いますぐ確認!安全なリモートワークを実現するセキュリティ対策
コラム更新日:2025.12.03
働く時間や場所を柔軟に選択できるリモートワークは、働き方のスタイルの 1 つとして定着しつつあります。その一方で、「デバイスの盗難や紛失」「ネットワークへの不正アクセス」といった重大なセキュリティリスクが潜んでおり、対策は必須です。しかし、リソース不足や IT 専任の担当者がいない企業では、あやふやな対策のまま課題を抱えている場合もあるでしょう。
この記事では、リモートワークで発生しやすいセキュリティトラブルと、企業がとるべき具体的な対策を解説します。「どこでも働ける」便利さの裏側にあるリスクを解消し、従業員が場所を問わず安心して業務に集中できる環境を構築しましょう。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
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目次
安全なリモートワークに必須の「セキュリティ対策」
リモートワークの推進は、業務効率の向上や、災害時の事業継続性(BCP)確保に貢献します。その一方で、オフィス外で働く環境が増えることで、これまでのセキュリティ対策だけでは不十分となるケースが増えています。
たとえば、従来のセキュリティ対策の柱であった VPN 接続(Virtual Private Network)は、多くの従業員が同時にアクセスすることでネットワークのひっ迫を招き、業務遅延の原因となるなど、リモートワークの普及による新たな課題として顕在化しました。
企業のセキュリティを担保しつつ、リモートワークの業務環境を維持するには、従来の対策を鵜呑みにせず、さまざまな面からのセキュリティ対策が必要です。
リモートワークで起きやすいトラブルと企業への影響
リモートワーク環境では、従来のオフィス勤務では想定されなかったさまざまなセキュリティリスクが発生します。これらのリスクを認識し、対策を講じることが、企業における「情報漏洩」「重要情報の消失」「作業中断」といった重大事故を防ぐ第一歩です。
ここでは、リモートワークで特に注意すべき具体的なリスクと、それが複数の事故にどのように結びつくかを解説します。
1.デバイスの紛失・盗難による情報漏洩
社用 PC などのデバイス(端末)をオフィスの外へ持ち出すことで、紛失や盗難のリスクが高まります。実際、PC が入ったバッグを置き忘れた、個人情報が入った USB メモリを紛失したなどの、重要な情報が外部に漏洩しかねない事例が報告されています。
万が一、デバイスが第三者の手に渡り、保存されていた顧客情報や機密情報などが流出してしまうと、企業の信頼を大きく損ないます。加えて、損害賠償や行政指導となる恐れもあります。
このような事態に備えるには、紛失・盗難が起こった際に遠隔でデータを消去できる MDM(Mobile Device Management、モバイルデバイス管理)の導入が有効な対策となります。
2.公共 Wi-Fi からの不正アクセス
公衆無線 LAN のような、セキュリティが万全ではない通信環境を利用することは、とても危険です。悪意のある第三者が設置した偽のアクセスポイントに接続してしまうと、通信内容が傍受され、ID やパスワードなどの認証情報が盗まれる不正アクセスにつながります。
また、カフェやコワーキングスペースなどの公共の場では、背後や隣の席からの画面のぞき見(ショルダーハッキング)による情報漏洩リスクも存在します。自宅であっても、家族など第三者に業務上の機密情報が閲覧される可能性も否定できません。このような情報漏洩は、意図しない形で企業の重要情報が外部に流出する原因となります。
対策として、公共 Wi-Fi の利用を禁止する、ネットワーク接続が必要な場合は VPN などのセキュリティツールを必ず使用する、のぞき見防止フィルターを PC に装着するなどの物理的・技術的な方法が求められます。
3.フィッシング詐欺やマルウェア感染によるデータ暗号化
リモートワークでは、従業員が自宅のルーターなどの機器を使用しますが、これらの機器が古い場合、セキュリティの脆弱性を突かれるリスクが高まります。特に注意すべきは、フィッシング詐欺やマルウェア感染です。
巧妙な手口で偽のメールやウェブサイトから認証情報をだまし取ろうとするフィッシング詐欺は、年々増加傾向にあります。また、業務とは関係のないウェブサイトの閲覧やファイルのダウンロードを通じてマルウェアに感染すると、PC やサーバー上の重要データがすべて暗号化され、利用できなくなる恐れがあります。
この被害の代表例がランサムウェア(身代金要求型ウイルス)で、高額な身代金、長期に渡る事業停止、多額の復旧費用などの深刻な事態を招きます。
4.アカウント乗っ取りによる不正アクセス
自宅の無線 LAN が古いなど、セキュリティ対策が不十分な環境下では、ID とパスワードが盗まれてアカウントを乗っ取られるリスクが高まります。万が一、従業員のアカウントが乗っ取られると、第三者がそのアカウントを使って社内システムに不正侵入し、機密情報を盗み出したり、システムを破壊したりすることで、全社的な業務の停止を引き起こす可能性があります。
さらに、乗っ取られたアカウントや PC が、ほかの企業や組織へのサイバー攻撃の「踏み台」として利用されるリスクも発生します。この場合、企業は攻撃の加害者として責任を問われる可能性もあり、社会的信用を失うことになりかねません。
5.内部不正による情報持ち出し
リモートワーク中は、ほかの従業員や上司の目が行き届きにくくなるため、悪意を持った従業員による機密情報の抜き取りが容易です。たとえば、転職(退職)する従業員が、顧客リストや開発中の技術情報などを個人のクラウドストレージにコピーして、次の職場に渡す行為(手土産転職)は、企業にとって致命傷ともなります。
業務に関係のない外部デバイスの利用を制限する、アクセスや操作ログを取得して不審な行動を検知できるようにする、退職者のアカウントは速やかにアクセス権限を削除するといった、技術的な対策とルール作りを組み合わせることが重要です。
【簡易チェック】安全を守るための対策はできている?
