コラム更新日:2025.08.04

「Google Workspace を導入したいけど、データの移行は必要?どうやるの?」「難しそうで自社ではできない…」と、データ移行のお悩みがある方は多いのではないでしょうか。

Google Workspace を導入する際、今お使いのメールシステムやファイルサーバー、カレンダーなど、業務データを新しい Google Workspace 環境への移行作業には、少し複雑な部分もあります。安易に進めると、データの損失や業務停止など、ビジネスに影響を及ぼしかねません。

この記事では、少しでも Google Workspace のデータ移行の不安が解消されるよう、Google Workspace のデータ移行の基本や移行手順の具体的なステップ、よくある疑問まで、網羅的にご紹介しています。安全かつ効率的に Google Workspace への移行を進め、次の活用フェーズで業務を快適にしませんか?

安全なデータ移行を実現するために、具体的な Google Workspace 導入計画の参考となる資料3点セットもご用意しました。本記事と合わせてぜひご活用ください。
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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

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Google Workspace 導入にデータ移行は必要?

Google Workspace 導入におけるデータ移行とは、既存のメールシステムやファイルサーバー、保持しているデータを、Google Workspace に移動させることを指します。

無料 Google アカウントや Microsoft 365 など他のグループウェア、別の Google Workspace アカウントなどのデータを、新規導入する Google Workspace に移動させる必要がある場合、データ移行が必要となります。しかし、必ずすべてのデータの移行が必要なわけではありません。

なぜなら、「データの損失や破損」「セキュリティリスク」「ユーザーの混乱」など、データ移行にはリスクが伴います。例えば、移行プロセスでの設定ミスやトラブルでデータが一部なくなってしまった…といったこともありえます。

そのため、データ移行を行う際は「本当に移行が必要なデータかどうか」を見極め、慎重に行う必要があります。データ移行に不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。⇒まずは相談してみる

データ移行を成功させるステップ:計画から運用まで

データ移行を行うと決めても、「何から手をつけたらいいか分からない」といった担当者の方も多くいるでしょう。データ移行は、いくつかのステップに分けて考えるといいでしょう。

事前準備:移行計画の策定

Google Workspace のデータ移行は、リスクを軽減するためために、事前準備が重要です。

移行対象になるデータの種類

データ移行の対象となるデータの種類は、以下となります。

  • メール:過去の受信メールや下書き、アーカイブされたメールなど
  • カレンダー:個人のスケジュールや会議の予定など
  • ユーザー:取引先や顧客、従業員の氏名などの連絡先データ
  • ファイルやフォルダ
  • Chat メッセージ

移行元データの棚卸しとバックアップ

まず、移行したいデータを整理します。組織内のデータが「どこに」「どれくらい」「どのような種類で」管理されているのか、大まかに把握できるよう書き出します。この際、「必要ない古いデータ」や「誰が管理しているのか不明なデータ」など、移行しない不要なものを整理しておくと、後々の作業が楽になります。また、移行中の万が一に備え、データのバックアップをとっておくと安心です。

移行計画の策定と従業員への周知

移行データの整理ができたら、「いつまでに何を終わらせるか」「誰がなにを担当するか」など、移行計画をたてておくとスムーズに進行できます。

また、従業員への周知も重要です。事前に、Google Workspace に移行することやその目的、実行予定時期などを共有しておくことで、協力体制が作りやすく、スムーズな移行につながるでしょう。

ステップ 1:移行先の Google Workspace 環境の契約と設定

移行先の Google Workspace 環境を準備します。

Google Workspace の新規契約

Google Workspace は、従業員数、ストレージ容量、利用したい機能などが異なる複数のエディションが提供されています。自社の業務には何が必要か、将来的に何をしたいかを考え、自社に最適なプランを選択してください。

エディション選択に悩む場合、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:Google Workspace のエディションを比較!プランの特徴や選び方のポイントを解説

また、契約先も Google 公式か販売代理店といった選択があります。「IT に詳しいスタッフがいない」「手厚いサポートがほしい」「コスト面を重視したい」などの場合、代理店がおすすめです。

関連記事:失敗しない Google Workspace 販売代理店の選び方

Google Workspace の初期設定と最適化

Google Workspace を契約後、まずは使い始めるための初期設定やメールを送受信できるよう最適化する設定が必要です。(ドメイン所有権の証明やユーザーアカウントの作成、MX レコードの設定など)

