コラム更新日:2025.12.12

近年、多くの企業でデジタルトランスフォーメーション( DX )が推進され、ビジネス環境は急速にクラウドへとシフトしています。しかし、長年使い慣れたオンプレミス環境のシステムを使い続けている企業も少なくありません。

グループウェアとして高いシェアを持つ、サイボウズ Office のオンプレミス「パッケージ版 」のサポート終了が迫る中、次世代のグループウェアとして Google Workspace への移行を検討している企業も多いかと思います。

本記事では、クラウド型グループウェアとして注目を集める Google Workspace へ移行する具体的なメリットと、スムーズな移行ステップを詳しく解説します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

目次

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オンプレミス版 サイボウズ Office の販売・サポート終了

サイボウズ Office は、日本企業にとって馴染み深いグループウェアとして長年利用されています。しかし、同製品のオンプレミス「パッケージ版 サイボウズ Office」(※以下、オンプレ サイボウズ Office と記載)について、この度販売とサポート終了が決定したそうです。公式サイトによると、以下のスケジュールで販売、サポートが終了するとのことです。

  • 販売終了日: 2026 年 9 月 30 日
    オンプレ サイボウズ Office 新規での契約はこれ以前に終了していましたが、この日をもって、継続ライセンスの購入やライセンス追加の販売も終了します。
  • サポートサービス終了日: 2027 年 9 月 30 日
    この日をもって、製品のサポートサービスが停止されます。

2027 年 9 月 30 日という期限は、まだ先のように感じられるかもしれません。しかし、グループウェアの移行には、現状分析、新システムの選定、データ移行、利用者へのトレーニングなど、最低でも半年から 1 年程度の準備期間が必要です。そのため、実質的な移行の検討はすでに始まっていると考えるべきでしょう。

オンプレミス維持のリスクとクラウド移行の必要性

オンプレ サイボウズ Office のサポートが終了した後も、システムを使い続けることは技術的には可能かもしれません。しかし、サポートが停止した環境を維持し続けることは、企業にとって無視できないさまざまなリスクを伴います。

サポートが終了するオンプレミスサービスを維持するリスク

サポートが終了したオンプレミスのシステムを使い続けることで発生する具体的なリスクは、主に以下の3点です。

  • リスク1:深刻なセキュリティリスクの増大
    最も懸念されるのがセキュリティ面のリスクです。サポートが終了すると、システム内で新たな脆弱性が発見されても、ベンダーからの修正パッチやセキュリティアップデートが提供されなくなります。
  • リスク2:維持・管理コストの増大と非効率サポート
    終了後もシステムを維持するためには、自社の IT 部門や外部ベンダーがサーバーなどの ハードウェア や OS の管理を続ける必要があります。トラブル発生時の原因究明や復旧作業が困難になり、想定外のコストと時間がかかります。
  • リスク3:業務効率の低下と最新機能の取り残し
    オンプレミス環境を継続した場合、製品の機能の追加や、スマートフォンなどの最新デバイスへの最適化は期待できません。クラウドサービスが提供する AI 活用や他サービスとの柔軟な連携機能といったビジネスを加速させる最新の恩恵を受けられず、競争力の低下を招く可能性があります。

クラウドサービスの選択肢:サイボウズと Google Workspace

オンプレミスのサービスを維持するリスクを回避し、最新の機能とセキュリティを享受するためには、クラウドへの移行を推奨します。移行先の選択肢としては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 選択肢1:サイボウズ Office の「クラウド版 」( kintone など、サイボウズ の別サービスを含む)
    特徴: 既存の オンプレ サイボウズ Office の機能や操作感に近いため、ユーザーの慣れや教育コストが低いというメリットがあります。
  • 選択肢2:Google Workspace ( Google が提供するクラウド型グループウェア)
    特徴: メール( Gmail )、カレンダー、ドキュメント作成( Google ドキュメント )、ストレージ( Google ドライブ )生成 AI Gemini など、コミュニケーションから共同作業、AI活用までを網羅した、統合クラウド型グループウェアサービスです。高い連携性やスケーラビリティが最大の魅力で、クラウドネイティブな働き方を強力にサポートします。

