クラウドサービスのセキュリティリスクまとめ!企業がやるべき対策と安全な選び方
コラム更新日:2025.12.15
クラウドサービスについて、「便利そうだけど、セキュリティが心配」と導入を躊躇う企業の方もいることでしょう。業務効率化やコスト削減のためにクラウド化が進む一方で、情報漏えいや不正アクセスへの漠然とした不安があるかもしれません。
しかし、クラウド特有の「責任共有モデル」を理解し、適切な対策を講じれば、オンプレミス以上に安全な環境を構築することは可能です。本記事では、企業が知っておくべきセキュリティリスクを網羅的に解説し、今日からできる具体的な対策と安全なサービスの選び方をご紹介します。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
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目次
クラウド化のリスクを考える前に確認したい「責任共有モデル」
クラウドサービスのセキュリティを考えるうえで、最も基本的かつ重要な概念が「責任共有モデル」です。これは、セキュリティ対策の責任を「クラウド事業者(ベンダー)」と「ユーザー(利用者)」の双方で分担するという考え方です。
「クラウドに預ければ、セキュリティもすべて事業者がやってくれる」という認識は大きな誤解であり、セキュリティ事故の原因となりかねません。まずは、どこまでが事業者の責任で、どこからが自社の責任なのかを明確に理解する必要があります。
責任共有モデルとは?
責任共有モデルとは、クラウド環境におけるセキュリティ確保の役割分担を示したフレームワークです。
一般的に、クラウド事業者は「クラウド(インフラ)のセキュリティ」に責任を持ちます。これには、データセンターの物理的な警備、ハードウェアのメンテナンス、ネットワーク基盤の保護などが含まれます。
一方、ユーザーは「クラウド内のセキュリティ」に責任を持ちます。これには、アカウント管理、アクセス権限の設定、データの暗号化、端末のセキュリティ対策などが該当します。
つまり、どんなに堅牢なクラウドサービスを利用していても、ユーザー側のアカウント管理がずさんでパスワードが漏えいしてしまえば、情報の流出は防げません。双方がそれぞれの責任範囲において適切な対策を行うことで初めて、安全な環境が実現するのです。
事業者とユーザーの責任範囲の違い
クラウドサービスは、利用形態に応じて、セキュリティや運用における責任の範囲が細かく変化します。ここでは、代表的な以下の 3 つのサービス形態に焦点を当て、それぞれの形態における責任の境界線と、利用者が担うべき責任範囲について詳しく解説していきます。
- SaaS (Software as a Service)
- PaaS (Platform as a Service)
- IaaS (Infrastructure as a Service)
SaaS (Software as a Service)
SaaS は、Webメール、カレンダー、チャットツールなどのように、ソフトウェアをインターネット経由で利用する形態です。この形態では、事業者が最も広い責任を負い、アプリケーションの脆弱性対策や更新なども行います。一方、ユーザーの主な責任は、ID・パスワードの管理、データの公開範囲設定、利用端末の管理などに限定されます。
PaaS (Platform as a Service)
PaaS は、アプリケーション開発のためのプラットフォーム(例:OS、ミドルウェア、データベースなど)を利用する形態です。事業者はOSやミドルウェアまでの管理を行いますが、そのうえで動かすアプリケーションのセキュリティやデータ管理はユーザーの責任となります。
IaaS (Infrastructure as a Service)
IaaS は、サーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラを利用する形態であり、ユーザーの自由度が最も高い反面、責任範囲も最大となります。OSの選定やセキュリティパッチの適用、ミドルウェアの設定など、インフラより上のレイヤーはすべてユーザーが管理・保護する必要があります。
このようにクラウドサービスには、その形態によって責任の範囲が異なります。クラウドサービスのセキュリティリスクについて考えるときは、自社が利用している、あるいは検討しているサービスがどの形態に当てはまるかを把握することが大切です。そのうえで、どこまで自社で対策すべきかを検討することが、リスク対策の第一歩といえるでしょう。
クラウドサービスに潜む主なセキュリティリスク一覧
それでは、クラウドサービスにおけるセキュリティリスクについて見ていきましょう。ここでは、企業が直面しやすい主要な7つのリスクについて解説します。
