コラム更新日:2026.07.07

Google Workspace の導入を検討中、または現在運用中の企業において、経営層や IT 担当者が直面しているのが、ライセンスコストではないでしょうか。

企業の業種や形態によっては、オフィス業務を行う社員には大容量のストレージや高度な機能が求められる一方、PC をもたず現場で活動するスタッフは、メールやチャットでの連絡確認ができればよいという場合も少なくありません。このような状況で、全社員に対して一律に上位プランを契約してしまうと、ライセンスコストが高額になるという課題が生じがちです。

「業務内容の異なる一部のユーザーだけ安価なプランに変更して、コストを最適化したい」この問いに対する答えが、現場スタッフ専用プラン「Google Workspace Frontline」の活用です。Google Workspace は原則としてプランの混在ができませんが、例外として現場で働く従業員向けの「Frontline」は、条件付きでプランの混在が可能となります。

本記事では、Google Workspace におけるプラン選択の基本ルールから、例外的に混在が認められる「Frontline」の機能や適用される資格要件、導入・運用時の注意点を解説します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

目次


▼「Frontline」プランを活用しての Google Workspace 導入ご相談はぜひ TSクラウドへ

Google Workspace プラン選択の基本ルール

Google Workspace の基本的な契約形態は、1つのドメイン(例:@ example.com )に対して 1 つのプラン を割り当てる「単一エディション制」です。

  Business Enterprise
Starter Standard Plus Standard Plus
価格
ユーザー1人あたりの月額
(年間契約の場合)
¥800 ¥1,600 ¥2,500 ¥3,060 ¥3,980
利用可能人数 ~300人 ~300人 ~300人 無制限 無制限
ストレージ容量
ユーザー1人当たり
30GB(プール) 2TB(プール) 5TB(プール) 5TB~(プール) 5TB~(プール)
生成 AI 機能
(機能制限あり)

例えば、同一ドメイン内で「管理職は Business Plus、一般社員は Business Starter」といったプランの混在は、通常認められていません。

この仕様により、一部の高度な機能を必要とするユーザーに合わせて全社員のプランを底上げしなければならず、結果としてライセンス費用が膨らんでしまうという課題がありました。

しかし、このプラン選択の課題を解決する例外が存在するので次の章から詳しく説明します。

条件付きでプランの混在が可能な「Google Workspace Frontline」

基本的には不可とされているプラン混在ですが、特定の条件を満たす現場従業員向けに提供されている「Google Workspace Frontline」を活用することで、コストを抑えたアカウント運用が可能になる企業もあります。

Google Workspace の「Frontline」とは?

Google Workspace Frontline とは、現場で働く従業員(デスクレスワーカー)を対象とした Google Workspace の特別なプランです。2021 年 4 月 1 日にリリースされたこのプランは、機能を現場スタッフに必要なコミュニケーションツールに絞り込むことで、安価な価格設定を実現しています。

Frontline は、デスクレスワーカーのデジタル化を推進するために設計された特殊なプランであり、「Business」または「Enterprise」プランとの併用(プラン混在)が導入の必須条件となっています。

これまで「ライセンス費用が高すぎて現場の社員にまでアカウントを付与できない」と悩んでいた企業も、デスクワーカーには「Business」もしくは「Enterprise」のプランを割り当て、現場の従業員には「Frontline」を割り当てるという柔軟な混在契約を行うことで、セキュリティを担保しながら全社的な情報共有基盤を Google Workspace で構築できるようになります。

Frontline を適用できる現場スタッフ資格要件

Frontline は対象となるユーザーが Google の定める「現場スタッフ(フロントラインワーカー)」の資格要件を満たしている必要があります。

Google が定義する現場スタッフの主な職務には、以下のような特徴があります。

  • 顧客または不特定多数の人に直接対応して、サービスやサポート、商品販売を行っている
  • 製品やサービスの製造、配送に直接携わっている
  • 組織の戦力の大部分を構成し、業務遂行にはスピードと共同作業を重要としている

【該当する現場スタッフの具体的な例】

  • 製造業の組み立て作業員
  • レストラン、ホテル、接客業、小売業の店舗スタッフ
  • 農業、漁業、林業の従事者
  • 建設作業員
  • 主に屋外で作業するフィールドワーカー
  • コールセンター(カスタマーサービスセンター)のオペレーター
  • 交通機関のオペレーター

働き方の特徴としては、「仕事用のモバイルデバイスを使用している」ことや、「固定のデスクを持たない」ケースが想定されています。

また、利用方法として、 Google Workspace サービス上で「コンテンツを新規作成することは少なく、主にコンテンツを確認するような作業」としています。

例えば、複雑な企画書やドキュメントを自ら長文で作成するのではなく、取り引きの完了報告をしたり、カレンダーで会議やシフトの予定を確認したり、マニュアル動画を閲覧するといった用途がメインとなるユーザーが想定されます。

