【情シス効率化】ノンコア業務を半減し本業に集中する仕組みの作り方
コラム更新日:2026.06.16
本記事では、情報システム(情シス)担当者が部分最適なツール運用から脱却し、業務効率化を実現するための具体的なステップを提示します。日々、社員からのヘルプデスク対応やシステムの障害対応、セキュリティ対策など多岐にわたる業務に追われ、「本来注力すべき業務に手が回らない」と頭を抱えている情シスの担当者は多いのではないでしょうか。情シスの業務を圧迫している原因を浮き彫りにし、それらを根本から解決するための「ツールの集約」というアプローチについて解説します。
執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。
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目次
情シスの業務効率化が急務となっている背景
現在、多くの企業で情シスの業務効率化が急務とされています。バックオフィス業務のなかでも、特に情シスに負荷が集中しやすい環境が形成されているためです。なぜ今、これほどまでに情シスの負担が増大し、効率化が叫ばれているのか、その背景には3つの大きな変化があります。
深刻化するIT人材不足と業務の多様化
情報処理推進機構(IPA)が発表した「DX動向2025」によると、DXに取り組んでいる企業の85.1%がIT人材の不足を感じています。多くの現場では、限られた人数、あるいは他の総務業務などと兼任しながら情シス業務を回しているのが実態です。
その一方で、企業が対応すべきIT業務は、基幹システムの維持から最新デバイスの導入まで急激に多様化しています。人手が増えないなか業務量だけが増加し続けているため、従来のやり方のままでは組織が維持できない限界を迎えています。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」
ハイブリッドワークの普及による管理負荷の増大
ハイブリッドワークの定着は、従業員の利便性を高めた一方で、情シスの管理負荷を増大させました。社内ネットワークの内側だけを保護すればよかった時代は終わり、多様な場所から、多様なネットワークを経由してアクセスされるシステムを監視・管理しなければならなくなったからです。社外に持ち出されたPCの紛失対応や、VPNの帯域不足への対処、自宅の通信環境に関する問い合わせなど、ハイブリッドワーク特有のヘルプデスク業務が情シスのリソースを削っています。
高度なセキュリティ脅威への対応
サイバー攻撃の手口は年々高度化・巧妙化しており、大企業だけでなく中小・中堅企業をターゲットにしたランサムウェア被害やフィッシング詐欺が多発しています。情シスは、これら最新の脅威から企業の重要なデータを守るため、常にシステムのアップデートやセキュリティパッチの適用、エンドポイントの監視を行わなければなりません。万が一、セキュリティインシデントが発生すれば企業の信用に関わるため、精神的なプレッシャーも情シスの大きな負担となっています。
なぜ今のIT環境は情シスを追い詰めるのか?効率化を阻む4つの要因
業務効率化を進めようとしても、現場にはそれを阻む根深い要因が存在します。多くの企業に共通している、4つのボトルネックについて見ていきましょう。
1.オンプレミス管理の重圧
自社内に物理的なサーバーを設置して運用するオンプレミス環境は、情シスにとって非常に重い負担です。物理サーバーは、24時間365日の安定稼働を維持するための監視が必要であり、経年劣化に伴うハードウェアの交換や、定期的なバックアップ作業、落雷や停電といった災害時の対応まで、すべて自社で賄わなければなりません。
2.アカウントの乱立とシャドーITリスク
業務の利便性を求め、部門ごとに異なるSaaSを個別に契約した結果、システムが乱立するケースが増えています。これにより、従業員の入社・退職や異動のたびに、情シスは何十ものシステムに対して手動でアカウントの発行や削除を行わなければなりません。
情シスが把握していないツールが現場で勝手に使われる「シャドーIT」のリスクも高まります。元社員のアカウントが削除漏れで残ってしまい、そこから情報が漏洩するといったリスクは致命的です。
3.情報のサイロ化
