Google Workspace 監査ログでセキュリティ強化!経営リスクを軽減する活用ガイド
コラム更新日:2025.07.28
現代のビジネスにおいて、クラウドサービスの利用は不可欠となっています。特に Google Workspace は、多くの企業で利用されている強力なツールです。しかし、利便性が高まる一方、情報漏えいや不正アクセスといったセキュリティリスクへの対策が、企業の経営において喫緊の課題となっています。
セキュリティリスクを軽減するために重要なのが、Google Workspace の「監査ログ」です。監査ログは、ユーザーや管理者のあらゆる操作履歴を記録しており、セキュリティインシデントの早期発見や原因究明、さらにはコンプライアンス遵守に役立ちます。本記事では、Google Workspace の監査ログの概要から、取得できるログの種類、確認方法、具体的な活用事例までを詳しく解説します。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
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Google Workspace 「監査ログ」の概要と重要性
Google Workspace における「監査ログ」とは、Google Workspace 内で発生するあらゆる活動やイベントの記録(ログイベント)を指します。具体的には、ユーザーのログイン履歴、ファイルへのアクセス、共有設定の変更、管理者の設定変更など、多岐にわたる操作が詳細に記録されます。これらのログは、セキュリティの監視、問題のトラブルシューティング、コンプライアンス要件への対応において、非常に重要な役割を果たします。以下に監査ログの重要性についてまとめました。
- セキュリティインシデントの早期発見と対応: 不審なログインや不正アクセスを早期に検知し、迅速に対応することで被害拡大を防ぎます。
- 原因究明と再発防止: インシデント発生時に「いつ」「誰が」「何を」行ったかを特定し、再発防止策を講じるための証拠となります。
- コンプライアンスと法的要件への対応: データのアクセス・変更履歴の記録・保持が義務付けられている要件を満たし、監査対応を円滑に進めます。
監査ログは、企業のセキュリティを強化し、経営リスクを軽減するための重要な「目」として機能します。適切に活用することで、組織全体のセキュリティレベルを大幅に向上させることが可能です。
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Google Workspace で取得できる主要な監査ログの種類
Google Workspace では、さまざまなサービスにおけるユーザーや管理者の活動を記録する監査ログが提供されています。監査ログには以下のような種類があります。
- 管理者の監査ログ(管理ログイベント)
- ドライブの監査ログ(ドライブのログイベント)
- デバイスの監査ログ(デバイスのログイベント)
- ユーザーの監査ログ(ユーザーのログイベント)
- Google Meet の監査ログ(Meet のログイベント)
- Google Chat の監査ログ(Chat のログイベント)
- その他の主要な監査ログ
ここでは、主要なログイベントとその概要についてご紹介します。
➤管理者の監査ログ
管理者の監査ログ(管理ログイベント)は、Google Workspace の管理コンソールで行われたすべての管理操作を記録します。具体的には、ユーザーアカウントの作成・削除、グループ設定の変更、セキュリティ設定の変更、サービス有効化・無効化など、管理者がシステム全体に影響を与える操作が詳細に記録されます。このログは、管理者の不正操作や設定ミスを監視し、内部からのリスクを軽減するために非常に重要です。
➤ドライブの監査ログ
ドライブの監査ログ(ドライブのログイベント)は、Google ドライブ内のファイルやフォルダに対するユーザーの操作を記録します。これには、ファイルの作成、編集、削除、移動、共有設定の変更、閲覧などが含まれます。特に、機密情報が保存されているファイルへのアクセス履歴や、外部との共有設定の変更を追跡するうえで不可欠です。
情報漏えいのリスクが高い現代において、ドライブの監査ログは、どのファイルが、いつ、誰によって、どのように扱われたのかを把握するための重要な手がかりとなります。たとえば、特定の機密ファイルが意図せず外部に共有された場合、このログを分析することで、その経緯を迅速に特定し、対応することができます。
➤デバイスの監査ログ
