知識は不要です。

社内ポータルで学べるようになれば、新入社員や若手社員はいつでもどこでも、自分のペースで繰り返し技術を学ぶことが可能です。加えて、文章のマニュアルと組み合わせることで理解度が高まる効果も期待できます。

セキュリティと BCP 対策 で情報資産を保護

企業の生命線である技術情報や顧客情報を守ることは、情報システム部門の重要ミッションの1つです。Google Workspace の高度なセキュリティ機能で、セキュリティレベルを妥協せずにクラウドへの移行を実現します。

  • 認証強化:
    2段階認証プロセスを必須化し、不正アクセスを強固にブロック
  • 端末管理(MDM):
    会社が許可したデバイスからのみアクセスを許可。紛失時には遠隔でデータを消去
  • 情報漏洩防止(DLP):
    「社外秘」や個人情報などの機密情報がメールやファイル共有で社外に送信されようとした際に、自動で検知・ブロック
  • 監査ログ:
    「いつ」「誰が」「どのファイルに」アクセスしたかのログを全て記録。万が一の際は追跡調査が可能

これらを組み合わせることで、オンプレミス環境以上の高度なセキュリティ統制と、災害時にも事業を継続できる強固な BCP を実現します。

コスト削減と生産性向上を同時に実現

製造業では、運用コストの削減と生産性の向上が常に重要な課題です。Google Workspace は、これらの課題に対して複数の側面から貢献します。

まず、社内の情報共有やコミュニケーション基盤を Google Workspace に集約することで、オンプレミス型のシステム運用にかかる高額なサーバー費用やメンテナンスコストを大幅に削減できます。クラウドベースのサービスであるため、インフラの管理負担が軽減され、IT 部門の人員をより戦略的な業務に再配置することも可能です。

また、情報検索の時間削減、会議の効率化、共同作業による手戻りの減少など、各業務プロセスの効率化を通じて、間接的なコスト削減と生産性の向上につながります。たとえば、必要な資料を探す時間を短縮する、遠隔地の拠点との出張費を削減するなどにより、全体の業務効率が高まります。これにより、企業全体のTCO(総所有コスト)を削減しつつ、従業員がより付加価値の高い業務に集中できる環境の構築も可能です。

導入成功の鍵はここにある!製造業の Google Workspace 導入事例

理論だけでなく、実際の成功事例から導入後の姿を具体的にイメージしてみましょう 。

株式会社 TSK 様(機械部品製造)

TSK 株式会社(本社:富山県富山市)は、2021年10月に Google Workspace を導入しました。

同社は、オンプレミスサーバーに情報を保管しており、外出先にいる従業員がアクセスしにくいことや、同じデータを複数名で編集できず待ち時間が発生するなどの課題を抱えていました。同時に、紙ベースの情報共有によるコストや非効率性も問題でした。

Google Workspace へ移行して、各種データをクラウド化。外出先でも必要な情報にすぐアクセスできるようになったことで、営業担当者は顧客にデータを用いた提案がしやすくなったそうです。加えて、データの同時編集が可能になったことで業務効率が向上。社内アンケートのペーパーレスと集計の効率化も実現しました。

参考:Google Workspace の導入事例「TSK株式会社」

Google Workspace vs Microsoft 365:製造業にとって最適な選択は?

比較検討フェーズにおいて、Google Workspace と並んで必ず候補に挙がるのが Microsoft 365 です。どちらも優れたクラウド型グループウェアですが、特に製造業の現場においては、それぞれの特性を理解し、自社にとって最適な選択をすることが重要です。

  • 現場での使いやすさ:
    Google Workspace はシンプルなユーザーインターフェースと、スマートフォンアプリとの高い親和性から、IT リテラシーが高くない現場作業員でも直感的に使いやすい傾向があります。一方、Microsoft 365 は、長年使い慣れた Office 製品との連携が強みで、既存の業務フローとの親和性を重視する場合に有利です。
  • グローバル拠点での連携:
    どちらのサービスも多言語対応やリアルタイム翻訳機能を備えていますが、Google Workspace は Google Meet の多言語字幕表示など、よりスムーズなグローバルコミュニケーションをサポートする機能が充実しています。
  • サプライヤーとの連携:
    Google Workspace は、Google アカウントがあれば社外とのセキュアなファイル共有や共同作業がスムーズに行えます。Microsoft 365 も外部共有機能がありますが、相手側のMicrosoft 365 環境によって利用感が異なる場合があります。