移行先を検討する際は、単に現在の機能を代替できるかだけでなく、今後の事業展開、 働き方の多様化、 他の IT ツールとの連携など、未来を見据えた視点が重要です。

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Google Workspace でできることは?サイボウズ Officeとの違い

クラウド型グループウェアサービス へ移行を検討する際、最も重要となるのが移行先サービスの選定です。ここでは、Google Workspace とサイボウズ Office(オンプレ版・クラウド版)との主な違いを、目的・機能とコストの面から比較します。

目的・機能

サイボウズ Office は、日本の中小企業向けに設計されており、主に社内の情報共有とコミュニケーション( 掲示板 ・スケジュール管理 ・ワークフローなど)を目的としたグループウェアとしての機能に特化しています。

一方、 Google Workspace は、世界中の企業で採用されており、グループウェアとしての機能に加え、業務遂行に不可欠な生産性向上ツールが統合された 統合型ワークプレイス です。

比較項目 Google Workspace サイボウズ Office
主な目的 社内外コミュニケーション、
共同作業、生産性向上、 DX 推進
社内コミュニケーション、
情報共有
主な機能
  • メール、文書作成、表計算、プレゼンテーション、ビデオ会議、クラウドストレージ、チャットなど、幅広い統合的な機能
  • スケジュール、掲示板、ファイル管理、ワークフロー、プロジェクト管理など、グループウェア機能(情報共有・コミュニケーション)が中心
得意な分野
  • コラボレーションとクラウドベースの作業。
  • 多人数での同時編集や外部連携に強い。
  • 場所を選ばない作業環境の構築。
  • 社内コミュニケーションと情報共有。
  • 日本の企業文化に合わせた掲示板や回覧板などの機能が充実。
文章作成・編集
  • Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドといったクラウドベースのオフィスツールが標準。
  • 簡易的な文書・ファイル管理が中心。高度な文書作成は別途専用Officeソフト等を利用することが前提。
メール機能
  • Gmailが標準。高機能でセキュリティも強固。
  • 簡易的なWebメール機能を持つが、外部メールの利用が前提となることも多い。

Google Workspace 目的・機能の特徴

  • グローバルスタンダード
    世界的に広く使われているため、外部との連携や、海外のパートナー企業との共同作業に非常に適しています。
  • コラボレーション機能
    文書、表計算、プレゼンテーションを複数人でリアルタイムに共同編集することに優れています。
  • クラウドファースト
    全ての機能がブラウザを通じて提供され、デバイスや場所を選ばずに作業できる環境が強力です。
  • コア機能
    Gmail(メール)、Google ドライブ(ストレージ)、Google Meet(ビデオ会議)、生成 AI Gemini、そしてオフィス機能であるドキュメント/スプレッドシート/スライドなど、ビジネスに必要な機能が幅広く統合されています。

サイボウズ Office 目的・機能の特徴

  • 純国産グループウェア
    日本のビジネス習慣に特化しており、回覧板・報告書・ワークフローなど、日本の企業文化に根ざした使いやすい機能が充実しています。
  • 情報共有
    掲示板やスケジュール機能が非常に使いやすく、社内での情報共有やコミュニケーションの活性化をメインにしています。
  • 専門性
    高度な文書作成・編集機能よりも、グループ内での情報共有・タスク管理といったグループウェア機能に特化しています。

Google Workspace・サイボウズ Office コスト比較

文章作成ツールやメールサービスを含む Google Workspace と、社内コミュニケーションに特化したサイボウズ Office では、トータルでかかるコストが異なります。また、オンプレミスとクラウドでは、コスト構造が根本的に異なります。

下記の表にて、Google Workspaceとサイボウズ Office のクラウド版とオンプレ版のコストを比較します。

比較項目 Google Workspace クラウド版
サイボウズ Office
オンプレ版
サイボウズ Office
費用 例:800円~/月
(1ユーザーあたり)
例:600円~/月
(1ユーザーあたり)
※販売終了
運用形態 Google による
運用・管理
サイボウズによる運用・管理 自社対応
ランニングコスト 月額または年額の
ライセンス費用
月額または年額の
ライセンス費用
サーバー維持管理、人件費、電気代、ライセンス更新費
別途追加するソフトウェア なし
(メール・オフィスソフト・ビデオ会議ツール、生成 AI の利用をプランに含む)
状況により必要
  • メールサーバー
  • オフィスソフト
  • ビデオ会議ツール
  • AI ツール 等
状況により必要
  • メールサーバー
  • オフィスソフト
  • ビデオ会議ツール
  • AI ツール 等


