【IT 管理者必見】Google Workspace のデバイス管理(エンドポイント管理)ガイド
コラム更新日:2025.11.13
リモートワークの常態化に伴い、企業が管理すべきデバイス(エンドポイント)の数は増加傾向にあります。従業員が利用するパソコンやモバイル端末、私物端末のセキュリティをどのように担保するかは、IT 管理者にとって避けて通れない課題です。これらの端末からのアクセスやデータの取り扱いが一元管理できていなければ、情報漏洩やコンプライアンス違反のリスクに直結します。
そこで本記事では、Google Workspace で実現できるデバイス管理の全体像から、具体的な機能、企業の成長に必要な上位プランの選び方までを詳しく解説します。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
Google Workspace によるデバイス管理の必要性
組織におけるデバイス管理とは、企業が使用するパソコンやスマートフォン、タブレット端末を管理するための仕組み を指します。企業ネットワークとデータを不正なアクセスから保護するのが主な目的です。リモートワークと私物端末の業務利用(BYOD)が一般的となった現在、企業のセキュリティ境界はオフィス内だけでなく、従業員が利用するすべてのモバイル端末やパソコン(エンドポイント)に広がっています。そのため、IT 管理者はこれらの多様な端末をどのように統制し、企業資産を保護するかが問われているのです。Google Workspace のデバイス管理機能による一元的な統制により、セキュリティの強化や安全な業務環境の維持につながります。
既存のセキュリティ体制で本当に大丈夫?
日々の業務は快適に遂行していても、Google Workspace のプランによっては高度なセキュリティリスクへの対応力が不足している可能性があります。企業の成長と安全な業務拡大を見据えるには、より強固な統制機能の導入が不可欠です。まずは、IT 管理者が抱える潜在的なリスクを紹介します。
➤リモートワークと BYOD で増大した 3 つのセキュリティリスク
BYOD(Bring Your Own Device)とは、個人が私物として所有しているパソコンやスマートフォンを業務に使う利用形態 です。従業員が利用する私物端末やモバイルからのアクセスが増えることで、IT 管理者が対応すべきリスクは複雑化しています。以下のリスクに現在の体制で対応できているか、確認してみましょう。
- 端末紛失・盗難時におけるデータ漏洩の危険性
端末が第三者の手に渡った際、迅速かつ確実に業務データを消去する仕組みがないと、機密情報が流出する危険性が高まります。特に私物端末の場合、全データを消去するリモートワイプ機能がなければ、対応は極めて困難です。 - セキュリティレベルの低い端末からの不正アクセスリスク
OS のバージョンが古い私物端末や、セキュリティパッチが適用されていないモバイル端末からのアクセスを制御できず、そこを経由した不正アクセスを許してしまう可能性があります。 - シャドー IT や私的利用による統制不能な状態
IT 部門が許可していない外部アプリへの SSO(シングルサインオン)機能の利用や、モバイル端末での業務データの私的利用など、管理者の目の届かないところでリスクが発生しています。
これらの潜在的なリスクへの対応が難しい場合、より高度なデバイス管理機能を備えた上位プランへのステップアップも検討する必要があるでしょう。管理機能については、次の章で解説します。
セキュリティ課題を解決!Google Workspace のデバイス管理機能
Google Workspace のデバイス管理機能(エンドポイント管理)は、前述した複雑な課題に対し、予防から緊急対応、監査までをカバーするソリューションです。ここでは、主要な機能をケース別に紹介します。
➤端末紛失・盗難時のデータ漏洩防止
デバイスの紛失は、いつどこで発生するか予測できません。この機能は、万が一の事態に企業のデータを守る「最後の砦」となります。IT 管理者が遠隔で操作を行うことで、情報漏洩リスクを最小限に抑えることが可能です。
リモートワイプ(遠隔データ消去)
管理コンソールから遠隔操作で、紛失・盗難に遭ったモバイル端末やパソコン上のデータを消去できます。企業情報のみ消去する「アカウントのリモートワイプ」と、端末全体のデータを削除する「デバイスのリモートワイプ」が選択できます。ただし、Android デバイスで仕事用プロファイルが設定されていない場合や、iOS デバイスが登録済みの場合には、個人データとアプリも削除されるので注意が必要です。