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①不正アクセス
クラウドサービスは「インターネット経由でどこからでもアクセス可能」という利便性を持つ反面、悪意のある第三者から狙われやすいというリスクを抱えています。中でも深刻なのは、ID やパスワードの流出に起因する「なりすましログイン」です。
安易に推測できるパスワードを設定したり、複数のサービス間でパスワードを使い回したりしていることが、流出の主な要因です。アカウント情報が流出すると、フィッシング攻撃やリスト型攻撃によってアカウントが乗っ取られる危険性が高まります。
万が一、不正アクセスを許してしまうと、機密情報の閲覧や持ち出しにとどまらず、そのアカウントが社内システムへのさらなる侵入を許す足がかりとして悪用される恐れもあります。
②情報漏えい
情報漏えいの原因はサイバー攻撃だけではありません。クラウドサービスにおける漏えい事故の多くは、実はユーザー側の「設定ミス」や「操作ミス」に起因しています。
たとえば、クラウドストレージ上の機密ファイルを誤って「誰でも閲覧可能(パブリック公開)」な設定にしてしまったり、間違えて社外の人に共有リンクを送ってしまったりするケースです。クラウドは簡単に情報を共有できる機能が充実している分、意図しない範囲にまで情報が拡散してしまうリスクも孕んでいます。
③データの消失・改ざん
クラウド上のデータは、事業者のサーバー障害や大規模災害による消失のリスクに加え、ランサムウェアなどのマルウェア感染による暗号化や改ざん、さらには従業員の誤操作による削除といったヒューマンエラーによって失われる可能性があります。
大手事業者によるデータの冗長化(多重化)対策があっても 100% 安全とは言い切れません。
④サイバー攻撃
クラウドサービス自体がサイバー攻撃の標的となることもあります。攻撃手法は日々高度化しており、大量のデータを送信してシステムダウンを狙う「DDoS 攻撃」や、データを暗号化して身代金を要求する「ランサムウェア」、特定の企業や団体を狙う「標的型攻撃」など、その手口は多岐にわたります。
また、 Web アプリケーションの脆弱性を突かれ、データベース内の情報漏えいや Web サイト改ざんの被害に遭うリスクも考慮しなければなりません。
⑤シャドーIT
「シャドー IT」とは、会社が許可していないクラウドサービスやデバイスを、従業員が独断で業務に利用することです。
「無料のファイル転送サービスで顧客データを送る」「個人のチャットツールで業務連絡をする」といった行為がこれに当たります。会社が管理できない場所でデータのやり取りが行われるため、情報漏えいが発生しても検知できず、対応が遅れる原因となります。また、利用しているサービス自体にセキュリティ上の問題がある場合、そこからウイルス感染などが広がるリスクもあります。
⑥サービス停止・終了
クラウドサービスは事業者が提供する基盤の上に成り立っているため、事業者の都合やトラブルによりサービスが停止(ダウン)したり、サービス自体が終了したりするリスクがあります。
システム障害による一時的な停止であれば業務遅延で済みますが、サービス終了の場合は、代替サービスへの移行やデータの移行といった大きな手間とコストが発生します。また、突然のサービス停止によって重要なデータにアクセスできなくなることは、企業の事業継続計画(BCP)における重大な課題となります。
⑦法的・コンプライアンスリスク
クラウドサービスを利用する場合、データがどこの国のサーバーに保管されているかが重要になることがあります。国によっては、法執行機関によるデータの強制開示などが法律で認められている場合があるためです。
また、業界ごとのガイドラインや、個人情報保護法などの法規制に準拠しているサービスを選ばなければ、コンプライアンス違反となるリスクがあります。自社の扱うデータがどのような法的要件を満たす必要があるのかを把握し、それに対応したサービスを選ぶ必要があります。
「クラウドは危険・オンプレは安全」は誤解?それぞれの安全性について解説
かつては「大切なデータは手元(社内)に置いておくのが一番安全」という考えから、オンプレミスが最も安全であるという固定観念が根強くありました。しかし、サイバー攻撃の高度化や働き方の変化により、その常識は変わりつつあります。ここでは、クラウドサービスとオンプレミスのそれぞれの安全性について解説していきます。
オンプレミスは自力防衛。「老朽化」のリスクも
オンプレミスは、自社内にサーバーやネットワーク機器を設置し、自社専用の環境を構築する形態です。外部と遮断された閉域網で運用できるため、インターネット経由の攻撃を受けにくいというメリットがあります。
しかし、セキュリティ対策のすべてを自社で賄わなければならない点は大きな課題です。
