Google Workspace Enterprise Plus とは?高度なコンプライアンス対応を解説
コラム更新日:2025.11.11
ビジネスのデジタル化が加速する現代において、企業が抱える課題は多岐にわたります。特に、大規模な組織では、従業員の生産性向上、高度なセキュリティ機能、そして刻々と変化するコンプライアンス要件への対応が不可欠です。
そこで注目されているのが、Google Workspace Enterprise Plus です。このプランは、単なるコミュニケーションツールを超え、ビジネスの成長を強力に後押しする機能が満載されています。
本記事では、Google Workspace Enterprise Plus がいかに課題を解決し、どのような企業に最適なソリューションとなるのか、その導入メリットと主要機能を徹底的に解説します。この記事を読めば、貴社に最適なプラン選びの一助となるはずです。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
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Google Workspace Enterprise Plus とは?
➤大規模企業・高度なコンプライアンス要件を解決するプラン
Google Workspace Enterprise Plus は、Google Workspace の各プランの中でも最上位に位置し、標準機能に加え、Google の 生成AI Gemini 、堅牢なセキュリティ機能、高度な管理機能、大容量のストレージなどを備えたプランです。
特に高度なアクセス制御やデータ損失防止(DLP)、監査と調査ツールなどの機能により、機密データを保護し、厳格なコンプライアンスを遵守するニーズに応えます。ユーザーあたり5TBのストレージで、大容量のファイルを安心して保存・共有できるため、データ量の多い組織でも安心して利用できます。セキュリティとコンプライアンスを最優先に考え、大容量のファイルを共有・管理する必要がある組織に最適なプランと言えるでしょう。
➤Enterprise Plus で利用できる主要機能
Google Workspace Enterprise Plus は、ビジネスのあらゆる側面を強化するための包括的な機能を備えています。
| 機能 | 概要 | |
|---|---|---|
| ストレージとデータ管理 | ストレージ | 各ユーザーに5TBの大容量ストレージが提供され、あらゆるデジタル資産をクラウド上で安全に保存・管理できます。 ※Google へ追加リクエストが可能 |
| 強化されたデータレジデンシー管理 (Enterprise Data Regions) | データの保存場所に関する規制要件や企業のポリシーに対応するため、組織部門やグループ単位でデータの保存リージョンを設定できます。 | |
| 強化されたデータエクスポート管理 | 高度なデータエクスポート機能により、監査や法的な要請に応じてデータを安全かつ効率的にエクスポートできます。 | |
| セキュリティとコンプライアンス | メールのS/MIME暗号化、メールのクライアントサイド暗号化 | 通信の傍受やデータの不正アクセスを防ぐため、高度な暗号化技術を標準で利用できます。 |
| 高度なエンドポイント管理、コンプライアンス統制機能(Vault、DLP、CAA) |
|
|
| コミュニケーション | Google Meet | ビデオ会議では、最大1000人の参加者と10万人の視聴者へのライブ ストリームが可能。会議の録画、出欠状況の確認、ノイズキャンセルも利用できます。 |
| Google Chat | ビジネス向けのチャットツールです。個別チャット、グループチャット、スペースでの共同作業が可能。ファイル共有やビデオ通話なども充実。 | |
| AIと生産性向上ツール | Gemini | Gmail、Google ドキュメント、Google Meet などの Workspace アプリで Gemini AI アシスタントを利用可能。 |
| NotebookLM in Pro | 最先端ツール NotebookLM Plus は、膨大な資料から必要な情報を素早く抽出し、整理・要約することで、時間と労力を大幅に削減します。 | |
| Google ドキュメントや PDF の電子署名機能 | 契約書や重要書類の署名プロセスをデジタル化し、ペーパーレス化と業務効率化を促進します。 |
➤Enterprise Plus の料金
Google Workspace Enterprise Plus の料金は、1 ユーザーあたり月額 ¥3,980(税別・1 年契約の場合) となっています。ご利用人数に応じた料金や、サポート費用を含めた料金など、ご希望に合わせたお見積もりをご用意しますので、社内でのご検討にお役立てください。
Google Workspace Enterprise Plus の具体的なメリット
Google Workspace Enterprise Plus は、特に大規模な組織が直面する複雑な課題を解決するために設計されており、以下のような課題に対応できます。
➤1:高度なセキュリティとコンプライアンス要件への対応
S/MIME暗号化やクライアントサイド暗号化により、機密情報漏洩リスクを最小限に抑え、サイバー攻撃を軽減します。データエクスポート機能や Enterprise Plus のみで利用可能な有料アドオン Assured Controls を活用し、 GDPR や HIPAA などの規制要件に対応し、法的リスクを回避します。高度なデータリージョンにより、特定の国のデータ保存要件を満たし、グローバル企業のデータ主権を管理します。