デバイスの監査ログ(デバイスのログイベント)は、組織の Google Workspace アカウントに接続されたデバイスに関する情報を記録します。デバイスの登録や同期、ユーザーがいつアカウントをデバイスに追加したかなどがわかります。特に、モバイルデバイスからのアクセスが増加している現代において、デバイスのセキュリティ管理は重要です。
従業員が利用するスマートフォンやタブレットが紛失・盗難に遭った際、このログを確認することで、デバイスがいつ、どのユーザーによって同期され、どのような操作が行われたかを把握できます。また、必要に応じてデバイスのデータをリモートで消去するなどの対応を判断する際にも役立ちます。
➤ユーザーの監査ログ
ユーザーの監査ログ(ユーザーのログイベント)では、パスワードの変更、アカウント再設定用情報(電話番号、メールアドレス)の変更、2 段階認証プロセスの登録など、ユーザーが各自のアカウントで行った重要な操作が確認可能です。 これは、不審なログイン試行を早期に検知し、不正アクセスを防ぐ上で最も基本的なログの一つです。
たとえば、通常業務時間外のログインや、海外からのログイン試行など、普段と異なるログインパターンを検知した場合、このログを分析することで、アカウントの乗っ取りなどのリスクを早期に発見できます。
➤Google Meet の監査ログ
Google Meet の監査ログ(Meet のログイベント)は、Google Meet を用いたオンライン会議に関する活動を記録します。これには、会議の開始・終了、参加者の入退室、録画の開始・停止、画面共有の有無などが含まれます。リモートワークが普及し、オンライン会議が日常的に行われるようになった現在、会議のセキュリティとコンプライアンスは重要事項です。 Google Meet の監査ログは、機密性の高い会議が適切に管理されているか、外部の参加者が許可なく参加していないかなどを確認する際に役立ちます。
具体例として、特定の会議に意図しないユーザーが参加していた場合、このログを分析することで、そのユーザーがいつ参加し、どのような権限で参加したのかを把握できます。
➤Google Chat の監査ログ
Google Chat の監査ログ(Chat のログイベント)は、メッセージの送受信、スペースの作成・変更、ファイルの共有などの活動を記録します。チーム内のコミュニケーションが Chat ツールで行われることが増えているため、Chat ログの監視も重要です。 情報共有の適切性や、不適切な内容のやり取りがないかなどを確認する際に活用できます。
たとえば、機密情報が誤って不特定多数に共有された場合、このログを分析することで、そのメッセージがいつ、誰によって、どのスペースで送信されたのかを特定できます。
➤その他の主要な監査ログ
Google Workspace では、上記以外にもさまざまな監査ログが提供されており、特定のサービスや機能における活動を記録しています。これらのログを組み合わせることで、より包括的なセキュリティ監視とコンプライアンス対応が可能になります。
| ログの種類 | 記録される内容 |
|---|---|
| グループの ログイベント |
Google グループの作成、メンバーの追加、削除、設定変更、グループのアクセス権限変更など |
| ルールのログの イベント |
管理コンソールで設定されたルール(例: DLP ルール、ルーティングルール)の適用状況や変更など |
| OAuth ログの イベント |
サードパーティ製アプリの使用状況やデータアクセス リクエストなど |
| SAML ログイベント |
SAML(Security Assertion Markup Language)を使用するシングルサインオン(SSO)アプリケーションへのログイン試行、認証リクエスト、認証応答など |
| カレンダーの ログイベント |
Google カレンダーでユーザーの予定に対して行われた変更や操作の記録など |
監査ログの確認方法と具体的な活用例
Google Workspace の監査ログは、管理コンソールから確認できます。ここでは、基本的な確認手順と、セキュリティ強化に役立つ具体的な活用事例をご紹介します。
➤監査ログの基本的な確認手順

Google Workspace の監査ログは、管理コンソールの「レポート」セクションからアクセスできます。
- 管理コンソールへのログイン:Google Workspace の管理者アカウントで管理コンソールにログイン。
- 監査ログの選択:左側のナビゲーションメニューから「レポート」>「監査と調査」>目的のデータソース(管理者の監査ログ、ドライブの監査ログなど)を選択。
