コラム更新日:2026.09.08

テレワークや多様な働き方が浸透する中、チャットツール選びで「連携性」「コスト」「操作性」の壁に直面する企業が増えています。特にグループウェアやチャットツールが重複して導入されている場合、ライセンス費用の二重払いや、情報分散によるセキュリティリスクが懸念されます。

本記事では、多くの中小企業に支持されるチャットツール「Google Chat」と「Slack」を、機能・料金・セキュリティの視点から徹底比較。自社に最適なツールの選定や環境の見直しによって、大幅なコスト削減と業務効率化を実現した企業の成功事例もご紹介します。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

※名称変更に関するお知らせ: NotebookLMは、2026年7月に「Gemini Notebook」に名称が変わりました。メディア内では旧名称が利用されていることがあります。その場合は、Gemini Notebookに読み替えてご確認ください。

目次

Google ChatとSlackの基本的な特徴と料金の違い

ビジネスチャットツール導入でまず押さえておきたいのが、各ツールの「設計コンセプト」と「料金体系」です。Google ChatとSlackはどちらも優れたツールですが、開発背景や強みが大きく異なります。この根本的な違いを把握することが、自社に最適なツール選びの第一歩となります。ここでは2つの大きな違いを解説します。

Google ChatとSlackのコンセプト

Google Chat は、Google Workspaceという総合グループウェアの一部として設計された「文書中心型コラボレーションハブ」です。Gmail Google ドライブGoogle Meet といった日常的なオフィスツールと最初から強固に結びついており、アプリを切り替えることなく、シームレスな共同作業を実現します。情報の一元化と完結を目指す企業に最適です。

一方、Slackはあらゆる会話や外部ツール、自動化ワークフローを1か所に集約する「仕事のOS(Work OS)」をコンセプトとしています。外部アプリケーションとの連携を前提としたオープンな設計で、特定のトピックごとに細かくチャンネルを作成し、多様なツールを統合する中央ハブとしての役割に優れています。

料金体系の違い

ツールの導入において、料金体系は重要な判断基準です。

Google Chatは単体での有料販売はなく、Google Workspaceのサブスクリプション(1ユーザーあたり¥800~/月)に含まれます。Google Workspaceを導入すると、追加費用なしでチャットや独自ドメインのメール、ビデオ会議、大容量ストレージ、生成AI(Gemini)などが利用できるため、圧倒的なコスト優位性があります。

Slackは単体で契約でき、無料プランもありますが、履歴検索の無制限化や高度な管理機能を利用するには月額¥925 〜(プロプラン、年払いの場合)の有料契約が必要です。

たとえば100名規模の企業の場合、Slack単体で年間100万円以上の費用がかかるだけでなく、メールやクラウドストレージ用に別途ツール契約が必要となり、二重のコストが発生しがちです。これらをGoogle Workspaceへ一本化すれば、必要なビジネスツールを網羅しながら全社的なITコストを大幅に削減できます。

  Google Chat Slack
主な有料プラン (1ユーザー/月) Business Starter:¥800
Business Standard:¥1,600
プロ:¥925〜
ビジネスプラス:¥1,920
※無料プランは90日間の検索制限あり

参考:slack「ビジネス向けに構築されている有料プランを選びましょう。

※いずれも年間契約の場合の料金(税別)です。料金は改定される場合があります。


\ Google Workspaceの各プランの料金や主要機能をご確認いただけます /

料金表を詳しく見る

【機能比較】Google Chat vs Slack 4つの重要ポイント

ツール選定では、機能数だけでなく「既存業務との親和性」や「管理負荷」も重要です。ここでは、日々の業務で従業員がスムーズに活用できるかを見極めるため、「UIと操作性」「外部連携」「セキュリティ」「AI機能」という4つの重要ポイントに絞って、両ツールの強みと弱みを比較・解説します。

比較項目 Google Chat Slack
主な用途・強み Google Workspace他機能とのシームレスな連携・AI機能が付帯 多彩なサードパーティアプリ連携・カスタム性
メッセージ履歴制限 アカウントの保存容量に依存 無制限(無料プランは90日制限)
契約形態 Google Workspace基本料金に内包 単体契約
100名利用時のコスト目安 約¥8万〜/月 約¥9.25万〜/月
外部ユーザー管理 参加者に Google アカウントが必要 ゲスト参加、Slack コネクト等
自動化機能 Google Apps Script/Gemini ワークフロービルダー(ノーコード)

UIと操作性(スレッド表示・通知設定・検索機能)

日常的な使いやすさは、ツールの定着率に直結します。

Google Chatはシンプルで無駄のないUIが特徴です。アップデートによりインラインスレッド機能が進化し、Slackに近い感覚で会話を追えるようになりました。

さらに最大の強みは、Googleの強力な検索技術が組み込まれている点です。過去のメッセージや添付ファイルを高速かつ高精度で検索できるため、必要な情報へ瞬時にアクセス可能です。

一方、Slackはチャンネルのカスタマイズ性が高く、スレッドが右側に独立して表示されるため、本筋の会話を妨げずに議論を深められます。特定のキーワード通知など、細かい設定が可能な点も魅力です。

