オンプレミスから Google Workspace へ移行するメリットと注意点
コラム更新日:2025.11.28
オンプレミスのサーバーやグループウェアのサポート終了時期が迫り、次期システムの選定に頭を悩ませていませんか?
あるいは、既存のオンプレミス環境の運用コストの高さや、リモートワークへの対応の難しさといった課題を感じていませんか?
本記事は、そうした課題を抱える中小企業の IT 担当者の方向けに、オンプレミスからクラウドサービスである Google Workspace へ移行する際の具体的なメリットや、移行を成功させるための注意点をわかりやすく解説します。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
目次
オンプレミスから Google Workspace への移行を検討すべき理由とは
オンプレミス環境からクラウド移行を検討する際、多くの企業で Google Workspace の導入が候補に上がっています。その理由として以下のようなオンプレミスの課題を、クラウドサービス Google Workspace が根本的に解決し、さらに成長を促進させる最適な選択肢となりうるためです。
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既存システムのサポート終了と老朽化
長年利用してきたオンプレミスサーバーやソフトウェアは、いつかはサポート終了を迎えます。サポートが終了すると、セキュリティパッチの提供が止まり、重大なセキュリティリスクに晒されます。また、ハードウェアの老朽化による故障リスクや、それに伴う高額な更新費用も避けられません。 -
運用・管理コストの肥大化
オンプレミスでは、サーバー機器の購入費用だけでなく、設置スペースの確保、電気代、定期的なメンテナンス費用、そして何よりも IT 担当者の運用工数が継続的に発生します。これらのコストは目に見えにくく、年々増加していく傾向があります。 -
働き方の多様化への対応遅れ
昨今のリモートワークやハイブリッドワークの普及により、社外から安全にシステムへアクセスできる環境が求められています。オンプレミス環境では、VPN 構築などの複雑な対応が必要となり、アクセス性が低く、多様な働き方に対応しきれないケースが増えています。
Google Workspace への移行で、何がどう変わる?
オンプレミス環境から Google Workspace への移行を検討する際、まず両者の基本的な仕組みの違い・特徴を理解することが重要です。
オンプレミスサーバーと Google Workspace の違い
まずは、オンプレミスとクラウドサービスである Google Workspace の特徴や仕組みを整理しました。
| 比較項目 | オンプレミス | クラウドサービス Google Workspace |
|---|---|---|
| 利用方法 | 自社でサーバー機器を保有し、自社内に設置・運用 | Google が管理するサーバーをインターネット経由で利用 |
| 導入費用 | サーバー機器・ソフトウェア購入費 | 導入支援を受ける場合はその費用 |
| 運用費用 | 保守・点検のための人件費 | ライセンス数に応じた月額/年額の利用料 |
| 運用・保守 | 自社 | |
| カスタマイズ性 | 高い | 低い |
オンプレミスからの移行による3つの変化
オンプレミス環境から Google Workspace へ移行するということは、単純にファイルやメールを移動させるだけではありません。それは、自社が保有し管理してきた「ITインフラ」を、Googleが提供する「サブスクリプション型のサービス」に切り替えることを意味します。具体的には、以下の要素が置き換わります。
- ファイルサーバー(ストレージ) → Google ドライブ(クラウドストレージ)
これまで社内に置いていたサーバー機器が不要になり、Google の強固なデータセンターにあるストレージを必要な分だけ利用する形になります。 - メールサーバー → Gmail
自社でソフトウェアのアップデートやメンテナンスをしていたメールシステムが、Googleによって常に最新かつ安全に保たれるメールサービスに変わります。 - ネットワークインフラ → Google のグローバルインフラ
リモートアクセス用の VPN 機器などに依存せず、インターネット接続と Google のセキュリティ網を通じて、どこからでもサービスにアクセスできるようになります。
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まずは相談してみるオンプレミス から Google Workspace へ移行する 4 つのメリット
オンプレミス環境から Google Workspace への移行は、単なるシステムの入れ替え以上に、企業経営に直結する大きなメリットをもたらします。ここでは、特に注目すべき 4 つのメリットを具体的に解説します。
運用・保守コストの削減と IT 部門の負担軽減
オンプレミス環境では、サーバーやネットワーク機器の購入、設置、定期的な入れ替え、OS やソフトウェアのライセンス更新、そして日々のバックアップやセキュリティ監視といった運用・保守作業のすべてを基本的に自社で行う必要があります。これらの作業は、見えないコストとして企業の利益を圧迫します。
Google Workspace に移行することで、これらの負担はほぼゼロになります。
- ハードウェアコストの不要
サーバー機器や設置スペースが不要になります。 - メンテナンス/アップデートからの解放
OS のパッチ適用やソフトウェアのバージョンアップは Google 側が自動で行うため、IT 担当者はその作業から解放されます。