- フィルタリングと検索:ログの種類を選択すると、関連するイベントが一覧表示されます。特定のイベントを検索したり、日付範囲、ユーザー、イベントタイプ、IPアドレスなどの条件でフィルタリングしたりすることで、必要な情報を効率的に絞り込むことが可能です。
➤監査ログ活用事例
監査ログは、単に履歴を記録するだけでなく、セキュリティ対策やコンプライアンス対応に役立つ強力なツールです。ここでは、具体的な活用事例をご紹介します。
- 不審なログインの検知と対応
- 機密情報へのアクセス履歴調査
- 管理者の不正操作監視
- 共有設定変更の追跡と是正
- セキュリティインシデント発生時の迅速な調査
- コンプライアンス監査への対応
不審なログインの検知と対応
ユーザーのログイベントを定期的に確認することで、不審なログイン試行や成功を早期に検知できます。具体的には、通常業務時間外や従業員の居住地から遠く離れた海外からのログイン試行、または短時間での多数のログイン失敗が記録されている場合、アカウント乗っ取りやブルートフォース攻撃の可能性を疑い、直ちに対応を取ることができます。
機密情報へのアクセス履歴調査
ドライブの監査ログを活用すると、機密情報が保存されたファイルへのアクセス履歴を詳細に追跡できます。特定の機密ファイルが外部に流出した疑いがある場合、ドライブの監査ログを分析することで、ファイルにいつ、誰がアクセスし、どのような操作(閲覧、ダウンロード、共有など)を行ったのかを特定し、情報漏えいの経路特定と被害状況の把握が可能です。
管理者の不正操作監視
管理者の監査ログは、特権管理者の操作を監視し、内部不正のリスク軽減に不可欠です。たとえば、管理者が不要なユーザー権限変更や重要セキュリティ設定の無効化を行った場合でも、その操作を検知し、不正行為や設定ミスによるシステム影響を最小限に抑えることができます。
共有設定変更の追跡と是正
ドライブ監査ログは、ファイルやフォルダの共有設定変更履歴を詳細に記録します。これにより、機密ファイルの意図しない外部共有があった場合、いつ、誰が、どのように設定変更したかを特定し、共有停止などの迅速な是正措置を取ることができます。これは情報漏えいリスクを未然に防ぐうえで非常に有効です。
セキュリティインシデント発生時の迅速な調査
セキュリティインシデント発生時には、複数の監査ログを横断的に分析することで、原因究明と対応を迅速化できます。たとえば、アカウント乗っ取りによる機密情報漏えいの疑いがある場合、ユーザーのログイベントで不審なログインを特定し、ドライブ監査ログでファイルアクセス履歴を把握します。そして Enterprise Plus などのエディションで利用できる Gmail 監査ログでは、メール送信履歴を確認することができます。これらの機能と連携調査をすることで、インシデントの全容把握と適切な対策が可能になります。
コンプライアンス監査への対応
監査ログは、GDPR や HIPAA などの規制遵守を示す重要な証拠であり、外部・内部監査で特定のデータアクセス履歴や管理者操作履歴の提出が求められた際に、必要な情報を抽出して提出することでコンプライアンス要件を満たしていることを証明できます。ログの保存期間も考慮し、必要な期間のログが保持されていることを確認することが重要です。
監査ログだけでは不十分?セキュリティ体制を整えることも大切
Google Workspace の監査ログは、セキュリティ事象を「記録」し「調査」するための強力なツールですが、それ自体が「防御」機能ではありません。事後対応において監査ログはその重要性を発揮しますが、セキュリティ対策を万全にするには、自社の状況に合わせたセキュリティ体制の構築が必要不可欠です。
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Google Workspace の監査ログで実現する「安心」と「成長」
Google Workspace の監査ログは、企業のセキュリティ強化と成長に不可欠です。不審なアクティビティを早期に検知し、情報漏えいや不正アクセスへの不安を軽減することで、従業員の安心感や生産性の向上につながります。また、顧客情報の適切な管理証明による信頼性の確立は、特にコンプライアンス要件が厳しい業界では重要です。監査ログ分析を通じてセキュリティポリシー遵守状況や従業員の行動パターンを把握し、対策の弱点を特定することで、効率的な運用と改善が可能になります。
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