コラム更新日:2025.07.28

現代のビジネスにおいて、生産性向上や情報共有の効率化に不可欠なツールとして企業活動の基盤となっているグループウェア。たとえば、製造業では迅速な意思決定と部門間の連携強化が求められており、最適なグループウェアの選定は事業成功のカギといっても過言ではありません。本記事では、グループウェアの概要から選定する際の比較ポイント、主要なツールの比較まで網羅的に解説します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

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まずはおさらい|グループウェアとは?主な機能と導入メリット

グループウェアとは、組織内の情報共有やコミュニケーション、業務プロセスなどを一元的に管理し、従業員間の協業を促進するためのソフトウェアのこと。企業活動のデジタル化が進む中、ビジネスを円滑に進める上で不可欠なツールとなっています。グループウェアは企業の DX 推進における「情報のハブ」として、その中心的な役割を担っています。グループウェアの主な機能と導入メリットについて見ていきましょう。

グループウェアの主な機能

グループウェアには多岐にわたる機能が搭載されています。代表的な機能は次の通りです。

  • スケジュール管理
    個人やチーム、会議室などのスケジュールを共有することで、予定調整を効率化できます。空き時間の確認や会議招集がスムーズに行えるため、調整時間にかかる手間の削減につながります。
  • 情報共有(掲示板・ポータル)
    会社からのお知らせ、プロジェクトの進捗状況、ナレッジの共有など、多様な情報を一元的に発信・蓄積できます。必要な情報に素早くアクセスできる環境が整い、情報伝達の漏れを防ぎます。
  • ファイル共有
    文書や画像、動画などのファイルを安全に共有し、共同編集を可能にします。ファイルのバージョン管理機能により常に最新のファイルにアクセスできるため、誤った情報での作業を防ぎます。
  • ワークフロー
    稟議書や申請書などの承認プロセスを電子化し、進捗状況を可視化します。紙でのやり取りをなくすことで、承認時間の短縮、ペーパーレス化、内部統制の強化を実現します。
  • コミュニケーションツール
    チャット、Web 会議、メールなど、多様な形式でのコミュニケーションを可能にします。テキストだけでなく、音声や映像を使ったリアルタイムな対話で、遠隔地との連携もスムーズになります。

グループウェア導入で得られる 3 つのメリット

グループウェアの導入は企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、事業運営の質を向上させる 3 つのメリットを解説します。

  • メリット 1:情報共有の迅速化
    グループウェアは組織内の情報を一元管理し、必要な情報を必要な時にアクセスできる環境を整えます。これにより、部門間や拠点間の情報格差が解消され、意思決定のスピードが向上するのがメリットです。たとえば、製造現場から報告されたトラブル情報が瞬時に設計部門や品質管理部門に共有され、迅速な原因究明と対策が可能になります。
  • メリット 2:業務プロセスの効率化
    ワークフロー機能により、承認プロセスがペーパーレス化され、滞留なくスムーズな進行を促せるのもメリットです。また、ファイル共有機能での共同編集は、資料作成やレビューの時間を大幅に短縮します。グループウェア導入は定型業務にかかる時間を削減し、従業員がより創造的で付加価値の高い業務に集中できる環境を創出します。
  • メリット 3:多様な働き方への対応
    クラウド型のグループウェアは、インターネット環境があれば場所を選ばずにアクセスできるため、リモートワークやハイブリッドワークを強力に支援します。従業員はオフィス以外の場所でも円滑に業務を進めることができ、柔軟な働き方の実現を通じて優秀な人材の確保や従業員満足度の向上にもつながるでしょう。

失敗しないグループウェアの選び方|比較検討すべき 6 つの重要ポイント

自社に最適なグループウェアを選ぶには、多角的な視点から慎重に比較検討を進める必要があります。ここでは、特に重視すべき 6 つのポイントを解説します。

ポイント 1:提供形態(クラウド型、オンプレミス型)

グループウェアの提供形態は、大きくクラウド型とオンプレミス型に分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の運用体制やセキュリティポリシーに合わせて選択することが重要です。

  クラウド型 オンプレミス型
コスト 初期費用を抑えやすい(月額/年額の利用料) 初期費用が高額になりやすい(サーバー、ソフトウェア、構築費用など)
メンテナンス負荷 ベンダーが運用・保守を行うため、自社での運用負荷が低い 自社でサーバーやネットワークの運用・保守が必要となり、専門知識や人員が必要
導入期間 比較的短期間で導入可能 サーバー構築やシステム設計に時間がかかるため、導入期間が長くなる傾向がある
BCP(事業継続計画)対策 ベンダーのデータセンターが分散されていることが多く、災害時の事業継続性に優れる 自社の設備に依存するため、自社で BCP 対策を講じる必要がある
カスタマイズ性 カスタマイズ性は限定的であるケースが多い 自社のシステム環境に合わせてカスタマイズしやすい
セキュリティ ベンダーが提供するセキュリティレベルに依存。世界的な基準を満たすものが多い 自社でセキュリティ対策を講じる必要があるが、会社内設備で情報を管理するため、外部漏洩のリスクが少ない


