コラム更新日:2026.07.14

「テレワークを導入したけれど、VPNの接続が不安定で業務が進まない」「クラウドサービスを使いたいけれど、情報漏洩が心配」と悩んでいませんか。

これまで主流だった、社内ネットワークの「境界」を守るセキュリティ対策は、多様な働き方が広がる現代において限界を迎えつつあります。そこで注目されているのが、「すべてのアクセスを信用しない」という考え方に基づいた「ゼロトラストネットワーク」です。

本記事では、ゼロトラストネットワークの基礎知識から、中小企業が大きなコストをかけずに導入できる具体的なアプローチを詳しく解説します。安全で管理が楽なビジネス環境を整えるための第一歩を踏み出してみましょう。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

目次

ゼロトラストネットワークとは?従来の「境界型」との違い

従来のセキュリティ対策は「社内は安全、社外は危険」という境界線を引くものでした。しかし、クラウドの普及や働き方の変化により、その境界線だけではデータを守りきれなくなっています。そこで生まれたのが、すべてのアクセスを検証する「ゼロトラスト」という新しい仕組みです。まずはゼロトラストについて、従来の「境界型」との違いを解説します。

すべてを「信用しない(Zero Trust)」新しいセキュリティの考え方

ゼロトラストとは、その名の通り「すべてを信用しない(Zero Trust)」という前提に立ったセキュリティの防衛思想です。これまでの対策では、社内ネットワークへの接続を許可されたユーザーやデバイスは「安全なもの」として扱われていました。しかしゼロトラストでは、アクセスしてくるものが社内外問わず、すべてを等しく「信用できないもの」として検証します。

具体的には、以下のような要素をアクセスがある度に毎回チェックします。

  • 正しいユーザーIDとパスワードが入力されているか
  • 認められた安全なデバイスからアクセスしているか
  • 不審な場所や時間帯からの通信ではないか

このように、「常に確認し、決して信用しない」状態を維持することで、どこからでも安全にクラウドサービスを利用できる環境を作ることができます。

従来のVPNや社内サーバーにおける「境界型」の限界

これまで多くの企業で使われてきたのが、社内サーバーやVPNを中心とした「境界型」セキュリティです。これは、社内と社外の間に強固な「壁」を作り、外部からの侵入を防ぐ手法です。

しかし、この仕組みには構造的なリスクが潜んでいます。最大の弱点は、一度その「境界の壁」を突破されてしまうと、内部での不正な攻撃やランサムウェアなどのウイルス感染が急激に広がってしまうことです。VPNのIDやパスワードが盗まれたり、VPN機器自体の脆弱性を突かれたりして悪意のある第三者に侵入された場合、社内ネットワークにあるすべてのファイルやデータへ自由にアクセスされてしまうリスクがあります。

さらに、多くの社員が一斉にVPNを利用すると、通信速度がきわめて遅くなり、業務の生産性が低下するという問題も発生します。社内サーバーを維持するためのコストや、セキュリティ機器を拠点ごとに導入・管理する手間も、IT担当者が少ない中小企業にとって大きな負担となっているのが現状です。

業務効率を落とさずにデータを守るためには、境界線に頼る方法から脱却していく必要があります。

なぜ今ゼロトラストネットワークが必要なのか

現代のビジネスにおいて、従来のセキュリティ体制のまま運用を続けることは大きなリスクを伴います。働く場所の多様化やサイバー攻撃の高度化によって、これまでの「常識」が通用しなくなっているためです。ゼロトラストネットワークへの切り替えが急務となっている背景について、2つの視点から詳しく見ていきましょう。

多様な働き方とクラウドサービスの普及

現在、多くの企業で在宅勤務や複数拠点での業務など、柔軟なワークスタイルが当たり前になりました。総務省が2026年5月に公表した「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、テレワークを導入している企業の割合は50.1%に達し、3年ぶりに5割を超えています。このように外出先や自宅からインターネットを介して、日常的にクラウドサービス(SaaS)へアクセスする機会が企業において急増しています。

こうした環境では、「社内ネットワークの内部だけを守る」という管理手法では対応が難しいのが現状です。社員が会社の外でデータを扱う機会が増えたからこそ、ネットワークの場所に関係なくデータを保護できるゼロトラストの仕組みが必要不可欠となっています。

サイバー攻撃の巧妙化

サイバー攻撃の手口は、年々きわめて巧妙になっています。警察庁が2026年に公表した最新の統計「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、2025年に発生したランサムウェア被害のうち、なんと63.3%が中小企業でした。大企業に比べてセキュリティ対策が手薄になりがちな中小企業が、ターゲットとして狙われている実態が浮き彫りになっています。

最近増えている、個人を対象とした標的型メールや不正アクセスは、「不審なメールやサイトを開かなければ安全」という従来の常識が通用しないほど巧妙です。気づかないうちにアカウント情報が盗まれ、社内ネットワークへ侵入されるケースが後を絶ちません。被害に遭うと、業務が数日間にわたって停止するだけでなく、信頼の失墜など致命的な機会損失を招く恐れがあります。

ゼロトラストネットワーク導入のメリット

ゼロトラストネットワークの導入は、単にセキュリティを強化するだけでなく、企業の成長や働き方の改革にも大きなメリットをもたらします。経営者にとっても、現場のIT担当者にとっても、日々の運用の負担を減らしながら安全性を高めることができる、2つのメリットについて分かりやすく解説します。