オンプレミスのグループウェアは、ハードウェアの購入や定期的なリプレイス費用、システム管理者の人件費といった隠れたコストが高くつく傾向があります。

クラウドサービスの場合は、ベンダー( Google やサイボウズ )がセキュリティパッチ適用やサーバー管理をすべて行うため、企業が負担するのはユーザー数に応じたライセンス費用が主となり、 IT 管理の負担と総コストを大幅に削減できます。

クラウド版サイボウズ Office の場合には、状況によりメールサーバーや文章作成のためのオフィスソフト、ビデオ会議ツール、AI ツール 等、自社の業務内容に合わせたサービスが別途必要になる場合があるでしょう。

Google Workspace は、メール( Gmail )、オフィスソフト( Google ドキュメント、スプレッドシート、スライド )、ビデオ会議( Google Meet )、生成AI Gemini など、幅広い機能をオールインワンで提供するため、個別のツールを導入するよりも効率的な費用で利用できる可能性があります

Google Workspace への移行で実現する 3 つのメリット

Google Workspace への移行は、単なるグループウェアの置き換えではなく、クラウド化により企業の働き方と生産性を根本から変革する未来への投資となります。ここでは、移行によって得られる具体的な 3 つのメリットを解説します。

メリット 1:高い連携性と最新機能の利用

Google Workspace の最大の強みは、すべてのツールがクラウド上で統合され、シームレスに連携することです。

たとえば、Gmail で受け取ったメールから、ワンクリックで Google カレンダーに予定を登録したり、 Google Meet のビデオ会議を開始したりできます。ファイル管理も Google ドライブ に一元化されるため、効率的な作業を可能にします。

また、Google Workspace は常にアップデートされ最新機能の恩恵を享受することができます。一例として、Google の最新 AI Gemini が利用が可能で、例えば Gmail のスマート作成機能や、Google ドキュメント上での AI による文章校正などの機能により、ユーザーの生産性は常に向上し続けます。

メリット 2:強固なセキュリティ

自社でサーバーを保有する場合、セキュリティ対策も自社で負うのに対し、Google Workspace のセキュリティは Google が提供する世界最高水準の強固なセキュリティのメリットを受けることができます。

Google Workspace には、管理者向けの高度なセキュリティツールが標準で提供されます。例えば、二段階認証、モバイルデバイス管理機能によるスマートフォンやタブレットのセキュリティ対策、ファイルのアクセスログ管理などにより、情報漏洩リスクを低減できます。

また、選択するプランによっては、よりセキュリティを強固にすることが可能です。Business Plus 以上のプランで利用できる Google Vault は、メールやチャットなどのデータを改ざん不可能な状態で長期保存・検索することを可能にし、コンプライアンス要件や万が一の訴訟に備えることができます。さらに、 Enterprise プランではデータ損失防止( DLP )機能も利用でき、機密情報が誤って外部に送信されるのを自動で防ぐなど、より高度な情報漏洩対策を実現します。

メリット 3:拡張性とカスタマイズ性

Google Workspace は、企業の成長や変化に合わせて柔軟に拡張・カスタマイズが可能です。

連携アプリ:Google Workspace Marketplace には、業務を効率化する数多くの外部ツールやアプリケーションが用意されており、必要な機能を簡単に追加できます。

ノーコード開発の実現: AppSheet というノーコード開発プラットフォームを利用すれば、プログラミングの専門知識がない現場ユーザーでも、 Google スプレッドシートなどのデータを基に、独自の業務アプリケーションを短期間で作成できます。これにより、サイボウズ Office のカスタム機能では難しかった、現場のニーズに即した DX が実現します。

