Google Workspace で医療現場の働き方を変える。新たな院内コミュニケーションのかたち

概要

医療法人桂名会 重工大須病院 は、名古屋地区の地域医療を支える総合病院として、多様な医療ニーズに応える、質の高い先進的な医療を提供しています。2024 年 1 月 1 日、重工記念病院 と 大須病院 が統合し「重工大須病院」として新たにスタートした当院は、2 つの病院のグループウェアを統一するため、Google Workspace を導入。今回は、重工大須病院 の事務長、堀本浩二 様に導入以前の課題や Google Workspace 活用によって得られた効果、今後の展望などについて伺いました。

医療法人桂名会 重工大須病院

業種 医療・福祉
規模 約 600 名
利用サービス Business Starter、Frontline Starter

課題

  • 病院統合に伴うシステムの統一
  • グループウェアが異なることで、スケジュール管理や情報共有がしにくい
  • 緊急度の低い電話連絡への対応で業務効率が下がってしまう

決め手

  • Google Workspace はビジネスに必要な機能が揃っている
  • 直感的操作で使いやすい
  • アプリ間の連携がスムーズで作業効率の向上につながる

導入効果

  • システム統一により、スケジュール管理や情報共有を効率化
  • チャット活用で働き方を変革。コア業務に集中できる環境を整備
  • 用途・状況に応じたツールの使い分けで、コミュニケーションコストを削減

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病院統合に伴うシステム統一のため、Google Workspace を導入

― Google Workspace の導入を決めた背景をお聞かせください。

堀本様:Google Workspace 導入の目的は、病院統合に伴うシステムの統一です。統合前の 重工記念病院 では Google Workspace、大須病院 では他社のグループウェアを利用していました。メールのやり取り程度であれば大きな問題はありませんが、スケジュール管理や情報共有においては支障をきたす恐れがあると考えたのです。たとえば、スケジュール管理では、グループウェアが異なると互いの予定を確認しづらく、会議の招集などが煩雑になるという懸念がありました。

システムを統一するにあたって Google Workspace を選んだ決め手は、「ビジネスに必要な機能が備わっている」「直感的な操作で使いやすい」「アプリ間の連携がスムーズ」という3点です。TSクラウドのサポートで既存の契約を拡大し、ライセンス数を追加する形でシステムの統一を実現しました。はじめて Google Workspace を使うスタッフにも、細かいレクチャーは不要だったと記憶しています。

― Business Starter と Frontline Starter を契約されていますが、どのように使い分けていますか。

堀本様:Business Starter は課長以上の役職者や地域連携室など、データ使用量が多く、外部とのやり取りも多い部署の職員が使用しています。地域連携室には、紹介患者数の数値や統計データなどさまざまな情報が集まるため、Google スプレッドシートを使ってそれらの情報を院内で一元管理することで、業務効率化につなげています。

一方、Frontline Starter は、主に医事課や総務課などの一般事務職員が使用しています。メールやチャットの利用が中心となる職員です。Business Starter と主な機能は同じですが、職種によって、利用頻度の低い一部の機能が制限されたプランを使い分けることで、運用コストを抑えられています。Google Workspace はさまざまな働き方に応じたプランが設定されているので、現場で働くスタッフが多い組織にもマッチするように感じています。

重工大須病院 事務長 堀本浩二 様(左)

アプリ間のシームレスな連携で、業務効率化を実現

― 現在、Google Workspace をどのように活用していますか。

堀本様:Google カレンダーの活用により、スケジュールの調整・管理の手間が大幅に削減しました。 Google Workspace 導入以前は、会議を設定する場合、メールでスケジュールを調整し、日時が決まるとオンライン会議用の URL を発行。それをまたメールで送付するといった流れで、工数が増えていました。

Google カレンダーは自分とメンバーのスケジュールを表示して、空いている時間をすぐに確認できるので、会議予約が非常にスムーズです。会議を予約すると、会議用の Google Meet も自動生成されるため、メールでの送付が必要ありません。出席者は、当日カレンダーの予定から Google Meet に参加できます。

会議を予約すると同時に発行できる「会議メモ機能」も便利です。カレンダー作成時に議題をメモに入れておくことで、会議出席者に議題を簡単に共有でき、参加者は事前に会議の内容について考えることができます。また、会議出席者で同時編集でき、議事録作成の手間と時間が省けて助かっています。

