AppSheet で自社アプリを自作。進捗管理の効率化とデータ集積の仕組み化を両立
概要
オリジナルプリントウェアの制作を手掛ける 株式会社H.sketch。同社は Google Workspace を導入し、営業・事務・工場の部署間におけるスムーズな情報連携を実現することで、業務効率の大幅な向上とスピードアップを叶えました。
特筆すべきは、ノーコードツール「AppSheet」を活用した自社専用アプリの開発です。営業と情報システム管理を兼任する 田中勇祐 様に、Google Workspace 導入前の課題や支援サービスの活用効果、今後の展望について伺いました。
田中勇祐 様(写真提供:株式会社H.sketch 様)
|
課題 |
|
|---|---|
|
決め手 |
|
|
導入効果 |
|
ツール分散による「転記作業」の負担を解消し、業務を Google Workspace へ統合したい

社内に陳列された、同社が制作を手掛けるプリント T シャツ(写真提供:株式会社H.sketch 様)
― Google Workspace 導入前に抱えていた課題を教えてください。
田中 様:当社は、シルクスクリーンプリントを中心とした衣料品加工を手掛けており、自社工場ならではの強みを活かし、お客様のご要望に応じた加工方法のご提案や、柔軟な生産対応を行っています。Google Workspace 導入前は、ツールや情報が分散しており、一つの小さな変更でも複数の箇所を修正しなければなりませんでした。そのため、どれが最新情報なのか判断しにくい状態に課題を感じていました。
具体的には、当時、無料版の Google カレンダーや Google スプレッドシートを使って生産・進捗管理を行っていたのですが、現場からの情報をスプレッドシートへ転記する作業に時間と手間を要していました。新しいツールを増やすのではなく、使い慣れた Google ツールの機能を拡張し、売上や原価管理までを一元化できる環境を構築したいと考えたのが導入のきっかけです。

版とインクを使って、手刷りでプリントするシルクスクリーン(写真提供:株式会社H.sketch 様)
― 導入支援サービスを利用された背景には、どのような理由がありましたか。
田中 様:導入支援サービスの利用を検討した理由は、初期設定や移行作業などをスムーズに進め、Google Workspace を活用した業務効率化にいち早く着手したかったからです。最大の懸念は、メール環境の移行でした。移行作業中に顧客との連絡が滞れば、受注の機会損失に直結します。
試しに Google から直接 1 アカウントのライセンスを購入し、移行作業にチャレンジしてみましたが、設定の複雑さに直面。自社だけで移行作業が完遂できるのかという不安は拭えませんでした。「移行作業の影響でお客様に迷惑をかけるわけにはいかない」と考え、専門家によるサポートが受けられる、TSクラウドの「Google Workspace 導入支援サービス」に興味を持ちました。
専門知識に基づく「腹落ち」するサポートが、自走できる組織への第一歩に
― 導入支援サービスで印象に残っていることはありますか。
田中 様:導入時の疑問に一つひとつ丁寧に対応していただけたことで、安心して移行を進められました。特に助かったのは、チャットによる迅速なレスポンスです。メール受信の不具合が発生した際も、単に問題を解決するだけでなく、専門知識に基づいて「何が原因で、どう影響しているのか」をわかりやすく説明してくれました。そのおかげで、お客様への説明や対応もスムーズに行えました。
私たちは最終的に自社で運用・拡張していくことを目標としていたため、「理由まで含めた納得感のあるサポート」は腹落ちしやすく、非常に心強かったです。初期の不安が解消されたことで、早い段階から本来の目的である Google Workspace の活用に集中することができました。
Gemini × AppSheet で「現場が使いやすい」自社アプリを構築