ツールがバラバラに運用されていると、データがそれぞれのシステム内に孤立する「情報のサイロ化」が発生します。「必要なファイルがどのツールのどこに保存されているか分からない」「最新のバージョンがどれか分からない」といった状態が社内で常態化すると、現場の従業員からの問い合わせが情シスへと集中します。本来、現場で解決できるはずのファイル検索や権限確認の要望が、情シスへのヘルプデスク要求として積み重なり、業務を肥大化させる原因となっています。
4.セキュリティ対策の不安と属人化
複数のシステムやツールが混在している環境では、システムごとにセキュリティ設定やログの仕様が異なります。そのため、万が一不審なアクセスやトラブルが発生した際、原因を特定するためにそれぞれのログを個別に確認しなければならず、調査にかかる時間は膨大です。また、ITノウハウが担当者個人に集中する「属人化」が起きやすく、その担当者が不在のときに対応が遅れるという二次的なリスクも生み出しています。
【解決策】ツールは足さずに「クラウドへ集約」する
前章で述べた課題を解決しようと、さらに個別の管理ツールやセキュリティツールを導入するのは逆効果です。業務ごとに最適なツールを選ぶ「部分最適」は、現場の生産性を高めるように思えるかもしれません。しかし、企業全体の視点で見ると、管理コストの肥大化やセキュリティレベルの不均一化を招き、管理工数が増大するリスクを伴います。
「部分最適」を脱却し、今多くの企業が舵を切っているのが「統合プラットフォーム」への集約です。統合プラットフォームとは、ビジネスに必要なメール、ファイル共有、チャット、ビデオ会議、セキュリティ機能などを一つの基盤上で提供するクラウドサービスを指します。「全体最適」へと舵を切ることで社内インフラの「見取り図」がシンプルになり、トラブルシューティングや将来の拡張計画が立てやすくなります。
情シス業務を劇的に変える「クラウド集約」3つのメリット
複数のツールを個別に運用する従来の環境から、クラウド型の統合プラットフォームへインフラを集約することで、具体的にどのような変化がもたらされるのか、3つのメリットを解説します。
運用管理コスト(サーバー管理等)を一本化できる
個別のシステムや物理サーバーの運用を止め、クラウド型の統合プラットフォームへ移行することは、社内ITインフラの維持・管理負担を大幅に削減します。インフラのメンテナンスやアップデートはすべてクラウドベンダー側で自動的に行われるため、情シス担当者が手動で修正パッチを当てたり、夜間にサーバー障害の対応に追われたりする手間から完全に解放されます。
ハードウェアの経年劣化による交換リスクや資産管理の負担もゼロになり、バックアップもシステム側で自動化されるため、インフラの運用保守に割かれていたリソースを大幅に削減できます。
アカウントの一元管理でシャドーITや属人化を防げる
クラウド型の統合プラットフォームを導入する最大の利点は、ID・アクセス管理のシンプル化にあります。社内のあらゆる機能やツールへのアクセス権限を、一つの統合された管理画面から一元的にコントロールできるようになります。
従業員の入社や退職、異動に伴うアカウントの発行・削除作業が1回で完結するため、作業の漏れを防ぎ、元社員のアカウントが削除漏れによって放置されるセキュリティリスクを確実に排除できます。また、外部システムとのシングルサインオン(SSO)連携も容易になり、パスワード紛失に関するヘルプデスク対応の負担も最小限に抑えられます。
情報のサイロ化を解消しヘルプデスク負荷を軽減できる
すべての業務データが統合プラットフォーム上の共通ストレージで管理されるため、システムごとに情報が孤立するサイロ化を根本から解消できます。高度な一括検索機能を利用すれば、必要なドキュメントや過去のコミュニケーション履歴を組織横断で即座に見つけ出すことが可能です。
現場の従業員が「必要なファイルがどこにあるか分からない」「どれが最新版か分からない」と迷うことがなくなるため、情シスに集中していたファイル検索やアクセス権限の付与に関する問い合わせが自然と減少し、日々の突発的なヘルプデスク業務の効率化に繋がります。
なぜ多くの企業がGoogle Workspaceにツールを集約するのか
統合プラットフォームのなかでも、特に高い支持を集めているのがGoogle Workspace です。その理由は、企業の生産性向上と情シスの管理負荷軽減を両立できる点にあります。Gmailなど使い慣れたインターフェースにより導入時の教育コストを最小限に抑えられるだけでなく、リアルタイム共同編集機能によってファイルの先祖返りやバージョン管理の手間を完全に排除します。