➤2:大規模組織のコミュニケーション強化で生産性を向上
Google Meet は最大1000人参加、10万人へのライブストリーミングに対応し、大規模ウェビナーを場所問わず開催できます。大規模会議の実施と情報共有の効率化により一体感を醸成。さらに Google Workspace アプリに統合された Gemini が情報検索、文章作成、データ分析、タスク自動化を効率化し、従業員は戦略的業務に集中できるため、生産性も向上します。
➤3:データ管理とストレージの課題解決
ユーザー 1 人あたり 5TB(追加リクエスト可能)という大容量のストレージが提供されるため、データ量の増加に伴うストレージ不足の懸念を解消。データ損失防止機能(DLP)により、機密情報が含まれているファイルをユーザーが外部へ共有しようとした際に、自動的に外部共有をブロックする、アラートを出すなどのアクションを起こすことが可能になります。ルールに当てはまるものは自動的にアクションが起こるので、管理者の手間を削減し、より生産的な活動に時間を充てることができます。
➤4:高度な IT 管理機能で利便性とセキュリティ強化を両立
Google Workspace Enterprise Plus は、包括的なエンドポイント管理と高度なセキュリティ分析ツールにより、IT管理とセキュリティ運用を簡素化・強化します。多様なデバイスからの安全なアクセス、潜在的な脅威の早期特定、迅速なインシデント対応を実現し、事業継続性を確保します。さらに、既存システムからのスムーズな移行ツールと、シングルサインオン(SSO)によるアクセス管理の簡素化を提供し、ユーザーの利便性とセキュリティを向上させます。
Google Workspace Enterprise Plusを選ぶべき企業の特徴や要件
Google Workspace Enterprise Plus は、特に以下のような特徴や課題を持つ企業に最適なソリューションです。
➤従業員数が300人以上、または将来的に大規模利用を見込んでいる
中小企業向けの Business プランが最大300ユーザーであるのに対し、Enterprise Plus はそれ以上の大規模な組織での利用を想定しています。従業員が増えるにつれて複雑化する管理ニーズやセキュリティ要件に対応できます。
➤横断検索が便利な Cloud Search を導入したい
Cloud Search を用いれば、組織内の膨大なデータ(Gmail、Google ドキュメント、Google ドライブなど)の中から、必要な情報を迅速かつ効率的に見つけ出せます。情報探索にかかる時間と労力を削減し、生産性の向上につながります。
なお、Enterprise Standard との大きな違いは、サードパーティサービスまで検索を拡張できる点にあります。ただし、連携するにはライセンスが 500 以上あること、Google Cloud Search 認定パートナーのサポートを受けることが必要です。
➤ノーコードでアプリを作成できる AppSheet Core を使いたい
AppSheet Core は、プログラミングの知識がなくても、業務プロセスを効率化するためのカスタムアプリケーションを迅速に開発・展開できます。現場に合わせた柔軟なツールを開発し、導入することで業務の効率化を図れます。
➤高度なデータ保持と電子情報開示(Google Vault)が必要
法的要件や企業のコンプライアンスポリシーに基づき、メールやチャットなどのデータを長期的に保持し、必要に応じて迅速に電子情報開示を行う体制を構築したい企業にとって、Google Vault は必要な機能となります。
➤Gmail のデータ損失防止(DLP)で情報漏洩対策をしたい
機密情報や個人情報がメールを通じて外部に漏洩することを防ぎたいと考えている場合、Gmail のデータ損失防止(DLP)は、必須の機能です。情報セキュリティを強化し、企業のレピュテーションや顧客からの信頼を守りたいと考えている企業は、 Enterprise Plus プランの導入を検討しましょう。
➤不正アクセスから組織を保護できる高度なセキュリティが必要
フィッシング、マルウェア、ランサムウェアなどの高度な脅威から組織を保護するために、より強固なセキュリティ対策を導入したい、あるいは、 Enterprise Standard より高度なセキュリティ機能が必要な場合は、 Enterprise Plus の導入をおすすめします。
➤500 名以上の大規模な Web 会議を開催したい
Enterprise Plus は、Google Meet の参加人数が最大1,000人と、Enterprise Standard の500人から倍増します。これにより全社的な大規模イベント、株主総会、大規模なウェビナーなど、これまで実現が難しかった大人数でのオンラインコミュニケーションがスムーズに行えます。
「他のプランとの違いを確認しておきたい 」 「導入コストに見合う機能か冷静に見極めたい」 とお悩みの方向けに、次のセクションでは Enterprise Plus と他プランの具体的な違いをまとめています。
貴社のビジネスに最適なプランは? Google Workspace プラン比較
Google Workspace には、ビジネスの規模やニーズに応じて複数のプランが用意されています。Enterprise Plus の導入を検討するうえで、他のプランとの違いを理解することは非常に重要です。
➤Business プランとの違い