AppSheet で開発した自社アプリを使った生産・進捗管理(写真提供:株式会社H.sketch 様)
― Google Workspace の具体的な活用状況を教えてください。
田中 様:現在、業務情報の入力ツールを AppSheet で開発した自社アプリに一本化しています。AppSheet はノーコードでアプリ開発ができるプラットフォームで、Google カレンダーや Google スプレッドシートとの連携が可能です。営業から工場まで全社員が共通の仕組みを利用することで、リアルタイムな情報共有が可能になりました。
無料版の Google カレンダーで生産・進捗管理をしていた頃は、進捗が変わるたびにカレンダーを手動で修正していました。現在は、アプリに入力するだけで、紐づいた案件データが自動的にカレンダーへ反映されます。日々の転記作業が不要となり、情報共有のスピードアップや効率化につながっていると実感しています。
― アプリ開発に興味を持ったきっかけを教えてください。
田中 様:「ノーコードアプリ」という存在を知り、興味を持ったのが始まりです。Google スプレッドシートの共有ファイルだと、他の人が入力した情報を誤って消してしまう可能性があります。しかし、AppSheet で作成したアプリなら、そのリスクを避けられるのではないかと考えたのです。と言っても、私は AppSheet に出会うまで、アプリ開発はもちろん、プログラミングの知識もありませんでした。
― プログラミング未経験とのことですが、どのようにアプリを開発しましたか。
田中 様:生成 AI の「Gemini」を活用しています。「こういう機能を実装したい」と Gemini に指示を出すと、AppSheet の設定方法や Google Apps Script(GAS)のコードを提案してくれるので、それを反映すると想像していたようなアプリを構築できました。Gemini と AppSheet の可能性に大変驚きました。アプリは運用しながら改良し、大体 2~3 か月で完成するイメージです。
現場のスタッフは PC よりもスマートフォンやタブレットの操作に慣れているため、直感的に使える自社アプリは非常に好評です。工場で使用する端末はスマートフォンに完全移行。パソコンでの作業が中心だった営業担当者も、接客しながらスマートフォンでリアルタイムにデータを入力できるようになり、そのまま情報共有できるようになったのは非常に効率がよいです。
部署間のリアルタイムな情報共有が実現し、業務全体のスピードが向上
― Google Workspace 導入の効果や成果を教えてください。
田中 様:各現場で情報を直接入力することにより、生産・進捗・売上・原価などのデータが自動的に集約されるようになりました。そのため、「管理の効率化」と「正確性の向上」が実現。これまでの手作業による転記・確認作業の削減により、情報のズレや確認漏れも大きく改善されました。
また、営業・事務・工場間で同じ情報をリアルタイムに共有できるようになったことで、迅速な状況把握と意思決定が可能になり、業務全体のスピードアップにも貢献しています。
― Google Workspace はどのような企業におすすめでしょうか。
田中 様:AppSheet を幅広い用途で活用できるため、規模や業種を問わず多くの企業におすすめです。特に、情報共有や進捗管理が複雑になりやすい企業では、他の Google ツールと連携して柔軟に業務を仕組み化できる点が大きな強みだと思います。
社内のノウハウやナレッジを形式知化し、一人ひとりの知識・スキルを底上げしたい
― 今後の展望についてお聞かせください。
田中 様:AppSheet 活用のもう一つのテーマとして「データの集積」を掲げています。そのため、アプリ開発では「どのような形でデータを集めたいか」を意識しています。データ集積によって感覚的に捉えていた各案件の利益率や作業時間を数値化し、分析することで、個人の経験則に頼らない「再現性の高い仕事」ができる組織を目指しています。
また、今後は NotebookLM を活用して、現場に蓄積されているノウハウや判断基準を形式知化し、マニュアルや対応フローとして共有していきたいと考えています。他にも、アルバイトのシフト管理ツールを作成して一連の作業を効率化したり、Google スプレッドシートで加工指示書や見積書のフォーマットを統一し、入力や転記作業を自動化したりして、事務作業の負担軽減につなげたい。最終的には、完全なペーパーレス化にも挑戦したいです。
Google Workspace の導入は、私たちにとって一人ひとりの知識とスキルを底上げし、より確実なサービスをお客様に提供するための大きな第一歩となりました。
会社紹介
| 会社名 | 株式会社H.sketch |
|---|---|
| 事業内容 | オリジナルプリントウェアの受注加工 |
| 従業員数 | 50 名以下 |
| 企業概要 | シルクスクリーンプリントを中心とした衣料品のプリント加工を、受注から自社工場での加工、納品まで一貫して手掛ける。「加工の相談が出来る職人たちの工場」をテーマに、高品質なモノづくりと対面相談にも応じる柔軟な現場力が強み。モノづくりの楽しさを共有できるワークスペース「Squee Gee Parlor(スキジーパーラー)」も運営している。 |
※記事の内容は取材当時のものです。
