コラム更新日:2025.11.05

企業にとって、機密情報の取り扱いはきわめて重要であり、情報漏洩対策として注目されているのが、Google Workspace の DLP 機能です。

本記事では、Google Workspace の DLP 機能について、活用するメリットや設定方法を解説します。情報セキュリティ強化を目指す企業のご担当者様はぜひ参考にしてください。

▼Google Workspace で DLP 機能の利用を検討している方へ

DLP 機能は、主要プランの中では Enterprise プランでご利用いただけます。現在 Business プランをご利用でアップグレードをご検討の方や、強固なセキュリティ対策のもと新規導入をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。⇒ 無料で相談する

       
TSクラウドロゴ

執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。

Google Workspaceプラン選択ガイド

DLP とは

DLP とは、「 Data Loss Prevention 」の略で、日本語の直訳は「データ損失防止」です。企業が保有する機密情報や個人情報などの重要なデータが、外部に流出したり、許可されていないユーザーによってアクセスされたりすることを防ぐためのセキュリティ対策です。具体的には、機密情報が記載されたファイルやメールの内容を自動的に検知し、その送信や共有、保存などを制限・ブロックすることで、データ漏洩のリスクを最小限に抑えます。

Google Workspace の DLP 機能

Google Workspace の DLP 機能で具体的にどのようなことができるのか、詳しく見ていきましょう。

Google Workspace における DLP 適用範囲

Google Workspace の DLP 機能の適用範囲や実行可能なアクションは、以下のとおりです。

<主な DLP 適用範囲>

  • Google ドライブ
  • Gmail
  • Google Chat
  • Chrome

<Google Workspace での DLP 機能において可能なアクション>

  • アラートと通知のルールを設定する
  • 外部共有リンクをブロックする
  • エンドユーザーに警告する
  • ドライブ ファイルのコンテンツ違反を監査する

DLP 機能を活用することで、組織内で想定されるセキュリティリスク、たとえば、意図せず重要な情報を外部に共有してしまうケースや、悪意のある情報漏洩に対して対策を強化できます。

※DLP 機能の適用には、エディションの種類のほか、ファイル形式やサイズなどの制限があります

DLP に対応したGoogle Workspaceのプランと料金

Google Workspace の DLP 機能は、高度なセキュリティとコンプライアンス管理を必要とする上位エディションでのみ提供されています。

<主要エディションの DLP 機能>

Business Enterprise
Standard Plus Standard Plus
✕ ※

※DLP の対応範囲が限定的なため、こちらの表では✕と記載しています

<DLP 機能が使えるプラン一覧>

  • Enterprise Standard/Enterprise Plus/Enterprise Essentials Plus
  • Education Fundamentals/Education Standard/Education Plus、
  • Frontline Standard/Frontline Plus

Enterprise Standardと比べて、Enterprise Plus では、「Enterprise データリージョン」や「メールの S/MIME 暗号化」など、セキュリティとデータ管理をさらに強化できる機能を備えています。

社内でのご検討用に、エディションごとの機能の比較をまとめたPDF資料をご用意しております。
⇒ プラン選択ガイドをダウンロードする

Google Workspace で DLP を活用する 4つのメリット

Google Workspace の DLP 機能は、適切に運用することで、組織のデータセキュリティ体制を強化し、業務効率を向上させるなど、多くのメリットをもたらします。具体的なメリットを以下で詳しく解説します。

セキュリティ事故を未然に防ぐ

DLP を活用するメリットのひとつとして、情報漏洩などのセキュリティ事故を未然に防止できる点が挙げられます。一般的なセキュリティ対策では、操作ログを取得することで安全性をチェックするものが多く、この方法では、実際に情報漏洩が発生した後にしか検知できませんでした。

一方、 DLP はデータそのものを監視する仕組みで、異常をリアルタイムに検知し、即座に管理者へ通知します。そのため、操作ログを事後確認するセキュリティ対策よりもスピーディーな異常検知が可能であり、セキュリティ事故を未然に防ぐことにつながります。

ヒューマンエラーによる情報漏洩を防止

従業員の不注意で起こるメールの宛先間違いや添付ファイルの誤り、共有設定のミスなどは、情報漏洩の原因のひとつですが、日々の業務におけるヒューマンエラーは避けられない側面があるとも言えます。Google Workspace の DLP 機能は、こうしたヒューマンエラーを検知し、情報漏洩のリスクを軽減します。

たとえば、Gmail に DLP を設定することで、特定のキーワードや機密情報(クレジットカード番号、マイナンバーなど)を含むメールの送信をしようとした場合に、自動的に警告表示を出すなどの設定ができます。また、Google ドライブでは、機密情報を含むファイルの外部共有を制限したり、ダウンロードや印刷を禁止したりすることも設定できます。これにより、従業員の意識に頼るだけでなく、システム的に情報漏洩を防ぐことが可能になります。

コンプライアンス遵守をサポート

企業に求められる情報保護のための法令や規制について、あらかじめ DLP ルールを設定しておくことで、求められる保護要件を遵守することをサポートします。

たとえば、 GDPR(EU一般データ保護規則)に基づき、EU居住者の個人データを外部に送信しないよう設定することや、日本の個人情報保護法により個人情報が含まれるメールの送信を管理することが可能になります。