初期投資を抑え、運用負荷を軽減したい企業にはクラウド型がおすすめです。特に製造業では、地震や水害といった自然災害のリスクも考慮する必要があり、堅牢なデータセンターを持つクラウドサービスは、BCP 対策としても有効な選択肢となるでしょう。

ポイント 2:機能の過不足はないか

グループウェアは多機能であるほど良いわけではありません。重要なのは、自社の業務に必要な機能が過不足なく搭載されているか、全社導入した際に部署ごとに異なるニーズをカバーできるかという視点です。

たとえば、本社の事務部門では、複雑なワークフローや経費精算機能が重視されるかもしれません。一方、工場などの現場では、スマートフォンやタブレットからの簡潔な日報入力、緊急連絡網、写真による情報共有といった機能が求められるでしょう。自社の業務プロセスを洗い出し、必要な機能やあったら便利な機能など、優先順位を明確にすることが重要です。

ポイント 3:料金体系と運用を含めた総コスト

グループウェアの導入コストは、ライセンス費用だけでなく、総所有コスト(TCO)の視点が求められます。導入後の管理・運用にかかる人的コストや、既存システムからのデータ移行費用、従業員へのトレーニング費用なども含めて検討しましょう。

クラウド型の場合、月額または年額の利用料が発生しますが、オンプレミス型に比べて初期費用が抑えられます。しかし、ユーザー数が増えるごとに費用も増加するため、将来的な事業拡大を見据えたシミュレーションが不可欠です。また、情シス部門の運用負荷が軽減されることで、本来の業務に集中できる時間が増えるといった、目に見えにくいメリットもコスト削減効果として考慮するとよいでしょう。

ポイント 4:操作性

グループウェアを選択する際は、IT に不慣れな従業員でも直感的に使えるかという操作性も、重視するポイントです。操作が簡単で、日々の業務に自然と溶け込むような使い心地であれば、利用定着の促進が期待できます。

また、オフィス勤務者だけでなく工場や倉庫で働く従業員の利用も想定される製造業では、操作性に加えてスマートフォンや共有端末からのアクセシビリティなども確認しましょう。無料トライアル期間を利用して、実際に多様な部署の従業員に使ってもらい、フィードバックを得るのもおすすめです。

ポイント 5:セキュリティと管理体制

企業の機密情報を守り、運用負荷を削減できるかも、十分に検討しましょう。企業が扱う情報の中には、顧客情報、開発資料、設計図面、生産ノウハウなど、外部に漏れてはならない機密情報が多数含まれています。グループウェアはこれらの情報が集約される場所であるため、特に以下 5 点について比較検討するとよいでしょう。

  • アクセス権限制御
    ファイルやフォルダ、機能ごとに細かくアクセス権限を設定できるか。
  • 認証機能
    多要素認証(MFA)など、不正ログインを防ぐための強力な認証機能があるか。
  • 監査ログ
    誰が、いつ、どの情報にアクセスしたか、操作履歴が詳細に残るか。
  • データ暗号化
    通信経路や保存データが適切に暗号化されているか。
  • バックアップ体制
    データの損失に備えたバックアップ体制が堅牢か。

また、情報システム部門の運用負荷を軽減する観点からは、入退社に伴うアカウント管理のしやすさ、デバイス管理機能、セキュリティ設定の一元管理などが可能な管理者向け機能も重要です。

ポイント 6:拡張性と外部システム連携

グループウェアの導入は一時的なものではなく、将来の事業拡大や業務変化に対応できるかどうかも重要な選定ポイントです。拡張性とは、ユーザー数の増加や新たな機能の追加に柔軟に対応できるかを指します。たとえば、従業員数の増加に合わせてライセンスを容易に追加できるか、将来的には AI 連携や IoT 連携といった最新技術を取り入れることが可能かなどを確認しましょう。

さらに、既存の外部システムとの連携性も非常に重要です。生産管理システム、CAD/CAM システム、CRM、会計システムなど、自社ですでに利用している基幹システムとグループウェアがスムーズに API 連携できるかを確認するのがポイントです。

