コラム更新日:2026.09.03

業務効率化を目的に多様なSaaSを活用している企業がある一方で、「気づけば利用料金が膨れ上がっている」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。SaaSコスト削減を成功させるには、単にツールを解約するのではなく、現場の業務を止めないための計画的なアプローチが必要です。

今回は、SaaSの利用状況を見直し、最適なIT環境を構築するための具体的なステップを解説します。自社のSaaS運用・管理に課題を感じている方は、参考にしてみてください。

▼ 社内のSaaSをビジネスツール群「Google Workspace」で一元化して、業務効率化とコスト削減を同時に進めませんか?

TSクラウドロゴ

執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

※名称変更に関するお知らせ: NotebookLMは、2026年7月に「Gemini Notebook」に名称が変わりました。メディア内では旧名称が利用されていることがあります。その場合は、Gemini Notebookに読み替えてご確認ください。

目次

SaaSコストが増加してしまう主な原因

SaaSは月額・年額のサブスクリプション制で手軽に導入できる反面、予想以上の利用料になっていることがあります。このSaaSコストを削減するためには、なぜ費用が膨らんでしまったのか、その原因を把握することが重要です。

具体的には以下のようなことが考えられます。

原因 発生の背景 コスト・運用への影響
小口の契約の累積 1ツールあたりの費用が比較的安価なため、各部門やチームが単独で導入を進めている。 全社で累積すると大きな固定費となり、IT予算を圧迫する。
未使用アカウントの放置 退職者や異動者のアカウント管理が不十分で、利用実態が追えていない。 利用していないIDに対しても、ライセンス料を支払っている。
機能重複とシャドーITの横行 同じ機能のツールが複数導入されている。(各部署が独自にツールを導入している場合に多い) ・全体で見ると、同じ機能への「二重支払い」となっている。
・情シス担当が利用を把握していない場合は、情報漏洩リスクが高まる。
自動更新による見直し不足 サブスクリプションの契約更新時に、利用プランや支払い方法を見直す体制がない。 ・実務に合わないプランのまま契約が更新され、無駄なコストが発生する。
・年額割引などが適用されないまま契約が自動更新され、費用が高止まりする。

現場の業務を止めずにSaaSコストを削減する4つのステップ

SaaSコストを下げたい一方で、「現場の業務が止まるのではないか」という不安を抱えている方もいるでしょう。ここでは、社内の混乱を抑えながらコスト削減を進めるための、4つのステップを解説します。

①利用状況の棚卸しと未使用アカウントの削除

SaaSコスト削減の最初のステップは、現在導入されているすべてのツールと、全アカウントを可視化することです。まずは各ツールの管理画面や経費精算の履歴を確認し、退職者や数か月間ログインしていない未利用IDを洗い出して整理しましょう。企業によっては、過去のプロジェクトのためだけに発行されたアカウントが、そのまま放置されているケースもあります。利用実態のないアカウントを削除して、全体のアカウント数を減らせば、それだけでコスト削減につながります(※年契約の場合は、次回の更新時にライセンス数を削減します)。

なお、未使用アカウントを削除するにあたっては、対象従業員が作成した業務データの消失リスクに注意が必要です。削除を実行する前に、データの保存場所や移行先を必ず確認しておきましょう。たとえばクラウドストレージを利用している場合、データを個人のフォルダから「共有ドライブ」などに移管して、データの所有権を組織に変更しておくことで、業務データを保持したままアカウントのみを削除できます。

②機能重複ツールの整理と統合候補の抽出

可視化した利用状況をもとに、ツール同士の「機能の重複」を整理します。社内のSaaSを、チャット、Web会議、ファイルストレージ、タスク管理といったカテゴリーごとに分類し、似たような役割を持つツールが重複していないか確認しましょう。特に、社内の異なる部署がそれぞれ別のツールを利用している組織では、コストが二重に発生している可能性があります。

部署ごとに異なるツールを利用していると、不要なライセンス費用が発生するだけでなく、データが分散して作業効率が落ちる要因にもなります。そのため、全社共通で利用する主軸ツールを決定し、契約解除や集約が可能なサービスを明確にすることが不可欠です。このとき、単に費用が高いものから解約するのではなく、現場の利用頻度や業務プロセスとの適合性を考慮し、統合先を慎重に選びましょう。