具体的には、サーバー機器の定期的なリプレイスに伴うハードウェアの老朽化への対応、OS やソフトウェアのセキュリティパッチを手動で適用し続けることによる脆弱性対応の遅れ、そして、高度化するサイバー攻撃に対抗できるセキュリティ専門家の確保・育成の困難さといった、慢性的な人材不足が懸念されます。
結果として、管理が行き届かなくなったオンプレミス環境が、かえって狙われやすい弱点となってしまうケースも少なくありません。
クラウドは「セキュリティ基盤が常に最新」。自動防御で脆弱性をカバー
一方、大手クラウド事業者は、セキュリティ対策に莫大な投資を行っています。世界トップレベルのセキュリティ専門家が 24 時間 365 日体制で監視し、最新の脅威に対応するためのシステム更新を常に行っています。
具体的には、ソフトウェアやセキュリティパッチが自動的に最新の状態に保たれる「自動アップデート」により、脆弱性を突かれるリスクが低減します。また、データセンターは耐震・防火設備が整っており、入退室管理も厳重に行われているため、「物理的な堅牢性」も確保されています。
このような体制から「自社で中途半端な対策をするよりも、プロが守るクラウドに預けた方が安全」という考え方が、現在のセキュリティの主流になりつつあります。もちろん、前述の「責任共有モデル」に基づき、ユーザー側での設定や管理を適切に行うことが大前提です。
TSクラウドでは、クラウドサービスのひとつ GoogleWorkspace のセキュリティ対策をご紹介中。詳しくはこちらの記事をご一読ください。
Google Workspace は安全!知っておくべきセキュリティ対策と機能
▶クラウドサービスのGWSがどのような対策を講じているかを読む
企業が実施すべき4つのセキュリティ対策
クラウドサービスを安全に利用するために、企業が最低限実施しておくべき 4 つの基本的な対策を紹介します。これらは、多くのセキュリティ事故を防ぐための防波堤となります。
【認証強化】多要素認証の徹底とID管理
クラウドサービスへの不正アクセス対策として、従来の「ID +パスワード」だけではセキュリティ対策として不十分であり、認証の強化が不可欠です。ここでは認証強化のための具体的な施策として 3 つの対策をご紹介します。
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多要素認証(MFA)の導入
パスワードに加えて、スマートフォンへのSMS通知、認証アプリ、指紋認証などを組み合わせます。これにより、万が一パスワードが漏えいした場合でも、不正なログインを防ぐことができます。 -
ID 管理の徹底
退職者のアカウントを速やかに削除する、不要なアカウントを放置しないなど、基本的な ID のライフサイクル管理を徹底します。 -
シングルサインオン(SSO)の活用
複数のクラウドサービスへのログインを単一の ID で一元管理することで、パスワードの使い回しを防ぎ、利用者と管理者の双方の効率を向上させます。
【権限管理】アクセス権限の最小化と適切な設定
クラウドサービスにおける情報セキュリティを確保するうえで、「誰が」「どのデータに」アクセスすることを許可するのかを厳格に管理することが、情報漏えいや不正利用を防ぐための最も基本的かつ重要な施策となります。
クラウド環境では、従来のオンプレミス環境と異なり、ネットワーク境界線があいまいになりがちであるため、アクセス権限の設定と運用にはより細心の注意が求められます。ここではアクセス権限の管理原則についてご紹介します。
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最小権限の原則の徹底
従業員には、業務遂行に必要最低限のデータや機能へのアクセス権のみを付与します。
「とりあえず全員に管理者権限を付与する」といった安易な運用は、情報漏えいリスクを高めるため厳禁です。 -
共有設定の定期的な見直し
ファイル共有サービス等を利用している場合、意図せず「Web 上に公開」されたり、「リンクを知っている全員が閲覧可能」になっていたりしないか、共有設定を定期的にチェックし、不適切な設定は速やかに修正します。
【データ保護】データの暗号化とバックアップ
データの保護は、クラウドサービスの利用において最も基本的ながら重要な要素の一つです。これは、不正アクセス、データ漏えい、改ざん、または消失などの脅威から、保存されているデータそのものを守るための具体的な対策を指します。具体的には、強力な暗号化技術の適用、アクセス制御の厳格化、データのバックアップと復元メカニズムの構築などが含まれます。
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データの暗号化
パソコンや端末内だけでなく、クラウドサービスへの通信経路(SSL / TLS)や、クラウド保存時のデータについても暗号化を施します。これにより、万が一データが盗聴・流出した場合でも、内容が解読されるのを防ぐことができます。 -