他ツール・アプリ連携と自動化の柔軟性

Google Chatの連携数はSlackに及びませんが、最大の武器はGoogle Workspace内ツールとの極めて深い連携です。チャット画面からワンクリックでWeb会議を起動したり、ドライブ上のファイル権限を自動付与して共同編集を始めたりと、シームレスな操作性を誇ります。

外部ツールとの連携機能では、Slackが圧倒的な強みを持ちます。数千種類ものサードパーティ製アプリと連携でき、SalesforceやZoom、開発ツールなどと数クリックで統合可能です。また「ワークフロービルダー」を使えば、ノーコードで定型業務を簡単に自動化できます。

セキュリティ管理とアカウント運用のしやすさ

情報漏洩を防ぐセキュリティ対策と管理のしやすさも必須条件です。

Google Chatは、Google Workspaceの管理コンソールからアカウント作成やアクセス権限、端末管理まで一元管理できるのが大きな特徴です。単一の画面で操作できるため、IT管理者の負担を大幅に軽減し、シャドーITのリスクを低減します。Googleの強固なグローバルインフラに守られており、組織全体へ一括して高いセキュリティポリシーを適用できます。

SlackのEnterpriseプランは高度なデータ損失防止機能を備え、ゲスト機能で社外とも安全にやり取り可能です。しかし、全社ITインフラとは別に単体導入する場合、Google Workspaceのように1つのIDで全ツールを一括管理できず、Slack用のユーザー管理設定(プロプランでの手動設定や上位プランでのIdP連携)が別途発生します。

AI のコストと機能差

今後のビジネスにおいて、生成AIの活用は生産性を大きく左右します。

Google Chatは、Business Standard以上のプランで高度なAI「Gemini 」を活用できます。スレッドの自動要約や返信の下書きだけでなく、ドキュメント作成やスプレッドシートの分析など、Google Workspace全体の文脈を理解した横断的なサポートが可能です。チャット内での業務サポートに留まりがちな他社ツールと比較して、Google Workspace全体の業務を横断的に支援できるGeminiの存在は、AIの活用範囲とコストパフォーマンスにおいてGoogle Chatに優位性をもたらしています。

一方、Slackでは、有料プランのグレードに応じて利用できるAI機能が異なります。たとえばプロプランでは会話の要約機能が搭載されており、ビジネスプラスプラン以上では「Slackbot(パーソナルAIエージェント)」が利用可能です。過去のメッセージやファイルなどを横断的に検索して要点を教えてくれるほか、ミーティングのスケジュール設定や書類の要約、文章の下書き作成などを自動で行ってくれます

どちらを選ぶ?企業のタイプ別の選び方

ここまでの比較を踏まえ、最終的にどちらを選ぶべきかは、企業の規模や既存システム、業務スタイルによって異なります。自社の状況に照らし合わせて最適な判断ができるよう、Google Chat と Slack それぞれに向いている企業のタイプや基準を解説します。

Google Chat が向いている企業

Google Chatは、コスト削減と運用の一元化を目指す企業に最適です。チャット単体の追加費用を抑えつつ、ドライブ上のファイル共有やGoogle MeetでのWeb会議といった、Googleアプリ間のシームレスな操作性を重視する組織にマッチします。

また、ITリテラシーにばらつきがある企業でも、Gmailのような直感的な操作感で誰でもすぐに使いこなせます。アカウント管理やセキュリティ設定も管理コンソールで一括して行えるため、IT管理者の運用負荷を下げたい企業にもぴったりです。「情報の断片化」を防ぎ、セキュアで効率的なインフラ環境を構築したいと考える企業には、戦略的に正しい選択となります。

Slack が向いている企業

Slackは、エンジニアやクリエイターが中心となり、多様な外部システムを活用している企業に最適です。GitHubやJira、Salesforceなど、専門的な外部SaaSと深いレベルで連携し、各種通知やエラーログを一つのチャンネルに集約することで、業務効率を飛躍的に高めることができます。

また、社外のクライアントやパートナー企業と、ツールを越えたリアルタイムな共同作業(Slackコネクトなど)が頻繁に発生する企業にも向いています。スレッド機能や自動化ワークフローを自社の好みに合わせて高度にカスタマイズし、柔軟でオープンな非同期コミュニケーション文化を確立したいと考える組織には、Slackの自由度の高さが強力な武器となるでしょう。

Google Chatへの一本化によるコスト削減と業務効率化事例

他社製チャットツールや乱立した連絡手段からGoogle Chatに一本化し、ビジネス課題を解決した成功事例をご紹介します。コスト削減だけでなく、社内コミュニケーションの円滑化や情報の可視化に成功した企業の具体的な取り組みは、自社の課題解決の大きなヒントとなるはずです。

連絡網を「Google Chat」で一本化!情報伝達のムダを省いた事例|合資会社親湯温泉

長野県で3つの温泉旅館を運営する合資会社親湯温泉は、施設や部署ごとに異なる情報共有ツールが混在し、連絡や連携に手間がかかっていました。そこで、全社の連絡ツールをGoogle Chatに一本化し、「全従業員向け」「施設別」などのスペースを作成。メッセージ確認後はリアクションするルールを徹底しました。