Google Workspace の Business プラン(Business Starter、Business Standard、Business Plus)と Enterprise Plus の主な違いは、ストレージ容量、会議参加人数、セキュリティ機能、管理機能の深さにあります。ここでは、Business プランの最上位プランである Business Plus と Enterprise Plus を比較していきます。
| Business Plus | Enterprise Plus | |
|---|---|---|
| 料金 | ¥2,500 | ¥3,980 |
| ユーザー数 | 最大300ユーザー | 無制限 |
| ストレージ 容量 |
5TB/ユーザー | 5TB/ユーザー ※Google へ追加リクエストが可能 |
| Meet 参加人数 |
最大500人 | 最大1,000人 最大10万人が視聴できるライブストリーミング |
| Meet 録画 | 利用可能 | 利用可能 |
| 高度な 管理機能 |
Google Vault、セキュアLDAP、高度なエンドポイント管理、基本的なデータリージョン | Google Vault、セキュアLDAP、高度なエンドポイント管理、高度なデータリージョン、Assured Controls アドオン、S/MIME暗号化、クライアントサイド暗号化 (メール、ファイル、Meet)、エクスポート管理の強化、セキュリティダッシュボード、セキュリティ調査ツール、Gemini AI のセキュリティ保護、データ損失防止 (DLP)、コンテキストアウェアアクセス |
| AppSheet Core | 利用可能 | 利用可能 |
| Cloud Search | 利用可能 ※Google サービスのみ対象 |
利用可能 ※サードパーティリポジトリとの統合も可能 |
| Google Vault | 利用可能 | 利用可能 |
| Gemini | 利用可能 | 利用可能 |
Business プランは中小企業や特定の部署向けに設計されているのに対し、 Enterprise Plus は、大規模な組織の複雑な要件を満たすため、はるかに高度な機能と柔軟性を提供します。特に、セキュリティ、コンプライアンス、大規模なコラボレーションが Enterprise Plus の決定的な強みと言えます。
➤Enterprise Essentials / Enterprise Standard との比較
Enterprise は、Enterprise Essentials、Enterprise Standard、そしてEnterprise Plus の3つの主要なプランがあります。ここではそれぞれのプランの特徴を比較していきます。
| Enterprise Essentials | Enterprise Standard | Enterprise Plus | |
|---|---|---|---|
| 料金 | ¥1,130 | ¥3,060 | ¥3,980 |
| Gmail (メール) |
なし | あり | あり |
| ストレージ 容量 |
1TB/ユーザー | 5TB/ユーザー ※Google へ追加リクエストが可能 |
5TB/ユーザー ※Google へ追加リクエストが可能 |
| Meet 参加人数 |
最大150人 | 最大500人 | 最大1,000人 |
| 高度な 管理機能 |
あり | あり | より高度な機能 |
| Google Vault | なし | あり | あり |
| Cloud Search | なし | あり ※Google サービスのみ |
あり ※Google サービス、サードパーティ サービスとも |
| Gemini | あり | あり | あり |
貴社のビジネスがどのレベルの機能とサポートを必要としているかによって、最適なプランが異なります。特に、組織規模が大きく、セキュリティとコンプライアンス要件が厳しい場合は、Enterprise Plus が最も適した選択肢となるでしょう。
Google Workspace Enterprise Plus を導入する方法
Google Workspace の導入は、貴社の業務効率化と生産性向上に向けた重要な一歩です。Google Workspace Enterprise Plus は、次の手順で導入できます。
- 利用人数や移行計画など導入の体制を決定
- 独自ドメインや会社のクレジットカードなど契約に必要なものを用意
- Google もしくは代理店経由で Google Workspace の契約を申し込み
- 初期設定を行い、利用開始
さらに詳しい導入手順については下記の記事をご覧ください。
Google Workspace 導入はこれで完璧!申し込み手順を詳しく解説
Google Workspace の導入方法を、申し込みから始め方(初期設定)まで徹底解説!必要な準備物についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください
高度なセキュリティと機能でビジネスを次のレベルへ!
Google Workspace Enterprise Plus は、単なるツールの集合体ではありません。貴社のビジネスが直面する現代の課題を解決し、未来の成長を加速させるための戦略的なプラットフォームです。高度なセキュリティ、強固なコンプライアンス、革新的な AI 機能、そして比類ないコラボレーション能力を備えた Enterprise Plus は、大規模な組織がデジタル変革を成功させるための強力な基盤となります。この機会に、ぜひ Google Workspace Enterprise Plus の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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