IT 部門の工数が大幅に削減できるため、その工数をセキュリティポリシーの策定や、新しいツールの導入支援など、より戦略的かつ生産性の高い業務に充てることも可能になります。
強固なセキュリティと最新の脅威への迅速な対応
データが社外に出ることへの不安から、クラウド移行に躊躇する企業も少なくありません。しかし Google Workspace は、強固なセキュリティ体制を構築し、自社でオンプレミスを運用するよりも高い安全性を実現できる可能性があります。
- 世界最高水準のデータセンター
Google は、世界規模でデータを保護するための強固な物理的・技術的セキュリティを持つデータセンターを運用しています。 - 専門家による 24 時間 365 日の監視
Google の専門チームが常にシステムを監視し、不正アクセスや異常な動作を検知・防御しています。 - ゼロトラストに基づいた設計
どこからアクセスしても、すべてのアクセスを検証するゼロトラストモデルに基づいて設計されており、リモートワークでも安全性を確保します。
自社で常に最新のサイバー攻撃に対応し続けることは非常に困難です。Google Workspace に移行することで、常に最新かつ最高レベルのセキュリティ機能を享受できるようになります。
地理的な制約を受けずにシステムを利用できる
オンプレミス環境では、社内のファイルサーバーや業務システムにアクセスするためには、社内 LAN に接続するか、VPN を経由する必要がありました。これはリモートワークや出張時の業務効率を著しく低下させる要因でした。
Google Workspace はインターネット接続さえあれば場所を選びません。マルチデバイス対応のため、端末とインターネットがあれば、自宅や出張先などでも、メール、ファイル、グループウェア機能のすべてにシームレスにアクセスできます。これにより、災害時にも事業を継続しやすくなるBCP(事業継続計画)の強化にも繋がります。
Google Workspace のサービスを活用し業務革新が進む
Google Workspace の大きな魅力のひとつが、Gmail や Google ドライブといったすべてのサービスがシームレスに連携している点です。これにより、従来のオンプレミス環境では実現できなかった新しい働き方が生まれます。
- リアルタイム共同編集
Google ドキュメントや Google スプレッドシートは、複数人が同時に編集でき、会議資料作成や報告書の承認プロセスが劇的にスピードアップします。 - AI によるサポート
Google Workspace にはGemini や NotebookLM といった AI 機能が標準搭載されており、追加費用なしで利用可能です。Gmail のスマートリプライや Google Meet の議事録自動作成機能をはじめ、多くのアプリに AI 技術が組み込まれており、日常業務の生産性を高めます。 - ファイルの共有と管理の効率化
従来のファイルサーバーのような階層構造だけでなく、共有ドライブ機能により、チームごとのファイル管理や権限設定が容易になります。
失敗しない!オンプレミスから Google Workspace 移行の流れ
オンプレミスから Google Workspace への移行プロジェクトを成功させるためには、計画から移行完了までの作業を慎重に徹底しておこなうことが重要です。ここからは、移行プロジェクトを 4 つのフェーズに分け移行の流れを解説します。
【フェーズ1】移行計画と準備
- 現状の課題分析と移行の目的設定
- 移行対象データの棚卸しとユーザー権限の整理
現在のオンプレミス環境における具体的な課題や Google Workspace 導入によって解決したい項目を整理しデータの棚卸しを行います。
データ量を減らすことで、移行時間とコストを削減できます。Google Workspace の組織構造に基づいたアカウント設計と権限付与のルールを事前に策定します。
【フェーズ2】アカウント構築とシステム連携
- Google Workspace 環境の初期設定とドメイン認証
- 既存システムとの連携
メールサービス(Gmail)を利用するためのドメイン認証を実施します。
オンプレミスで使っていた既存システム(ID 管理システムなど)と連携させるためのシングルサインオン(SSO)や ID 同期の設定を進めます。
【フェーズ3】データ移行と検証
- データ移行の手法選定・実行と検証
メールデータやファイルサーバーのデータを、専用の移行ツールやスクリプトを用いて Google Workspace へ移行します。
移行が完了したら、少人数のパイロットユーザーが実際にシステムを利用し、データや権限が正しく引き継がれているかを検証します。


Google Workspace Migrate とは?データを安全かつ効率的に移行するポイント
Google Workspace 公式のデータ移行ツールGoogle Workspace Migrate について、対応プラン・移行できるデータソースなどを解説
【フェーズ4】ユーザーへの展開と定着化
- ユーザーへオンプレミスとの違いを解説
システムが新しくなっても、組織内で社員が使いこなせなければ意味がありません。移行の効果を最大化するためには、利用定着化への取り組みが不可欠です。単なる操作説明だけでなく、「オンプレでの作業は、Google Workspace ではこう変わる」というように、従来の環境との違いを重点的に説明すると、ユーザーの理解が深まります。
オンプレミスからの移行でよくある質問
オンプレミスから Google Workspace への移行を検討する際、特に中小企業の IT 担当者の方々から寄せられる、よくある質問とその回答をまとめました。
Google Workspace のセキュリティレベルはオンプレミスより安全ですか?