場所やデバイスに縛られない柔軟な働き方

ゼロトラスト環境を整えることで、社員は「いつでも、どこからでも」安全に業務を継続できるようになります。従来の境界型セキュリティでは、「社外からのアクセスは危険だから禁止する」あるいは「セキュリティを確保するために、必ず出社して作業をしなければならない」といった制限が発生しがちでした。

しかし、ゼロトラストではアクセスする場所ではなく、ユーザーやデバイスの安全性をその都度検証します。そのため、在宅勤務や出張先のカフェ、地方のサテライトオフィスからでも、オフィスにいるときとまったく同じように安全な環境で業務を行えます。

また、会社が支給したパソコンだけでなく、事前に安全性を確認した個人のスマートフォンやタブレットを活用して、隙間時間にメールやチャットを安全に確認することも可能です。セキュリティ制限による出社強要がなくなり、柔軟で多様な働き方を実現する強力なインフラとなります。

データ漏洩リスクの低減とIT管理者の負担軽減

ゼロトラストネットワークを導入することで、データ漏洩リスクを未然に防ぎつつ、IT管理者の負担を減らして本来の業務に集中できるようになります。

テレワークの拡大にともない、大切なデータが漏洩するリスクが高まる一方で、限られた人数でシステムを支える管理者の運用負荷は増大しているのが現状です。しかし、ゼロトラストにおけるセキュリティ対策の自動化や一元管理を取り入れることで、安全性の強化と運用の効率化を同時に実現できます。

これまでは、複数のシステムやデバイスごとに個別にセキュリティ設定を行う必要があり、管理が煩雑化しがちでした。しかし、ゼロトラストの仕組みを用いてアカウントやデバイスの状態を一元管理できれば、ひとつの管理画面から組織全体のセキュリティ状況を正確に把握できるようになります。

これにより、設定ミスや対応漏れを防げるだけでなく、メンバーの入社・退職にともなうアカウント発行や権限変更といった日々の定例作業もスムーズかつ安全に行えます。結果として、限られたリソースのなかでも安全性を高く維持しながら、管理者が本来のコア業務に集中できる環境を整えることが可能です。

Google Workspaceなら低コストで強固なゼロトラストネットワーク構築が可能

ゼロトラストネットワークの導入と聞くと、「専用のシステムを購入しなければならず、高額なコストがかかるのでは」と身構えてしまうかもしれません。しかし、Google Workspaceのようなクラウドツールの活用によって、低コストで強固なセキュリティの土台が実現できます。ここでは、ゼロトラスト環境を構築できるGoogle Workspaceの主な機能について解説します。

ID・パスワードだけに頼らない「多要素認証(2段階認証)」

ゼロトラストの第一歩として、まず徹底したいのが「多要素認証(2段階認証)」です。従来のIDとパスワードだけの認証では、万が一その情報が流出してしまった場合に、第三者によるなりすましログインを簡単に許してしまいます。

Google Workspaceのアカウント管理機能には、標準で2段階認証が実装されています。これを有効化することで、パスワードの入力後にスマートフォンへの通知確認や、ワンタイムコードの入力を求めることができるようになります。

万が一パスワードが盗まれても、本人デバイスがなければログインできないため、認証の安全性を一気に高めることが可能です。追加の費用をかけることなく、今すぐ始められる強力な防衛手段としてきわめて有効です。

アクセスを細かく制御する「コンテキストアウェアアクセス」

さらに高度な制御を行うために活用したいのが、「コンテキストアウェアアクセス」という機能です。これは、アクセスしてきたユーザーの状況を判断し、あらかじめ設定した条件を満たしているときだけ利用を許可する仕組みです。

たとえば、「指定したセキュリティ対策済みのパソコンからのみアクセスを許可する」「個人のスマートフォンからのアクセスは一律でブロックする」といった細かいコントロールが可能になります。

Google Workspaceについての詳細や、ゼロトラスト環境構築に適している理由についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご一読ください。

まずはGoogle Workspaceを知る

Google Workspaceの詳細

GoogleWorkspaceのゼロトラスト機能を詳しく知る

ゼロトラスト環境構築を知る

Google Workspaceをハブに、現実的なゼロトラストへの第一歩を

ゼロトラストネットワークへの対応は、「何かが起きて困ってから」動くのでは手遅れになってしまいます。サイバー攻撃の脅威が増している現代において、中長期的な視点を持って、早期に安全な土台を作ることが不可欠です。

大企業向けの専用システムを一から導入しようとすると、数百万から数千万円規模の予算や、膨大な構築期間必要になることが珍しくありません。しかし、使い慣れたGoogle Workspaceをハブ(中心)として活用すれば、追加のシステム投資を最小限に抑えながら、現実的かつスムーズにゼロトラストの第一歩を踏み出すことができます。

「自社に最適なプランがわからない」「DNS設定や権限の設計をミスなく一発で完了させたい」という場合は、専門のサポートを利用するのもおすすめの手法です。安全で効率的な運用のために、まずは自社のセキュリティ課題の整理から始めてみてください。

TSクラウドでは、Google Workspaceの導入に伴うクラウド移行やセキュリティ環境の刷新をシームレスに行うための「導入支援サービス」を提供しています。DNS設定を含めた初期設定代行を専門のスタッフがトータルでバックアップいたします。社内のITリソースが限られている場合でも、プロのノウハウによりスムーズな移行を実現できますので、安全なゼロトラスト環境を手に入れたい方はぜひお気軽にご相談ください。

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