リモートワークにおけるセキュリティリスクは多岐にわたるため、対応すべき項目も多くなります。
リモートワークのセキュリティ対策チェックリスト
ここではどの企業にも共通する、最低限実施すべきセキュリティ対策をリストアップしました。貴社の現状と照らし合わせて確認し、「できていない」項目があれば、優先的に対応を検討しましょう。
| 対策項目 | チェック内容 | 状況 |
|---|---|---|
| ①セキュリティポリシーの周知徹底 |
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| ②OS とソフトウェアの更新 |
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| ③アンチウイルスソフトの利用・更新 |
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| ④パスワードやアクセス基盤の強化 |
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| ⑤紛失・盗難に備えた対策 |
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| ⑥業務データの適切な管理 |
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| ⑦ログの取得と監視 |
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| ⑧セキュリティ教育の定期的な実施 |
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リモートワーク環境に応じた対策を確認しよう
チェックリストで不足が判明した場合は、自社のリモートワーク環境と扱う情報の重要度に応じて、優先順位をつけて対策を講じる必要があります。たとえば、機密性の高い情報を扱う場合は、データの暗号化やアクセス制御を最も厳しくする必要があります。また、従業員の多くが個人所有のデバイス(BYOD)を利用している場合は、MDM の導入や、データのアクセス制限も有効です。
自社に合うセキュリティ環境の構築でお悩みの方や、セキュリティ機能が標準搭載されたツールで対策を効率化したい方は、以下の関連記事をご覧ください。
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企業がとるべきセキュリティのステップ
リモートワークにおけるセキュリティ対策は、「ルール(組織・人的対策)」「技術(技術的対策)」「物理(物理的対策)」という 3 つの視点があります。これらの視点を網羅した一般的な対策ステップを紹介します
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明確なセキュリティポリシーの策定と全従業員への徹底
デバイスの持ち出しルール、データ保存場所の指定、公共 Wi-Fi の使用禁止など、リモートワークにおける具体的なルールを明文化し、全従業員に徹底します。 -
ゼロトラストに基づく認証・アクセス基盤の強化
「すべてを信頼しない」という原則に基づき、アクセス基盤を強化します。二要素認証の必須化やアクセス元のチェックなど、厳格な認証を行い、不正侵入を未然に防ぎます。 -
デバイスの一元管理と監視
リモートワークにおけるデバイスの OS 更新状況や設定を一元管理・監視することで、脆弱性を低減します。盗難や紛失時に備えて、遠隔消去も可能にすると尚よいでしょう。 -
定期的なセキュリティ教育と意識向上プログラムの実施
フィッシング詐欺やのぞき見の注意喚起、メール誤送信防止策、デバイスにデータを保存しないなど、従業員個人のリテラシーを高めるための教育を実施します。一度で終わりにせず、継続的に行うことも大切です。 -
セキュアなデータ管理環境の構築
何らかの攻撃があったときの対策として、バックアップだけでは不十分です。より高度な攻撃があることを考慮して、セキュリティとバックアップの両方を持つクラウドサービスを導入し、機密データをクラウド上で管理することも検討します。デバイス紛失時のリスク低減と、データの誤削除からの復旧も容易なので、安全・安心なデータ管理環境としてクラウドサービスはおすすめです。
セキュリティ対策と業務効率化を両立する Google Workspace
包括的なセキュリティ対策をゼロから構築・運用することが難しい企業にとって、クラウドサービスの活用は非常に有効な解決策となります。特におすすめしたいのがグループウェア型クラウドサービスの Google Workspace です。
Google Workspace のセキュリティ対策は、「監査」「データ保護」「アクセス制御」の 3 つに大別できます。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 監査 | ユーザーの操作履歴を記録し、遡って確認する仕組み。 トラブル発生時やコンプライアンス対応時に追跡・確認する。 機能例:監査ログ、不審行動の通知、ファイル共有履歴の追跡 など |
| データ 保護 |
情報を社外に出さないための予防策。 例:ダウンロード通知、データ損失防止、Gmail の自動フィルタリング(迷惑メールやマルウェアを自動的にブロック) など |
| アクセス制御 | アクセスするデバイスや場所を制限する仕組み。 例:IP 制限、2 段階認証、外部共有のブロック、デバイスの一元管理、退職者のアカウント停止 など |
Google Workspace は、これらの異なる特性をもつセキュリティ機能を複合的に利用することで、強固なセキュリティ基盤を構築しています。
その上で、Gmail や Web会議、チャット機能といった基本的なコミュニケーションツールとドキュメントや表計算、プレゼンテーションツールといったオフィスツール、クラウドストレージがシームレスに連携。さらに各機能と生成AI Gemini を連携させることで、業務効率の劇的な改善が見込めます。
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リモートワークのセキュリティを強化してトラブル回避!
リモートワークのセキュリティは、企業の持続的な成長を支える土台であり、トラブル回避のための重要課題です。デバイスの紛失・盗難、不正アクセス、マルウェア感染、内部不正、ヒューマンエラーといったさまざまなリスクに対し、組織的な対策と人的ミスを防ぐための教育を両輪で進めることがとても重要です。
特に、IT 管理者がいない、あるいはリソースが限られている企業においては、セキュリティ機能が標準搭載されたクラウドサービスの導入や、セキュリティ対策を専門とする外部機関に相談・依頼することも、現実的で効果的な選択肢となります。まずは貴社の現在の対策状況を正確に把握して、安全なリモートワーク環境を確立しましょう。