【機能・料金で比較】おすすめグループウェア 8 選

上記の選定ポイントを踏まえ、市場で評価の高い代表的なグループウェアを 8 つ紹介します。

主要グループウェア比較一覧表

主要な統合型グループウェアの料金と主な機能を表にまとめました。

  料金 主な機能
Google Workspace 月額 800 円~/ユーザー Gmail、Google カレンダー 、Google ドライブ、Google Meet、Google チャット、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライド、Google フォーム など
Microsoft 365 月額 899 円~/ユーザー Outlook、Exchange、SharePoint、Teams、Word、Excel、PowerPoint、OneDrive など
サイボウズ Garoon 月額 900 円~/ユーザー スケジュール、ポータル、ワークフロー、ファイル管理、掲示板、プロジェクト管理、メール など
Zoho Workplace 月額 360 円~/ユーザー メール、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーション、チャット、Web 会議、ファイル管理、ソーシャルイントラネット など
サイボウズ Office 月額 600 円~/ユーザー(クラウド版) スケジュール、掲示板、ファイル管理、ワークフロー、プロジェクト、施設予約、ToDo リスト など
desknet’s NEO 月額 600 円~/ユーザー (クラウド版) スケジュール、回覧・レポート、ワークフロー、ファイル管理、プロジェクト管理、ウェブメール など
J-MOTTO 月額 4,400 円(20 ユーザーまで)※スタンダードプラン スケジュール、回覧・レポート、インフォメーション、タイムカード、ワークフロー(オプション)、経費精算(オプション)など
HotBiz8 月額 11,880 円 (最大 200 ユーザーまで定額) 予定表、メッセージ、タスク管理、報告書、Web データベース、ワークフロー、備品管理、顧客管理 など


※2025 年 7 月時点の情報に基づいて作成。料金は基本的なプランの目安です。サービス内容や料金について詳しくは各サービスの公式サイトでご確認ください。

拡張性とセキュリティに優れたオールインワンタイプ

このカテゴリのグループウェアは、メール、カレンダー、ファイル共有、チャット、Web 会議、ドキュメント作成など、企業活動に必要な機能を網羅的に提供しているのが特徴です。特に、大規模な企業や情報セキュリティに対する意識が高い企業に適しています。クラウドベースで提供されるものが多く、強固なセキュリティ基盤と高い拡張性を兼ね備えています。

  • Google Workspace
    Google が提供する Gmail、Google ドライブ、Google Meet、Google ドキュメントなどの統合スイート。リアルタイム共同編集に強く、AI 機能との連携も進んでいます。直感的な操作性で、スムーズな情報共有とコラボレーションを実現します。
  • Microsoft 365
    Word、Excel、PowerPoint といった Office アプリケーションとの親和性が高く、Teams によるコミュニケーション機能、SharePoint による高度な文書管理が可能です。既存の Microsoft 製品を利用している企業には特に適しています。
  • サイボウズ Garoon
    大規模組織向けのグループウェアで、日本企業特有の商習慣に合わせた機能が充実。柔軟なカスタマイズ性、複雑な組織階層にも対応できる機能を備え、国産ならではの手厚いサポートが期待できます。
  • Zoho Workplace
    メール、オフィススイート、チャット、Web 会議、ファイル共有など、必要な機能を低コストで利用できるのが特徴。Zoho の他のビジネスアプリケーションとの連携も強みです。

Google Workspace について詳しく知りたい方、Google Workspace と Microsoft 365 の比較について知りたい方は、以下のコラムもご覧ください。

参考:Google Workspace とは?使い方やできること、料金プランを解説

参考:Google Workspace と Microsoft 365 を比較。選び方のポイントは?

国内企業向け・シンプルさ重視タイプ

このカテゴリのグループウェアは、日本の企業文化や商習慣に合わせた機能が充実しており、シンプルでわかりやすい操作性が特徴です。IT専任者 が少ない中小企業や、現場での利用が多い製造業などで、スムーズな導入と定着を重視したい場合に適しています。

  • サイボウズ Office
    Google が提供する Gmail、Google ドライブ、Google Meet、Google ドキュメントなどの統合スイート。リアルタイム共同編集に強く、AI 機能との連携も進んでいます。直感的な操作性で、スムーズな情報共有とコラボレーションを実現します。
  • desknet’s NEO
    日本企業に特化した多機能グループウェアで、主要機能と自社の業務に合わせて機能を無制限に増やせるアプリを搭載しています。クラウド版とパッケージ版があり、幅広い企業規模に対応。使いやすさと高いコストパフォーマンスが特徴です。
  • J-MOTTO
    クラウド型の多機能グループウェアで、スケジュール、回覧・レポート、インフォメーションなどの基本機能に加え、ワークフローや勤怠管理、経費精算などのオプションも充実しています。スマートフォンアプリも提供され、手軽な利用が可能です。
  • HotBiz8
    中小企業向けのクラウド型グループウェアで、最大 200 ユーザーまで定額制で利用できます。メッセージ、タスク管理、Web データベース、ワークフローなど、テレワークに役立つ機能を豊富に搭載しています。