③契約プランと支払い方法の見直し

継続して利用するSaaSについても、契約プランやライセンス数が適正か、実務でどのように使っているか、細かく確認します。企業によっては、多機能な上位プランを契約していても、「現場では基本機能しか使っていない」というケースがあります。各アカウントの実際の利用状況に合わせて調整することで、業務に支障を出さずにコストを最適化できます。

あわせて、支払い方法や契約期間の変更も有効な手段です。たとえば月額払いを1年〜3年単位の長期契約に切り替えると、ボリュームディスカウントなどの割引が適用される場合があります(※代理店や契約条件によって異なります)。また、正規代理店が提供する特別キャンペーンなどを活用するのも有効なアプローチです。自社の利用規模に適したプランを再検討し、最適な契約条件を引き出しましょう。

④統合プラットフォームへの集約と一元管理

単体で契約しているツールを個別に解約するのではなく、複数のIT機能を1つのプラットフォームへ集約することが、効果的なSaaSコスト削減につながります。例として、メール・チャット・Web会議・ファイル共有などのツールを別々に運用している場合、これらを網羅する総合的なグループウェアへ移行することで、個別に支払っていたライセンス費用を抑制可能です。

プラットフォームへの集約と一元管理は、固定費の削減だけでなく、情報システム部門の運用管理コスト低減にもつながります。従業員の入退社に伴うIDの追加・削除や、セキュリティのアクセス権限設定が1箇所で完結するため、日々の管理工数を削減し、担当者はより生産性の高いコア業務に注力できるようになります。

▼バラバラだったツールをGoogle Workspaceへ一元化して、利便性が向上した事例です。どのように活用しているのか、どのような課題を解決できたのか、ご参考になさってください。

個別解約のリスクとツールを集約すべき理由

SaaSコスト削減を進めるにあたり、現場が使い慣れたツールを理由なく解約することは避けるべきです。代替ツールの整備や業務手順の再設計を行わないまま解約を進めると、作業効率の低下や従業員の反発を招くリスクがあります。そのため、経営層や情報システム部門は「なぜツールを変えるのか」という背景や目的をしっかりと共有することが重要です。

一方で、ツールを統合プラットフォームへ集約することには、多くのメリットがあります。利用料の直接的な削減はもちろん、アカウント管理やセキュリティ設定にかかる工数が大幅に減少します。また、情報共有のスピードが向上し、ガバナンスやセキュリティの強化も期待できます。

コスト削減につながるツール選定と移行のポイント

バラバラに導入されたSaaSから統合プラットフォームへ移行する際は、自社の業務基盤にふさわしいツールを慎重に選ぶ必要があります。現場の混乱を防ぎコスト削減につなげるための重要ポイントは、以下の4点です。

  • 【 セキュリティ基準と業務フローに適したツール選定】
    まずは自社のセキュリティ基準をクリアし、現場の業務フローに最も適した統合プラットフォームを選びます。
  • 【計画的な段階移行と二重運用コストの抑制】
    移行時の混乱を防ぐため、新旧ツールを並行運用する「二重運用の期間」を設定して従業員の適応を促します。ただし、ツールの費用重複を最小限に抑えるため、移行スケジュールは短期間かつ厳密に設計・管理することが重要です。
  • 【社内研修や教育など「隠れたコスト」の事前見積もり】
    新ツールの社内研修やマニュアル作成、問い合わせ対応など、目に見えにくい労力や運用コストを考慮して計画を立てておく必要があります。
  • 【専門ツールの継続利用を認める柔軟な判断】
    すべてのツールを無理に一元化しようとせず、代替が難しい専門性の高いツールについては継続利用を認めるなど、実務を優先した柔軟な姿勢も不可欠です。

ツールを集約してSaaSコストを削減しよう

SaaSコスト削減は、単に不要なツールを見つけて「解約」するだけの作業ではありません。社内の利用状況を正確に把握し、機能の重複をなくすためにプラットフォーム集約による「最適化」を行うことが本質です。現場の業務を止めずにスムーズな移行を実現するために、計画的なステップを踏んでツールの再構築を進めましょう。

もっと読む