要件に該当しない「デスクワーク中心の一般事務職」や「管理職」に Frontline を割り当てることは、ライセンス違反となるため注意が必要です。

企業のセキュリティニーズに合わせた Frontline 3 つのプラン

Frontline には、セキュリティや機能のレベルに応じて 3つのプラン(Frontline Starter / Frontline Standard / Frontline Plus)が用意されています。

① Frontline Starter

基本のセキュリティを網羅した最も手軽なプランです。Google Workspace ストレージは、ユーザーあたり 5 GBを備えており、ファイルをクラウドで安全に保存、バックアップします。Frontline Starter には、高度なセキュリティと管理機能も含まれています。

【機能】

  • Gmail
  • Google ドライブ
  • Google カレンダー
  • Google Meet
  • Google Chat
  • Gemini アプリ
  • NotebookLM
  • Google サイト
  • AppSheet Core

【 管理機能 】

  • 高度なエンドポイント管理 :組織のデータを細かく管理。安全なパスワードを必須にできるほか、デバイスのリモートワイプ、Android での仕事用プロファイルの使用、iOS アプリの管理などを行えます。
  • ドライブのログイベント データ :Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライド、Google フォーム、Google サイトでのユーザーアクティビティを確認できます。
  • データ保護に関する分析情報レポート :機密データが含まれる組織内のドライブ ファイルに関する情報を確認できます。

② Frontline Standard

Frontline Starter の全機能に加え、企業の法的リスクや情報漏洩対策が強化され、高度なコンプライアンスに対応します。

【 追加される機能 】

  • Google Vault :メールやチャットのデータを法的保持・検索・書き出しが可能です。
  • データ損失防止(DLP) :ルールを作成して適用することで、機密情報(個人情報など)の組織外への共有を自動検知・管理します。
  • エンタープライズ エンドポイント管理 :会社所有デバイスの詳細な管理ルール適用が可能です。
  • コンテキストアウェア アクセス :ユーザーの ID や位置情報、IP アドレスに基づいてアクセスを制御します。
  • Cloud Identity Premium :企業向けセキュリティ、アプリ管理、自動デバイス管理を行います。

③ Frontline Plus

Frontline Standard の全機能に加え、以下のような最先端のセキュリティおよびコンプライアンス管理機能が含まれることと、現場スタッフにも AI 活用を積極的に推進したい企業向けの最上位プランです。

【 追加される機能 】

  • Gmail、Chat、Meet の Gemini AI 機能 :各アプリ上で、Gmail での文章作成サポート、Google Meet での会議メモ自動生成、Google Chatでの会話要約や自動翻訳などが利用可能です。
  • ホスト型 S/MIME :S/MIME 標準を有効にして、受信メールと送信メールを暗号化します。
  • データリージョン :組織部門またはグループごとにデータの地理的な保管場所を選択する、レポートや監査を行うなどの高度な機能を利用できます。
  • クライアントサイド暗号化(CSE) :ユーザーはドライブのファイル、メールなどに別の暗号化レイヤを追加したり、クライアントサイド暗号化が適用されたアイテムを新規作成したりできます。
  • セキュリティ サンドボックス :仮想環境でメールの添付ファイルをスキャンして、不正なソフトウェアやファイルを検出します。
  • アクセスの透明性 :Googleスタッフによる操作ログの確認ができます。

Frontline プランについての機能や各プランの比較を、以下の記事で紹介しています。

【比較表】Frontline 活用でのコストの差

Google Workspace の通常プランで最も安価な「Business Starter」と、Frontline の各プランを比較してみましょう。

項目 Business Starter Frontline Starter Frontline Standard Frontline Plus
価格(年間契約・月額) ¥800 /ユーザー ¥520 /ユーザー ¥1,360 /ユーザー ¥1,800/ユーザー
ストレージ容量 30GB /ユーザー(プール方式) 5GB /ユーザー 5GB /ユーザー 5GB /ユーザー
利用可能人数 300人まで 無制限 無制限 無制限
ドキュメントファイルの作成(共有ドライブ) ◯制限あり 不可 不可 不可
エンドポイント管理 標準 高度 エンタープライズ エンタープライズ

※価格や機能は記事作成時点のものです。また、販売代理店によって提供価格が異なる場合があります。

上記の表を参考に、例として社内に 300 名の現場スタッフがいる企業を想定してコストを比較してみます。

Business Starter(800 円/月)に対し、Frontline Starter(520 円/月)は、約 35 % ものコスト削減を実現します。300 名の現場スタッフを抱える企業であれば、月間 84,000 円、年間で約 100 万円のコスト を浮かせることができます。