関連記事:Google Workspace の始め方|初期設定・独自ドメイン・MX レコードの手順も解説

TSクラウドでは、導入計画から初期設定、運用開始までをサポートする導入支援サービスを提供しています。Google Workspace の導入に課題を感じている場合はぜひご検討ください。⇒ 導入支援サービスの詳細はこちら

ステップ 2:データ移行方法の決定・実行

Google Workspace の準備が整ったら、データ移行です。データの移行は、現在使用している環境、データの種類や量、組織の要件によって最適な移行方法が異なります。移行方法を決める前に、移行元や移行方法を確認しながら、どの方法にするか検討してください。

移行元によるデータ移行方法

移行元が「個人の無料 Google アカウント」「オンプレミスサーバーや他社グループウェアなど」「別の Google Workspace アカウント」などにより、移行方法が異なります。

1.個人の無料 Google アカウント

個人利用している Google ツールのデータをビジネス環境である Google Workspace に統合し、一元管理を行いたいケースです。データが散在しているため、移行データの全体把握が難しい、移行作業中のセキュリティリスクが高いといった課題があります。

関連記事:Google Workspace への個人アカウント移行ガイド|業務改善とセキュリティ強化を実現するポイント

2.オンプレミスサーバーや他社グループウェアなど

膨大なデータや、細かく設定されたアクセス権の設定など複雑な構造の移行は簡単ではありません。また、移行中のシステム停止が業務に影響を与えないよう細心の注意が必要です。

関連記事:【情シス向け】ファイルサーバーから Google Workspace への移行戦略!技術的課題をクリアする権限設計とセキュリティ要件ガイド

3.別の Google Workspace アカウント

Google Workspace 内の包括的なデータを完全に移行する必要があります。また、アクセス管理の再構築やサービス連携の維持などに注意しつつ、スムーズな移行を行う必要があるでしょう。

データ移行の種類と実行

移行方法の種類には、大きく分けて 4 つの方法があります。

1.Google が提供する移行サービス

Google Workspace には、管理者コンソールから利用できる組み込みのデータ移行サービスや、より大規模な移行に対応するツールが提供されています。例えば、管理コンソールのデータ移行サービスや「Google Workspace Migrate」などです。移行元の環境や、移行するユーザーの人数にあわせた選択が可能です。

2.専用の移行ツール

Google が提供する移行サービス以外にも、データ移行に特化したサードパーティ製のツールが存在します。これらのツールは、特定の移行元からのデータ移行や複雑な移行要件に対応する場合に利用されることが多いです。

3.手作業

特定のデータや、データ量が少ない場合は手作業でデータ移行する方法もあります。

4.専門家に依頼

自社で移行作業を行うのが難しい場合や大規模な組織の移行、複雑な移行が必要な場合などは、専門家へ依頼する方法も検討してください。移行計画から実行、運用後のサポートまで一括して委託が可能な場合もあります。

これらの方法の中から、組織の規模や移行対象のデータ、移行元のシステム、予算、サポートなど、最適な方法を検討し、実際にデータ移行を実行していきます。

ステップ 3:移行後の確認作業と従業員へのアナウンス

データ移行は、データを移行させて終わり…ではありません。新しい環境で滞りなく業務をすすめられるよう、移行後の確認作業と従業員へのアナウンスが重要です。

移行が完了したら、Google Workspace にログインして、移行したデータが移っているか、漏れがないかを確認してください。事前準備で整理しておいた移行したいデータと見比べ、特に大切なデータを重点的にチェックするといいでしょう。

また、移行データが完了したら、従業員へ Google Workspace を使い始めることを周知するとともに、新しいログイン方法や基本的な使い方をまとめた簡単なマニュアルを作成・共有すると組織的な利用がスムーズになるでしょう。その他、移行後は使い方やトラブルなど、社内の問い合わせ増加も多くなる可能性があります。事前によくある質問をまとめておく・質問に対応できる体制を整えておくことをおすすめします。

見落としがちな注意点とトラブルシューティング

データ移行は、予期せぬトラブルが発生するリスクもあります。事前に知っておくべき注意点と、よくある質問にお答えします。

費用はどれくらい?データ移行にかかるコストは?