定期的なバックアップ
ランサムウェア被害や操作ミスなどに備え、重要なデータは定期的にバックアップを取得します。クラウドサービス自体のバックアップ機能に加え、異なるリージョンや別のサービスなど、別の場所にもコピーを保管しておくと、より安全性を高められます。
【組織・人】従業員への教育とルールの策定
システム的な対策に加え、人的な対策も不可欠です。たとえば、従業員へのセキュリティ教育の徹底や、アクセス権限の適切な管理などが挙げられます。具体的には、定期的な研修を通じて最新の脅威や対策について理解を深めること、また、職務に応じて必要な情報にのみアクセスできるよう、最小権限の原則に基づいた権限設定と定期的な見直しを行うことが重要です。
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従業員への教育とルールの整備
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セキュリティ教育の実施
標的型メール訓練や、不審なURLをクリックしないよう指導するなど、従業員のセキュリティリテラシーを向上させます。 -
ガイドラインの策定と周知徹底
クラウドサービスの利用ルールや、シャドー IT の禁止(または許可制)、事故発生時の報告フローなどを明確化し、社内に周知徹底します。
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セキュリティ教育の実施
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利用状況の監視体制
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ログの監視体制構築
「いつ」「誰が」「どのファイルに」アクセスしたかのログを定期的に確認し、不審な挙動がないかをチェックする体制を整備します。
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ログの監視体制構築
TSクラウドでは、優先度が下がりがちなセキュリティ対策を最短で完了させる「設定支援パック」を提供中。専門家による診断から管理機能のレクチャーまで実施しています。⇒「セキュリティ設定支援パック」について知る
高度なセキュリティと利便性を両立するなら「Google Workspace」
数あるクラウドサービスの中でも、セキュリティと利便性を高いレベルで両立させているのが「 Google Workspace 」です。 Gmail 、 Google ドライブ 、 Google Meet などをパッケージ化したこのグループウェアには、 Google が全世界で培った世界最高水準のセキュリティ技術が標準装備されています。 たとえば Gmail では機械学習モデルを活用してスパムやマルウェアを自動でブロックするほか、2 段階認証プロセスなどの強固な認証基盤により、なりすましログインを未然に防ぐことが可能です。
さらに、機密情報の外部送信を自動検知してブロックするデータ損失防止(DLP)機能や、従業員の利用端末を一元管理できるエンドポイント管理機能なども備えており、追加のハードウェアなしでエンタープライズレベルの対策が実現します。
「セキュリティ対策をどこから手をつければいいかわからない」という企業にとって、 Google Workspace の導入はセキュリティ基盤を一気に底上げする有効な手段となるでしょう。
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さらに Google Workspace について知りたい方はこちらをご一読ください。
Google Workspace を徹底解説!
Google Workspace は、Gmail、Google ドライブ、Google Meet などのツールを一箇所にまとめた、クラウド型グループウェア。時間や場所を選ばず、どこからでも仕事ができ、生産性向上を実現できます。
適切なリスク対策と信頼できるサービス選びでクラウドを安全に活用しよう
クラウドサービスの利用には、不正アクセスや情報漏えい、サービス停止といったリスクが存在します。しかし、これらは「責任共有モデル」を理解し、適切な設定と運用ルールを設けることで、コントロール可能です。むしろ、老朽化したオンプレミス環境を使い続けることの方が、現代においては大きなリスクになり得るでしょう。クラウドサービスは、クラウド事業者の強固なインフラと、自社での多要素認証や権限管理などの対策を組み合わせることで、より安全で効率的な業務環境を構築できます。
自社のセキュリティポリシーに合った信頼できるサービスを選定し、正しい知識を持ってセキュリティ対策を行うことが、企業の成長と信頼を守る鍵となります。