Google Workspace が向いている企業の特徴

サイボウズ Office からの移行を検討する企業の中で、特に Google Workspace が向いていると考えられるのは、以下のような特徴を持つ企業です。

  • DX を加速し、新しい働き方を追求したい企業
    AI やノーコード開発などの最新技術を積極的に活用し、ビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に変革したい企業。
  • IT 管理者の負担を軽減したい企業
    サーバーの運用やセキュリティ対策、ソフトウェアの更新といったオンプレミスの管理業務から解放され、 IT 管理者がより戦略的な業務に集中したい企業。
  • リモートワークやハイブリッドワークを推進したい企業
    端末や場所に依存しないクラウドアクセスと、 Google Meet などのビデオ会議ツールによるスムーズなコミュニケーションを必要とする企業。
  • 共同作業( コラボレーション )が多い企業
    複数のメンバーがドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションをリアルタイムで共同編集する必要がある、プロジェクトベースの業務が多い企業。

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オンプレ サイボウズ Office から Google Workspace への移行方法

グループウェアの移行は、データ移行の複雑さやユーザーへの影響を考慮すると、慎重に進める必要があります。特にオンプレ サイボウズ Office から Google Workspace への移行は、システム構造が異なるため、専門的な知識を持ったパートナーと連携することが成功の鍵となります。

STEP1:現状分析・Google Workspace のプラン選定と設計

移行の最初のステップは、現状の把握と将来の設計です。

【現状分析と要件定義】
サイボウズ Office 内のデータ( メール、スケジュール、掲示板、ファイル)のうち、どこまで Google Workspace へ移行が必要かを洗い出します。
ユーザー数、利用頻度の高い機能、カスタム設定などの情報を収集し、 Google Workspace で実現したい機能要件を明確にします。

【プランの選定】
Google Workspace のプラン( Business Starter、 Business Standard、 Business Plus、 Enterprise など)は、ストレージ容量、セキュリティ機能、Google Meet の最大参加人数などが異なり、プランごとの料金が設定されています。自社の規模と必要な機能に応じて最適なプランを選定します。

【環境設計】
Google ドライブへの移行設計はファイル・データ管理において重要です。サイボウズ Office やファイルサーバーで利用していたフォルダ構造、アクセス権限を、Google ドライブの共有ドライブ機能を使ってどのように再現するかを詳細に計画します。

STEP2:データ移行の具体的な手順と注意点

データ移行は、移行作業の中で技術的な難易度が高い工程です。

【移行対象の特定とバックアップ】
移行対象のデータを確定させ、万が一の事態に備えて必ず完全なバックアップを取得します。

【移行ツールの選定と実行】
サイボウズ Office のデータを Google Workspace の形式に変換し、移動させる専用ツールを利用します。手動での移行はデータの欠損や整合性の問題を引き起こすリスクが高いため、専門ツールの使用が強く推奨されます。

【移行時の注意点】
権限と構造の維持
特に、ファイルサーバーやサイボウズ Office に保管されていたファイルを Google ドライブ へ移行する際、元のアクセス権限やフォルダ構造が正確に引き継がれているかを確認することが不可欠です。データの量が多い場合、移行は複数回に分けて実施し、ユーザーへの影響を最小限に抑えるように配慮します。

STEP3:利用開始前のテスト、トレーニングと運用サポート

システムを導入しても、ユーザーが使いこなせなければ生産性向上にはつながりません。最後のステップは、定着化に向けた準備です。

【テスト運用と検証】
一部の部門や少数のユーザーで先行的に Google Workspace を利用するテスト運用を実施し、業務に支障がないか、設計通りの動作をしているかを入念に検証します。

【ユーザーへのトレーニングとサポート体制の確立】
サイボウズ Office と Google Workspace では、コミュニケーションやファイル作成の方法が変わります。Google ドキュメントでのリアルタイム共同編集や、Gmail や Google Meet の活用方法など、ユーザー向けの研修を実施し、新しいツールの使い方を定着させます。また、導入後の疑問やトラブルに対応するためのヘルプデスクなどのサポート体制を確立します。

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オンプレ サイボウズ Office のサポート終了は、今後避けては通れない企業のクラウドシフトを加速させるきっかけです。しかし、長年利用してきたシステムからの移行は、データ移行の複雑さやセキュリティ設定、ユーザーへの教育など、多くの課題が伴います。この変化を、単なるシステム移行ではなく、セキュリティ強化、生産性向上、そして未来への DX を加速させる投資と捉えることが重要です。

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