これにより、誰が確認したかがひと目でわかり、連絡の手間が激減。さらに、施設を超えた清掃部門同士のチャットで自発的なノウハウ共有が生まれるなど、スタッフ間の連携が強固になりました。

連絡のムダが省けたことで、本来注力すべき「お客様への丁寧なおもてなし」に時間を割けるようになり、今後は接客サービスのさらなる質向上につなげていく考えです。

「緊急時以外はチャット」で電話を削減!医師の負担軽減とコミュニケーション効率化を実現した事例|医療法人桂名会 重工大須病院

名古屋地区の地域医療を支える総合病院「医療法人桂名会 重工大須病院」は、2つの病院統合に伴うグループウェアの統一を機にGoogle Workspaceを導入し、院内全体でGoogle Chatの活用を推進しました。

同院ではそれまで、主な連絡手段が電話のみだったため、緊急度の低い内容でもスタッフが一度手を止めて対応せざるを得ず、特にさまざまな部署から連絡が集中する医師の業務効率低下が大きな課題となっていました。

そこで「電話は緊急連絡用、その他はチャットで連絡する」というルールを院内全体に徹底。病棟のスマートフォンに関連メンバーのアカウントを紐づけ、医師へダイレクトにチャット連絡できる環境を整備しました。

この取り組みにより、医師は緊急度の低い連絡について自身の落ち着いたタイミングで確認・対応できるようになり、不要な電話対応が激減。さらに、メールのようにかしこまった文章を作成する手間も省け、リアクションボタンでスピーディーに意思表示ができるようになるなど、医療現場におけるコミュニケーションコストの大幅な削減と業務効率化を同時に達成しています。

セキュリティ強化とコミュニケーションの円滑化を実現したGoogle Chat移行事例|株式会社グローバルトラストネットワークス

外国人向けの生活総合支援サービスを展開する株式会社グローバルトラストネットワークスは、以前利用していた他社ツールにセキュリティ上の懸念を抱いていました。

Google Workspaceの導入を機にチャットも完全移行したところ、管理コンソールで全社のアカウントや権限を一元管理できるようになり、IT部門の負担が大幅に軽減されました。

また、スレッド機能の活用により多国籍なスタッフ間でも重要なトピックが埋もれず、コミュニケーションが円滑化。総務部門でもシステム管理が可能になったことで、IT部門が付加価値の高い専門業務に集中できる環境を実現しました。

SlackからGoogle Chatへスムーズに移行・統合する手順

ツールの切り替えは情報の紛失や現場の混乱を招くリスクがあるため、計画的な進行が不可欠です。ここでは、過去の重要なメッセージやファイルを失うことなく、SlackからGoogle Chatへ安全かつスムーズに移行するためのステップと注意点を解説します。

段階的な移行計画とデータ移行ツールの活用

まずは現状分析から始めます。Slackのチャンネルや連携アプリの利用状況を洗い出し、不要なものを整理した上で、移行元チャンネルとGoogle Chat側のスペース名のマッピング(命名ルールの統一)を行います。チャンネル名とスペース名を揃えておくことで、移行後の混乱を防げます。

実際のデータ移行には、Google公式の移行API(Google Chat APIのインポートモード)や「CloudFuze」などのサードパーティ製ツールを活用します。これにより、テキストメッセージだけでなく、添付ファイルやメンバー情報、過去のタイムスタンプまで保持したまま一括で移植が可能です。

並行稼働期間は最大でも1か月程度にとどめ、「〇月〇日に完全停止する」と明確に告知することで、情報分散を防ぎつつ一気に切り替えるのが成功のコツです。

ユーザーへの事前トレーニングと定着化のポイント

移行時にスタッフが最も戸惑うのが「操作性の違い」です。

代表的なのがメッセージの送信挙動で、Slackは設定でEnterキーの動作(送信/改行)を変更できますが、Google Chatは「Enterで即時送信(Shift+Enterで改行)」が標準仕様です。

Slack側で「Enterで改行」に設定していたユーザーは誤送信を起こしやすいため、事前にマニュアルを配布したり、送信挙動をカスタマイズできるChrome拡張機能を案内したりすると親切です。また、「緊急時は電話、相談はチャット、正式な記録はドキュメント」といった社内ガイドラインを明確にすることも大切です。

移行直後は質問が集中するため、一時的なヘルプデスクや専用の質問スペースを設けるなど、サポート体制を整えましょう。

Google ChatとSlackを比較検討し、自社の働き方に合ったツールを選ぼう

Google ChatとSlackはどちらも最高峰のツールですが、設計思想が異なります。

多数の外部アプリ連携や高度なカスタマイズを求める企業にはSlackが強力です。一方、Google Chatへの統合は、月々のコスト削減やセキュリティの一元化、AI「Gemini」の活用といった恩恵を受けられます。

まずは社内の課題を洗い出し、従業員が求める働き方をヒアリングしてみてください。本記事を参考に、自社の成長を加速させる最適なコミュニケーション基盤を構築しましょう。