Dropbox から Google ドライブへの移行方法。ビジネスでの課題と注意点
コラム更新日:2025.11.25
多くの企業で導入されているクラウドストレージサービスの Dropbox ですが、「ファイル共有の権限管理が複雑になってきた」「他の業務システムとの連携がしにくい」といった課題に直面し、Google Workspace への移行を検討されるケースが増えています。ビジネス利用においては、組織全体の生産性やセキュリティを担保するクラウドストレージサービスを選ぶことが重要です。
本記事では、現在 Dropbox をご利用中の企業や組織の方に、Google ドライブを含む Google Workspace へ移行することが、なぜビジネスに最適なのかを解説します。
また、具体的な移行方法の手順や、データ移行で失敗しないための注意点まで詳しくご紹介します。Google Workspace へのスムーズかつ安全なデータ移行をお考えの方は、ぜひご一読ください。
TSクラウドでは、Google Workspace 導入・Google ドライブへのデータ移行を安全・確実に実現するためのサポート体制を整えています。Dropbox からのデータ移行に不安がある場合にはぜひお問い合わせください。⇒ まずは相談してみる
執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
移行前に知っておきたい Google ドライブ と Dropbox の違い
ビジネスでクラウドストレージを選ぶ際、Google ドライブ と Dropbox は主要な選択肢ですが、その特徴や得意とする分野は異なります。
それぞれのサービスが持つ特性を理解することは、移行を検討する上でとても重要です。
➤Google ドライブ
Google ドライブ は、Google 社が提供するクラウドストレージサービスです。ビジネス向けのクラウド型グループウェアサービス Google Workspace で提供されています。
Google ドライブ の特徴として、Google が提供する他サービス(Gmail、Google ドキュメント、スプレッドシート、Meet など)とのシームレスな連携や共同編集機能が挙げられます。これにより、たとえば、Google ドキュメントの作成から共有、共同編集、会議での利用までをスムーズに行うことができます。
個人でも利用できる「無料版 Google アカウント」にも Google ドライブ機能がありますが、容量など多くの面で制約があります。そのため、ビジネスで Google ドライブを利用する場合は、有料サービスである Google Workspace の導入がおすすめです。
➤Dropbox
Dropbox は、Dropbox 社が提供するオンラインストレージサービスです。Google ドライブと同様に、ファイルをインターネット上に保存し、管理・共有を行うことができるクラウドストレージサービスです。
Dropbox の特徴は、ファイル同期と共有に機能が集約されていることで、直感的でシンプルな操作で利用できます。
Dropbox には「 Dropbox Basic 」という個人向けのプランが用意されており、2GB までの容量なら無料でオンラインストレージを使用できます。それ以上の容量が必要な場合には、個人向け・法人向けそれぞれの有料上位プランへ切り替える必要があります。
なぜ Google ドライブへの移行がおすすめなのか?
今やクラウドサービスの役割は、単なるファイル共有ツールから「チームの生産性を最大化する統合プラットフォーム」へと進化しています。
この進化に最適なのが、Google Workspace であり、その中心にあるのが Google ドライブ です。なぜなら、Google ドライブは「業務アプリケーションとの統合と共同作業の効率化」という点で Dropbox と比べ大きな優位性を持っているためです。
➤Dropbox をビジネス運用する際のよくある課題
Dropbox をビジネスで利用する際、特に組織が拡大したり、扱うデータ量や社員が増加したりするにつれて、以下のような課題が発生しがちです。
課題1.編集機能や作業効率上の課題
Dropbox はストレージ機能がメインであり、資料の作成や編集には、基本的に Microsoft Office などの外部アプリケーションが必要です。また、共同編集をする際には、誰が今編集しているかを別途確認する必要があり、作業効率が低下しやすいのが実情です。
課題2. 権限管理の複雑化とセキュリティリスク
Dropbox は共有フォルダごとに権限を設定できますが、共有リンクの設定や、組織外のユーザーとの連携が増えると、全体像を把握するのが困難になりがちです。そのため、ユーザー数の増加とともに、誰がどのファイルにアクセスできるのか、組織外に機密情報が流出していないかといったセキュリティ管理の負担が大きくなります。特に大規模な組織では、管理者が組織全体の共有状況を一元的に把握し、制御することが難しくなる傾向があります。