【特化型ツール】コミュニケーション特化・低コストタイプ

このカテゴリのツールは、主にチャットや Web 会議といったコミュニケーション機能に特化している点が特徴です。Google Workspace や Microsoft 365 のような統合型グループウェアと組み合わせて利用することで、より高度な業務効率化や円滑なコミュニケーションを実現できます。チーム内のスピーディーな情報共有や、プロジェクトごとの連携を重視する企業に適しています。比較的低コストで導入できるため、まずはコミュニケーション改善から始めたい企業にもおすすめです。

  • Slack
    チャンネルと呼ばれるテーマ別のグループチャットが特徴で、テキストだけでなくファイル共有、音声・ビデオ通話も可能です。豊富な外部サービス連携が強みで、開発チームを中心に多くの企業で利用されています。
  • Chatwork
    日本で広く利用されているビジネスチャットツールの一つ。チャット、タスク管理、ファイル共有、ビデオ通話といった基本的な機能が揃っており、シンプルな操作性が特徴です。
  • Asana
    チーム内の作業分担、進捗トラッキング、目標設定などを可能にするタスク管理・プロジェクト管理ツール。タイムラインやボードビューなど、多様な視点でプロジェクトを管理できるのが特徴です。

【課題解決】Google Workspace で実現する、一歩先の働き方

多くの企業が抱える「場所」「情報」「管理」に関する課題は、生産性低下や情報漏洩リスクといった深刻な問題につながりかねません。Google Workspace はこれらの課題に対して、「シームレスな共同作業環境」「高度なセキュリティ」「一元化された管理コンソール」という3つの視点で解決策を提示しています。

「場所」に縛られない、シームレスな共同作業環境

従業員がオフィス、自宅、外出先などどこにいても、まるで隣にいるかのようにスムーズな共同作業を実現できるのが Google Workspace の大きな強みです。Google ドキュメントや Google スプレッドシート、Google スライドは、複数人での同時編集が可能で、変更履歴も自動で保存されます。これにより、メールでのファイル添付やバージョン管理の手間が不要になり、業務効率が大幅に向上します。

たとえば、製造業において、本社勤務の設計担当者が新しい製品の図面を作成し、同時に遠隔地の工場長がタブレットからその図面を確認・コメントするといった連携がリアルタイムで行えます。

企業の生命線である「情報」を、高度なセキュリティで保護

顧客情報や開発資料、設計図面など、企業の重要資産である情報は、ビジネスの信頼性を左右する生命線です。万が一、これらの情報が漏洩すれば事業の信頼は一瞬で失われ、甚大な損害を被る可能性があります。

Google Workspace は、あらゆる機密情報を世界最高水準のセキュリティで安全に管理できます。ファイル単位での詳細なアクセス権限制御はもちろん、データはすべて暗号化して保存・転送。さらに、多要素認証、不正アクセス検知など、多層防御によって情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。企業の重要資産を世界最高水準のセキュリティで保護することは、ビジネスの信頼性の向上にもつながります。

「管理」の負荷を減らし、本来の業務に集中できる体制の実現

Google Workspace は一元化された管理コンソールを提供し、日々のアカウント管理、セキュリティ設定、デバイス管理といった管理作業を大幅に軽減します。アカウントの一括作成・削除、セキュリティポリシーの適用、デバイスの遠隔管理などを簡単な操作で行えます。

これにより、IT 担当者は日々の運用負荷から解放され、システムの最適化や新規技術の導入検討など、企業の成長に直結する重要な業務に集中できる体制を構築できるでしょう。製造業のように従業員数が多い企業では、管理負荷の軽減は大きなメリットとなります。

多角的な視点を持ち、自社の課題に合致するグループウェアを選定しよう

グループウェアの導入は単なるツールの入れ替えに留まらず、自社の情報共有、コミュニケーション、業務プロセスを根本から変革し、競争力強化に貢献する重要なアクションといえます。最適なグループウェアを見つけるには自社の現状を正確に把握し、将来のビジョンを踏まえた上で、機能やコスト、セキュリティ、既存システムとの連携性など多角的な視点から検討することが重要です。本記事で紹介した比較ポイントや解決策を参考に、自社の課題に最も合致するグループウェアを検討してみてはいかがでしょうか。

Google Workspace について詳しく知りたい方は、TSクラウドの無料相談会をぜひご活用ください。

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