注目すべきはセキュリティ機能です。Frontline Starter であっても、Business Starter よりも強力な「高度なエンドポイント管理」が標準搭載されています。これは、スマートフォンを多用する現場環境において、デバイス紛失時のリスクを最小限に抑える Google 側のプラン設計です。 最安プランである Frontline Starter でも安心して導入することができます。

実際にプランを混在させて Google Workspace Frontline を活用している企業の事例を紹介します。

▼「Frontline プラン」も含めた Google Workspace 導入ご相談はぜひ TSクラウドへ

Google Workspace のプランを混在させる場合の注意点

Frontline の活用によるプラン混在はコスト削減に有効ですが、通常の Business プランなどと比較して機能に制限があり、運用上のルールも厳格に定められています。導入を検討する際は、以下の 3 つの注意点を把握しておきましょう。

注意点 1:Google 側の監査とライセンス違反のリスク

Frontline は「現場スタッフ」という特定の要件を満たすユーザーにのみ許されたプランです。 Google は「合理的な裁量により、要件を満たさないユーザーにライセンスが割り当てられている」と判断した場合、該当組織の Frontline へのアクセスを制限する権利を持っています。コスト削減のみを目的に、本来 Business プラン以上が必要な事務職や役員に Frontline を割り当てることは、組織全体がサービス停止に追い込まれるリスクとなります。

Frontlin プランの 「資格判断」に迷う場合は、正規代理店に問い合わせることをおすすめします。

注意点 2:ストレージ容量が「5 GB」と少ない

Frontline の各プラン(Starter、Standard、Plus)は、1 ユーザーあたりのストレージ容量が「5 GB」に固定されています。

デスクワーカー向けの Business Starter は 1 ユーザーあたり「30 GB」、Business Standardが「2 TB」であり、なおかつ組織の容量を合計し、それを全体で共有できる「プール方式」を採用しています。Frontline は、プール方式ではないため、組織内のあるユーザーが容量を余らせていても、Frontline ユーザーの容量不足を補うことはできません。

通常プランと比較すると、5 GB は少ない容量です。現場スタッフは主に「ファイルの閲覧」や「情報の確認」を行うためのユーザーであると想定されているため、大容量のストレージは不要という設計に基づいています。

そのため、業務で高画質の現場写真や動画データを日常的に大量に保存したり、重い添付ファイル付きのメールを頻繁に送受信するような使い方をすると、すぐに 5 GB の容量上限に達してしまい、業務に支障をきたす恐れがある点に注意が必要です。

ストレージが Frontline の 5 GBで足りない場合は、たとえ現場スタッフであっても、組織で併用している上位プラン(Business または Enterprise)のアカウントを割り当てることで、コストはかかりますがストレージ上限を気にすることなく使用することができます。

注意点 3:共有ドライブの「作成・アップロード」制限

Frontline は、マイドライブ内でのファイル作成は可能ですが、組織のファイル共有に便利な共有ドライブにおいて、明確な権限制限があります。

制限内容 :共有ドライブ内でファイルの「新規作成」や「アップロード」ができません。デフォルトでは「閲覧者」または「コメント投稿者」としての利用となります。

運用の工夫 :現場スタッフから写真や日報を共有ドライブ上で受け取りたい場合、上位プランの管理者がファイルごとに適切な編集権限を付与することで、既存ファイルの上書きや編集が可能になります。

「Frontline」混在での Google Workspace 申し込み方法

Google Workspace の通常プラン と「Frontline」 を混在するお申込みは、Google の営業担当者宛に直接連絡するか、Google Workspace の正規販売代理店を経由して購入する手続きが必要です。

代理店を通して申し込む場合の具体的なプロセスは以下の通りです。

  1. 代理店へ問い合わせ
    Frontline とのプラン混在での Google Workspace 導入希望であることを問い合わせします。その際、デスクレスワーカー(現場スタッフ)の割合や利用用途、希望のプランなどその時点で検討している内容を伝えるとよいでしょう。
  2. 要件ヒアリング
    代理店の専門スタッフが、貴社の現場スタッフが Google の定める Frontline としての資格要件を満たしているかをヒアリングします。また、Google Workspace 通常プラン (Business / Enterprise ) のプラン選定と現場スタッフ用の Frontline のプラン選定とご希望の申込み数を伺います。代理店ではこれまでの Google による承認実績から、お申込みの最低ライセンス数や、通常プランと Frontline の割合の目安などのアドバイスをする場合があります。その後、概算見積りが作成されます。
  3. Google による審査・認定
    代理店より Google に申請を行い、Frontline を含めたプラン混在が認められるかどうかの審査を受けます。
  4. 申し込み手続き
    承認後、代理店経由で契約・ライセンスの付与が行われます。

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