― 他に、業務効率化に貢献している機能はありますか。

堀本様:データ共有では Google ドライブを活用しています。Google ドライブに更新するデータを格納しておくと、そのドライブを共有するだけで常に最新の情報を共有できるのが便利です。

たとえば、経理部門の職員と本部で院内の入金情報などを共有し、リアルタイムで閲覧・編集できる状態にあります。どちらか片方だけが最新データを持っている環境であれば、状況確認などのやり取りが発生しますが、Google ドライブは「人と人の真ん中に最新データがある状態」です。必要な時にすぐに情報にアクセスでき、作業効率の向上につながっています。

Google チャット活用により、電話対応やメール作成などのコミュニケーションコストを削減

― Google Workspace 導入で得られた効果をお聞かせください。

堀本様:院内の働き方を大きく変えた機能の一つが、Google チャットです。当院では、方針としてチャット利用を推進しています。主な連絡手段が電話のみだと、緊急度が低い内容でも一旦手を止めて対応する必要があるためです。連絡の頻度が多くなると、業務効率の低下につながってしまう恐れがあります。特に、さまざまな部署から連絡が集中しがちな医師の業務改善が課題でした。

そこで、Google チャット導入後は、院内全体で「電話は緊急連絡用、その他はチャットで連絡する」というルールで運用することにしました。運用方法として、病棟のスマートフォンに関連メンバーのアカウントを紐づけて、医師にチャット連絡できるように設定しています。この運用にしてから、医師は緊急度が低い項目については、自身が落ち着いたタイミングで確認できるようになりました。

また、グループチャットはメンバー全員が進捗を把握できるので、連絡事項の抜け漏れ防止にもつながると期待しています。

― Googe チャット活用で、どのような業務改善につながりましたか。

堀本様:電話の削減とメールの作成時間短縮につながりました。チャットは、メールとは違って形式張らずに連絡できる気軽さが、利用しやすいポイントです。メールだと文章作成や返信に時間が取られたり、送信相手の確認状況がわかりにくかったりしますが、チャットだと取りあえずリアクションボタンで反応して、後から返信することも可能です。

一方で、重要書類のやり取りなどはメールで記録を残します。Google チャットと Gmail は一つの画面で確認できるので、使い勝手も良いです。Google Workspace の活用により、用途や状況に応じてコミュニケーションツールを使い分ける習慣がついてきているように感じます。

日々進化する生成 AI に期待

― 今後、Google Workspace を活用して取り組みたいことや展望をお聞かせください。

堀本様:さらなる Google Workspace 活用として注目しているのが生成 AI です。タスク管理やアウトライン策定など、業務効率化につながると期待しています。現状、Gmail のタスク管理に取り組んでいますが、新たな試みとして、過去に実施したイベントの分析や新年度の計画立案にも生成 AI の導入を検討しています。生成 AI の精度や倫理的な課題にも注視しながら、活用の幅を広げていきたいです。

Google Workspace 活用でコミュニケーションコストを極力低くしたい

― Google Workspace を活用してどのような病院運営を目指していますか。

堀本様:Google Workspace 活用により、コミュニケーションコストを極力低くするのが目標です。情報共有を円滑にすることで、精神的にも時間的にも負担を減らせると考えています。医療・福祉業界はまだまだ古い体質であることも多いため、積極的に標準的なツールを取り入れることで、業務効率化が進むのではないでしょうか。インシデントレポートなどの管理にも、IT 活用が進むことを期待しています。

法人紹介

法人名 医療法人桂名会 重工大須病院
事業内容 医療・看護・介護・リハビリテーションの連携による医療サービスの提供。病床数は 250 床(急性期病棟 30 床、地域包括医療病棟 40 床、回復期リハビリテーション病棟 180 床)
職員数 約 600 名
施設概要 「医療の質を極め、地域と共に成長する。」をコンセプトに、外来から手術、入院、健診、検査、リハビリなど、幅広い医療を届ける名古屋市中区の総合病院。中でも整形外科は、ひざや関節の慢性的な痛みを改善する「再生医療」や「専門スポーツ分野」の治療で、国内外から高い評価を受けている。

※記事の内容は取材当時のものです。