さらに、強力な一括検索や生成AIとの連携により現場の情報探索を高速化し、情シスへの問い合わせを激減させます。セキュリティ面でも、一元化された管理コンソールから2段階認証やデバイス制御などを集中統制できるため、最小限の工数で強固なガバナンスを構築可能です。機能ごとに乱立していた個別SaaSの契約を一本化することで、ライセンス費用や更新手続きの工数も大幅に削減できるため、多くの企業に選ばれています。
\ Google Workspaceを活用して情シスの業務効率化を図るには /
ノンコア業務を削減し「集約化」を進める4ステップ
ツールの集約を成功させるためには、計画的なアプローチが必要です。現場の混乱を最小限に抑え、情シス自身の運用のシンプル化を実現するための具体的なステップを紹介します。
1. 現状のツール利用状況とコストの可視化
まずは、社内で現在どのようなツールが使われているのか、その全容を徹底的に洗い出します。各部門が独自に契約しているSaaSや、情シスの把握していないシャドーITも含めて可視化することが重要です。
それらのツールに毎月いくらの費用が発生しているか、そして情シスや現場がどれだけの管理工数を割いているかを数値化します。ツールを集約することで、どれだけのコスト削減と工数削減が見込めるかを事前に算出しておくことが、社内の合意形成において重要な材料となります。
2. 移行計画の策定とデータ移行の準備
洗い出したツールをもとに、どのデータをいつ、どのように統合プラットフォームへ移行するかという具体的なスケジュールを策定します。特にメールのデータや、ファイルサーバーに眠っている膨大な過去資料の移行には時間がかかるため、移行ツールを活用して段階的に進める計画を立てましょう。
すべてのデータを一気に移すのではなく、直近で必要なアクティブデータから優先的に移行し、古いアーカイブデータは読み取り専用として別で保管するなど、メリハリをつけた計画にすることで、移行期間中の業務停止リスクを回避できます。
3.セキュリティポリシーの設定と権限管理の最適化
データの移行と並行して、管理コンソール上でのセキュリティルールを設計します。組織の階層や役職に応じた適切なアクセス権限を設定し、外部へのファイル共有に関するルール(ドメイン外の共有禁止や承認制など)を明確に定めます。
また、多要素認証(MFA)の義務化や、許可された端末からのみアクセスできるようにするデバイス制御を設定することで、強固なガバナンス体制を構築します。運用がスタートする前にこれらを一括設定しておくことで、運用の手戻りを防ぐことができます。
4.社内教育とスムーズな運用の定着化
従業員が新しい環境を使いこなせるよう支援することが、最終的な情シスの効率化に繋がります。基本的な操作マニュアルの配布や、社内説明会の開催を通じて、ツールの活用方法を周知しましょう。
特に、各部門にITリテラシーが比較的高い「アンバサダー(推進役)」を配置しておくことで、現場内でのちょっとした疑問をその場で解決できるようになり、情シスへの初歩的な問い合わせの集中を防ぎ、スムーズな定着化を実現できます。
導入や移行の不安は「プロのサポート」で解消
「既存のデータ移行や初期設定を一人でやり切るリソースがない」と不安に感じる方もいるでしょう。その場合は、正規代理店の導入支援サービスやITアウトソーシングを積極的に活用することをおすすめします。初期の導入計画や複雑なセキュリティ設定、データ移行をプロに任せることで、情シス担当者の負担を最小限に抑えつつ、確実な環境移行が可能になります。
▼Googleのプレミアパートナー TSクラウドでは、「導入支援サービス」を提供しています。専門スタッフが導入計画の策定や面倒な初期設定を代行するため、スムーズな運用開始が可能です。
統合による効率化で情シスの価値を最大化しよう
運用保守の手間を半減させ、そこで生まれたリソースを、社内のDX推進やコア業務の自動化、IT戦略の策定といった「攻めのIT」へとシフトさせていくことこそが、これからの情報システム部門に求められる真の役割です。まずは社内のツール環境の見直しから、効率化への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