各企業の IT 環境や従業員の IT リテラシー、将来的な DX 戦略などを総合的に判断し、最適な選択をすることが重要です。より詳細な比較については、以下の記事もご参照ください。

関連記事:Google Workspace と Microsoft 365 を比較。選び方のポイントは?

導入検討時に押さえるべき3つのチェックポイント

実際に導入プロジェクトを推進するにあたり、特に以下の3つのポイントは重点的に検討すべきです。これは、経営層への説明責任を果たす上でも不可欠な論点となります。

セキュリティ:自社のポリシーをどう実現するか?

「クラウドは安全か?」という漠然としたことではなく、「自社の社内ポリシーをどう Google Workspace の機能で実現するか」を検証します。アクセス制御・データの保管場所・外部共有ルールなどを、Google Workspace の機能と具体的に照らし合わせましょう

移行計画:オンプレミスからのデータ移行と既存システム連携

全社一斉に移行するのか、それとも部門ごとに段階的に進めるのか、移行戦略を明確にして、データ移行による現場の混乱を最小限に抑えます。

既存のファイルサーバーからのデータ移行方法、生産管理システム(MES)やERP(統合基幹業務システム)との API 連携の可能性、そして従業員へのトレーニング計画など、具体的かつ段階的なプランを策定しましょう。

コストとROI:最適なライセンスプランの選び方

全従業員に同じライセンスを付与するのではなく、業務内容に応じたプラン(例:現場は Frontline エディションr、設計・管理部門は Business Plus/Enterprise エディションなど)を選択することが、コスト最適化の鍵です。 オンプレミスの TCO と比較するだけでなく、ペーパーレス化や工数削減による生産性向上といった「攻めの効果」も金額換算し、投資対効果(ROI)を明確に提示することが承認を得るためにも重要です。

よくある質問 (Q&A)

Google Workspace の導入について、よくある質問を紹介します。

Microsoft Office との互換性はどうですか?

高い互換性があり、Word、Excel、PowerPoint のファイルを変換せずに直接編集・保存できます。取引先などが Office を利用していても、スムーズな共同作業が可能です。

オフラインの工場でも使えますか?

はい、使えます。Google ドキュメントやスプレッドシートはオフライン編集に対応しており、次にオンラインになった際に作業内容が自動で同期されます。

導入や運用に関するサポートはありますか?

日本語によるサポートがあります。Google による公式サポートに加え、販売パートナーが導入計画からデータ移行、運用後の技術サポートまで、手厚い支援を提供しています。 TSクラウドではお客様のアフターフォローも行っており、導入後も電話やメールでご相談いただけます。

現場の IT リテラシー が低い場合でも導入できますか?

はい、可能です。Google Workspace は、直感的なインターフェースが特長で、スマートフォンアプリに慣れている方であれば比較的容易に操作を習得できます。また、多くの導入支援パートナーが、現場の IT リテラシーに合わせた丁寧なトレーニングやマニュアル作成のサポートを提供しています。

Google Workspace は製造業の未来を拓く戦略的 IT 基盤

今回は、製造業が直面する課題に対し、Google Workspace がいかに有効かを解説しました。 Google Workspace の導入は、単なるコスト削減に留まりません。情報のサイロ化を解消し、技術を次世代へ継承し、変化に強い事業基盤を構築する。 Google Workspace は、貴社の DX を加速させ、未来の競争力を生み出すための「戦略的な IT 基盤」となるでしょう。

株式会社TSクラウドでは、お客様が安心して Google Workspace を導入できるよう、個別のご相談を承っております。Google Workspace に関する疑問や、貴社の課題・状況を踏まえたエディション選定、導入計画のご提案も可能です。お気軽にお問い合わせください。⇒ まずは相談してみる

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