データ移行にかかる費用は、移行するデータの量や方法、サポートなどによって異なります。基本的に考えておくコストとしては、「Google Workspace ライセンス費用」「移行ツールの費用」「外部への委託費用」の 3 つがあります。移行方法をある程度検討したうえで、サポートなどは事前に見積もりしておくとおおよそが把握できるでしょう。移行ツールによっては、サーバーやネットワーク環境など、実行環境の準備に別途費用が必要となることがあります。

注意していただきたいのは、コストを削減したいがために、分からないままにデータ移行を進めてしまってトラブルが起きた際、時間もコストも余計にかかってしまう可能性があります。コストも重要ですが、それだけではなく確実にデータ移行できる方法を検討してください。

TSクラウドでは、Google Workspace 導入支援サービスのオプションとして移行のサポートを実施。費用については、移行内容や方法により変わります。必要なサポートの相談や見積もりは、お気軽にお問い合わせください。⇒ まずは相談する

ダウンタイムは発生する?業務影響を最小限にする計画の立て方は?

データ移行自体はバックグラウンドで実行できるため、計画的に移行が行えれば業務への影響は少ないです。しかし、一時的にメールの送受信ができない、ファイルにアクセスできないなど、ダウンタイムが発生する可能性はゼロではありません。業務への影響を最小限に抑えるため、以下の点を考慮して計画を立てるといいでしょう。

  • 最小限のデータのみを移行して移行期間を短縮する
  • 一度に全データを移行せず、段階的に移行して業務全体が停止する可能性を避ける
  • できる限り忙しい業務時間帯ではなく休日や夜間に移行作業を行う

従業員にどのような事前説明が必要ですか?

従業員には、移行作業そのものではなく、移行後の Google Workspace 活用までを見据えた説明ができるとベストです。

  • 移行の目的とメリット:Google Workspace を導入する理由や具体的に何が変わるのか、メリット
  • 移行スケジュール:いつ・どのデータが移行され、いつから Google Workspace を利用開始するのかの目安
  • 業務への影響と対応:ダウンタイムの可能性や、その期間の対応方法(緊急用のアドレスを用意するなど)を共有
  • 従業員が行うこと:必要に応じて個人で所持しているデータ整理やバックアップなどの方法を共有
  • 問い合わせ先:移行時・移行後のトラブルなどの問い合わせ先の共有

移行後のデータはどのように管理すればいいですか?

Google Workspace に移行後のデータ管理についても、事前に考えておき、従業員へ共有しておくとスムーズに活用できます。

  • 共有ルールの明確化:権限設定を適切に行い、社内での共有範囲や組織外への共有に関するルールを事前に決めておく
  • アカウント管理:アカウントの新規作成や、従業員の異動や退職時のアカウント対応方法について把握しておく
  • 事前トレーニング:Google ドライブや Gmail など、Google Workspace の基本的な使い方を従業員へ事前にトレーニングする

自社でやるのと専門家に頼むのはどちらがいいですか?

Google Workspace のデータ移行には、データの消失・漏洩など、さまざまなリスクが伴います。最悪の場合、事業成長にも影響を与えかねません。「IT 担当者がいない」「知識がない」といった場合は、コストが掛かったとしても専門家に依頼することをおすすめします。

自社でやる 専門家に頼む
メリット
  • コストを抑えられる
  • トラブルのリスク低減
  • 移行作業の業務負担軽減
  • スムーズな導入
デメリット
  • 時間や労力がかかる
  • データ損失や業務停止のリスクが高い
  • コストがかかる


TSクラウドでも、Google Workspace の移行をサポートするサービスを提供しています。データ移行したいが不安…という場合は、ぜひご検討ください。⇒ 導入支援サービスの詳細はこちら

移行ツールで移行できなかったデータはどうしたらいい?

Google Workspace へのデータ移行は、ツールによる移行が難しいデータもあります。例えば、Google Workspace の制限や仕様に対応していないデータなどはそのまま移行することができません。その場合、手動での再設定や、Google Workspace 環境に適した形式に変換する必要があります。重要な設定やデータについては、事前準備の棚卸しの際に移行後の調整が発生することを想定し、余裕をもったスケジュールで移行計画をたてておくといいでしょう。

データ移行の壁を乗り越え、Google Workspaceでビジネスを加速させよう!

Google Workspace 導入は、企業の業務効率を大きく向上させます。導入時のハードルのひとつであるデータ移行ですが、きちんと計画を立て、順序立てて進行し、必要であれば専門家のサポートを受けることで、スムーズに完了できます。

円滑なデータ移行により、Google Workspace のスムーズな導入が行え、組織内のコミュニケーション促進や新しい働き方の実現が可能になります。データ移行の壁を乗り越えるために、この記事を参考にしていただけたらと思います。

データ移行に関するご不安や、具体的なサポートが必要な場合は、Google プレミアパートナーの株式会社TSクラウドにご相談ください。豊富な経験と知識で、お客様の疑問解消のお手伝いをさせていただきます。

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