セキュリティ対策の効率化

情報システム担当者にとって、セキュリティ対策の運用は大きな負担となることがあります。手動でのチェックや監視には限界があり、見落としのリスクも伴います。

Google Workspace の DLP は、セキュリティ運用を自動化し、効率を大幅に向上させます。DLP ルールを設定することで、システムが自動的に機密情報を監視し、ルールに基づいて適切なアクションを実行します。これにより、情報システム担当者は、日々の膨大なメールやファイルのやり取り全てを個別に監視する必要がなくなり、より戦略的なセキュリティ対策や他の重要な業務に集中できるようになります。

DLP 活用でセキュリティ強化に取り組みたいとお考えの担当者さまへ。DLP 活用のメリットや実際の活用事例などを詳しくご紹介し、貴社のセキュリティ課題の解決方法をご提案いたします。お気軽にご相談ください。

\ ご相談は無料! /

まずは相談する

DLP だけでは対応しきれないセキュリティ要件は?

企業内の重要情報を保護するうえで、DLP は非常に有効なツールですが、すべてのセキュリティリスクに対応できるわけではありません。ここでは、その代表的なケースと、その場合に有効な対策について解説します。

「不正アクセス」などには他の対策が必要

DLP のルールが適用されていても、もし従業員のアカウント情報が盗まれて不正アクセスを受けた場合や、マルウェアに感染した安全ではないデバイスからアクセスされた場合、データの共有自体は許可されていなくても、他の経路で情報が流出するリスクは残ります。

これらのリスクに対処するためには、他のセキュリティ対策の仕組みも必要です。

コンテキストアウェア アクセスやエンドポイント管理との併用メリット

DLP のセキュリティ機能を補完し、強固な多層防御を実現するのが、「コンテキストアウェア アクセス」や「エンドポイント管理」です。

  • コンテキストアウェア アクセス
    ユーザーのアクセス状況や端末の状態に応じて、クラウドサービスへのアクセス権限を制御。不正アクセスを防ぎます。
  • エンドポイント管理
    社員のPCやスマートフォンに対してポリシーを適用し、データの持ち出しやコピーを制御。端末外へのデータ流出リスクを低減できます。

DLP にこれらの機能を組み合わせることで、強固なセキュリティ体制が構築できます。これにより、リモートワークなど多様化する働き方に伴う複雑なリスクにも対応可能です。

DLP、コンテキストアウェア アクセス、エンドポイント管理といった高度なセキュリティ機能は、Google Workspace の Enterprise のプランなら全て備わっています。

\ プランごとの機能・料金を比較! /

料金プランを見る

Google Workspace の DLP 設定方法

Google Workspace の DLP は、管理コンソールから設定を行うことができます。ここでは、一般的な設定の流れとポイントをご紹介します。

  1. 管理コンソールにログインし設定画面を開く
  2. Google Workspace の管理者アカウントで 管理コンソール にログイン。
    メニューの「セキュリティ」>「アクセスとデータ制御」>「データ保護」に移動します 。
    「ルールの管理」をクリックします。次に、「ルールの追加」 → その後「新しいルール」をクリックします。

     width=

  3. DLP ルールを設定する
  4. DLPルールは、次の順で設定していきます。
    設定が完了したら、動作確認を行い DLP が機能しているかを確認しましょう。
①名前とスコープ 設定する DLP ルールを識別するための、「名前」と「説明」を記載し、ルールを適用する範囲(ドメイン名や組織部門、グループ)を指定します。
②アプリ DLP ルールを適用するアプリを選択します。
( Google Chat 、 Googleドライブ 、 Chrome 、Gmail から選択。複数選択も可。 )
③条件 具体的なスキャン条件を設定します。
「条件」では、スキャンするコンテンツの種類、スキャン対象として必要な DLP スキャンのタイプと属性を選択します。
「コンテキストの条件」では、ルールを適用するアクセスレベルを選択または設定します。
④操作 上記で設定した条件を満たした場合に行う処理を選択します。
選択できる処理には、「外部共有をブロック」「外部との共有を警告する」「コメント投稿者と閲覧者に対して、ダウンロード、印刷、コピーを無効にする」「ドライブラベルの適用」などがあります。
アラートの重要度(低、中、高)の設定や、アラート通知、メール通知についても選択可能です。
⑤確認 上記で設定した DLP ルールを確認します。
「ルールのステータス」で「アクティブ」を選択し、最後に「作成」をクリックすると指定した条件に基づいて、 DLP ルールが適用されます。「無効」を選択した場合には、ルール自体の作成はされますが、適用はされないため、後ほど「アクティブ」に変更したタイミングで有効化できます。
※作成した DLP ルール の設定の反映には最大で24時間かかる場合があります。


DLPをどのように活用したらよいか悩んでいませんか?TSクラウドでは、DLPを効果的に使ったセキュリティ対策を構築するためのサポートサービスもご用意しています。

現在 Business プランをご利用でアップグレードをご検討の方や、強固なセキュリティ対策のもと新規導入をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

\ 今すぐ無料で相談! /

専門家に相談する

セキュリティ対策でお困りのことがあればご相談ください

Google Workspaceでは、DLP をはじめとするさまざまなセキュリティ機能を組み合わせ、多層的に対策することが可能です。TSクラウドでは、ご要件に応じた最適なセキュリティ構成や、プラン選択についてのアドバイスも提供しています。ご不明な点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

\ セキュリティ要件のご相談も無料 /

専門家に聞く

もっと読む