回答: 一般的に Google Workspace は自社でオンプレミスを運用するよりも高度なセキュリティと強固な体制を備えており、安全性が高いと言えます。
Google は、世界最高水準のセキュリティ技術と、24時間365日の専門チームによる監視体制を敷いています。具体的には、以下のようなセキュリティ対策が標準で提供されています。
- 多要素認証の適用
- データ暗号化
- 最新の脅威への迅速な対応
自社でこれらのセキュリティ対策をすべて最高レベルで維持し続けるのは多くのコストと工数がかかりますが、Google Workspaceではそれがサービスとして提供されます。
既存のファイルサーバーのデータ(大容量)はすべて移行できますか?
回答:大容量のファイルサーバーデータも Google ドライブ へ移行することは可能です。
移行を成功させるための鍵は、移行前の「データの棚卸し」と「適切な移行ツールの選定」です。
- 棚卸しと整理
数年利用されていない古いデータや重複しているデータを特定し、移行対象から外すことで、移行時間と手間を大幅に削減できます。 - 移行戦略
企業の業務を止めないよう、「段階的移行」や「カットオーバー(一斉切り替え)」など、データ量や業務特性に合わせた戦略を選択します。 - 専用ツールの利用
大容量のファイルを安全かつ正確に移行し、従来のファイルサーバーにあったアクセス権限を Google ドライブの共有設定に正しく引き継ぐためには、専門の移行ツールやサービスの利用が推奨されます。特に、ファイルの階層構造やアクセス権限は、移行後にユーザーが混乱しないよう、入念な検証が必要な部分です。
移行作業にかかる期間の目安はどのくらいですか?
回答:移行期間は、企業の規模、ユーザー数、移行するデータ量、そして既存システムの複雑性によって大きく異なりますが、数週間から数ヶ月が一般的な目安となります。
<期間に影響を与える主な要因>
- 準備期間
移行するデータの選定や整理、Google Workspace のアカウント設計、社内体制の構築といった準備段階が、全体の期間を大きく左右します。この準備に全体の期間の半分以上をかける企業も少なくありません。 - データ移行期間
ファイルサーバーの容量が大きいほど、移行作業自体にかかる時間は長くなります。
スムーズな移行を実現するためには、専門知識を持つパートナー企業のサポートを受け、移行計画を綿密に立てることが不可欠です。
オンプレミスで使っていた他システムとの連携は可能ですか?
回答:既存の業務システムや ID 管理システムとの連携が可能です。
多くの企業では、人事システム、顧客管理システム、基幹システムなど、さまざまなオンプレミスシステムを利用しています。Google Workspace は高い拡張性を持っているため、これらのシステムとの連携が可能です。
<主な連携の例>
- ID/アカウント連携(SSO)
オンプレミスの Active Directory などの ID 管理システムと Google Workspace のアカウントを同期させ、ユーザーが一つのID・パスワードで両方のシステムにログインできるシングルサインオン(SSO)を実現することが可能です。 - API連携
Google Workspace の各種機能(カレンダー、ドライブなど)は API として提供されているため、既存の業務システムから Google Workspace の機能を利用するカスタマイズも可能です。
これにより、移行後も業務の継続性を保ちつつ、新しいグループウェアのメリットを享受できます。
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移行の相談をするオンプレミスから Google Workspace への移行は業務革新の第一歩
本記事では、オンプレミス環境のサポート終了や老朽化といった課題を背景に、Google Workspace へ移行する際の具体的なメリットや移行の流れを解説しました。
Google Workspace への移行は、サーバーやソフトウェアの入れ替えに留まらず、企業の生産性と競争力を高める業務革新の第一歩です。
「どこから手をつけていいかわからない」 「大量のファイルサーバーの移行が不安だ」
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