パスコードの必須化とポリシー適用
すべてのモバイル端末に対し、複雑なパスコードの使用や画面ロック時間の指定を強制的に適用できます。
➤私物端末・モバイルからの不正アクセス防止
私物端末やモバイルの多様化が進む中で、企業データへのアクセスを安全に統制するための「ゲート」を設ける機能です。アクセス制御を厳密に行うことで、セキュリティポリシーを満たさない端末からの不正なデータアクセスを未然に防ぎます。
コンテキストアウェアアクセス
コンテキストアウェアアクセス(Context-Aware Access)とは、ユーザーやデバイスの状況(コンテキスト)に応じて、Google Workspace へのアクセス権を動的に変更する仕組み です。アクセスしてくるモバイル端末の状況(OS バージョン、地域、IP アドレスなど)を分析し、セキュリティポリシーを満たしているかによって、Gmail や Google ドライブへのアクセスを許可・拒否できます。
デバイスの承認とブロック
管理者が事前に承認した私物端末やモバイル端末のみを業務利用可能とし、未承認の端末からのアクセスをブロックできます。これにより、従業員が企業に無許可で業務に利用する IT 機器やサービスを水際で防ぐ効果があります。
➤社外アプリ利用時のログインリスク排除
従業員がさまざまなクラウドサービスを利用する際、ID / パスワードが分散・流出し、それが原因で企業アカウントが乗っ取られるリスクがあります。Google Workspace の機能により、認証を統合し、リスクを低減できます。
SSO(シングルサインオン)
Google Workspace のアカウント一つで、承認された多くの社外アプリケーションに安全にログインさせることが可能です。パスワードの多重管理というリスクを排除し、アクセスの一元管理を実現します。
サードパーティアプリのアクセス制御
業務データへのアクセス権を要求する外部アプリに対し、IT 管理者が明示的に信頼、制限、ブロックを設定できます。これにより、意図せず不適切なアプリにデータを渡してしまう事態を防げます。
➤退職時のデータアクセス権剥奪
従業員の離職に伴うデータ持ち出しや、アカウントの不正利用リスクに迅速に対応する機能は、コンプライアンス維持に不可欠です。退職時には、スムーズかつ確実にアクセス権を剥奪し、企業資産を保護する必要があります。
アカウントのリモートワイプ
退職した従業員が利用していたモバイル端末から、Google Workspace の業務データのみを遠隔で消去し、アクセス権を剥奪します。これにより、私物端末のデータに影響を与えることなく、企業のデータを保護できます。
アカウントの一時停止・削除
管理コンソールから即座にアカウントを停止・削除し、すべてのエンドポイントからのアクセスを遮断します。
➤シャドー IT の実態把握と監査対応
シャドー IT とは、従業員が企業に無許可で業務に利用する IT 機器やサービスを指します。セキュリティ監査やコンプライアンス遵守のため、企業が利用しているエンドポイントを正確に把握し、ログを保全する機能は、企業の透明性を確保します。監査対応をスムーズに行うためにも、これらの機能の活用は重要です。
デバイスインベントリ(端末一覧表示)
デバイスインベントリとは、「誰が」「どんな端末で」アクセスしているかを一目で確認できるリスト です。業務データにアクセスしているすべてのモバイル端末やパソコンの機種、OS バージョン、最終同期時刻などを管理コンソールで一覧表示できます。管理下にない私物端末からのアクセス状況も可視化され、シャドー IT の実態把握に役立ちます。
監査ログと Google Vault
監査ログとは、コンピューターシステムやネットワーク上で発生したあらゆる操作やイベントの履歴を、時系列で詳細に記録したもの。具体的には、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」行ったのかといった情報が含まれています。デバイスに関するアクセスログや操作履歴を検索・調査でき、セキュリティインシデント発生時の原因究明に貢献します。
一方、上位プランの Google Vault は、Google Workspace の情報ガバナンスと電子情報開示のためのツール で、法的証拠保全のためにメールやチャットログなどを長期にわたって保持できます。
【プラン比較】高度なデバイス管理機能はどのプランから使える?
Google Workspace のデバイス管理機能は、プランによって利用できる範囲が異なります。特にセキュリティと統制に関わる高度な機能は、主に Business Plus 以上のプランで提供されます。貴社のセキュリティ要件に合ったプランを検討しましょう。
>>Google Workspace のプラン比較を見る➤MDM 機能の基本管理と詳細管理
MDM 機能とは「モバイルデバイス管理(Mobile Device Management)」の略で、組織が管理するスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを一元管理するための機能です。Google Workspace に標準で備わっています。
デバイス管理には、大きく分けて「基本管理」と「詳細管理」があります。詳細管理は、本格的なエンドポイント管理を行うための機能で、セキュリティをより強化したい企業には不可欠です。
- 基本管理(Business Starter でも利用可能)
パスワード設定の必須化 、アカウントのリモートワイプ(業務データのみ消去)、2 段階認証の強制など、最低限のセキュリティ対策です。 - 詳細管理(Business Plus 以上のプランで利用可能)
デバイスのリモートワイプ(端末全体消去)、デバイス承認、エンドポイントのポリシー設定、デバイスインベントリ(詳細な端末情報取得)など、本格的なエンドポイント管理を行うための機能です。
➤より高度なセキュリティが求められる時代のプラン選び
企業の成長やリモートワークの拡大に伴い、より高度なセキュリティ要件や複雑なリスクへの対応力が求められるようになりました。どのプランが自社のセキュリティレベル向上に最も貢献するかを検討しましょう。
より高度なセキュリティ対策が求められる企業は、主に以下のようなケースに該当します。
<より高度なセキュリティ対策が求められる企業例>
- 私物端末の業務利用を許可している企業
- 機密情報や個人情報を多く扱う企業
- 金融、医療など法的・業界的な規制が厳しい企業
- グローバル展開しており、アクセス元の国や地域でアクセス制限が必要な企業
自社のセキュリティレベルに課題を感じて取り組みを進めている方もいるかと思います。しかし、デバイス管理をはじめとしたセキュリティ機能は専門性が高い領域でもあります。
「Google Workspace のセキュリティ機能について詳しく知りたい」「十分な設定ができているか知りたい」という方は、一人で抱え込まず、専門家に相談するのも一つの方法です。
自社に最適なセキュリティ環境の構築は導入支援が有効
Google Workspace のデバイス管理機能、特に上位プランで利用可能な高度なエンドポイント管理機能は、ある程度の専門知識を要します。複雑なステップを確実に踏み、セキュリティを最大化するためには、専門的な導入支援パートナーの活用が有効です。
TSクラウドの Google Workspace 導入支援サービス は、導入計画策定から面倒な初期設定を代行する「Google Workspace 導入支援基本パック」をベースに、データ移行やセキュリティ強化、研修など、お客様の規模感や課題に合わせて必要な支援オプションを柔軟に組み合わせることが可能です。この機会にセキュリティ強化を図りませんか?
>>Google Workspace 導入支援サービスを見るGoogle Workspace のデバイス管理(エンドポイント管理)で安全に業務拡大しよう
Google Workspace のデバイス管理(エンドポイント管理)機能は、リモートワークや私物端末の業務利用(BYOD)の広がりによって生じるセキュリティ課題を根本から解決します。モバイル端末や私物端末を安全に統制することで、情報漏洩リスクを最小限に抑え、従業員が安心して業務に集中できる環境を整備しましょう。
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