課題3. 業務コストの増加とアプリケーションのサイロ化
Dropbox の利用料とは別に、別途メールサービス、オフィスソフト、Web 会議システムなど、複数のアプリケーションを契約・運用する必要が出てきます。そのため、複数ベンダーへの支払い、アカウント管理の煩雑さ、そして各アプリケーション間でのデータのやり取りに手間がかかり、結果として IT 運用コストと従業員の作業コストの両方が増加してしまいます。
➤Google Workspace 導入で解決できること
これらの課題は、Google Workspace へ移行し、Google ドライブを中心とした業務環境、データの管理システムを構築することで解決できます。
1. リアルタイムな共同編集による生産性の劇的な向上
Google Workspace では、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライドといった主要なアプリケーションが Google ドライブと統合されています。そのため、ファイルをダウンロード・アップロードすることなく、ブラウザ上でリアルタイムに複数人が同時に編集できます。
また、Google Chat や Google Meet などのチャット・Web会議ツールとも連携しているため、「この資料について今すぐ相談したい」という場面でも、コミュニケーションと共同作業をシームレスに行えます。
2. 強固なセキュリティとシンプルな一元管理
Google Workspace は、全アプリケーションを通して統一されたセキュリティ管理機能が提供されます。管理者によって組織内のユーザーアカウントを一元管理し、アクセス権限や外部共有の設定を管理コンソールから制御可能です。
Google ドライブでは、共有ドライブ機能を利用することで、特定の個人ではなくチームやプロジェクト単位でファイルの所有権とアクセス権を設定できるため、異動や退職時のセキュリティリスクを軽減できます。
3. トータルコストの最適化と業務効率化
メール(Gmail)、ストレージ(Google ドライブ)、オフィスソフト、チャット、Web会議など、ビジネスに必要な機能が一つのパッケージに統合されています。それゆえ、組織で必要なアプリケーションを個別に契約するよりもトータルコストが最適化される傾向にあります。
また、すべての機能がブラウザ上で動作するため、端末の OS に依存せず、どこからでもアクセス可能です。これにより、従業員はツールの使い方を覚える手間が減り、本来の業務に集中できるようになります。
これら複数のメリットを享受できるため、Dropbox からの Google ドライブへの移行は、単なるストレージの変更ではなく、働き方そのものの変革を意味します。
Google Workspace を導入し、データを Google ドライブへ移行する方法
ここからは、実際に Google Workspace を導入し、Dropbox から Google ドライブへデータを移行する具体的な移行方法と手順について解説します。
データ移行は非常に繊細な作業であり、計画的かつ慎重に進める必要があります。
➤移行計画の策定と事前の整備
スムーズに移行を進めるためには、事前準備が重要です。また、移行中の万が一に備え、作業開始前にデータのバックアップをとっておくと安心です。
1.既存データの整理
まず、Dropbox に存在する全てのデータの中から、Google ドライブへ移行する必要があるデータを選定します。この際に、長期間アクセスされていない古いファイルや重複ファイルを削除し、移行対象を絞り込むことで、移行時間を削減することができます。
2.フォルダ構造の最適化
Google ドライブの「共有ドライブ」の概念に合わせて、部署別、プロジェクト別など、組織構造に合わせた最適なフォルダ構成を検討・設計します。
3.アカウントと権限設計
現在の Dropbox 上のユーザーアカウントと、共有設定されている権限情報を確認し、誰がどのファイル/フォルダにアクセス可能か、編集権限を持つかを明確に定義し、Google ドライブでの設定に落とし込みます。
4.互換性の確認
Dropbox に保存されているファイル形式が、Google ドライブ上で問題なく動作するかを確認します。一般的なファイル形式(Officeファイル、PDFなど)は問題ありませんが、特殊なアプリケーションのデータや、非常に古いファイル形式は、移行後に正しく開けない可能性があるため、事前に互換性テストを行うことが重要です。
➤Google Workspace 契約と初期設定
Google Workspace の環境を準備します。
1. Google Workspace の契約と初期設定
Google Workspace には、企業の規模や必要な機能に応じていくつかプランがあります。Business Starter、Business Standard、Business Plus、Enterpriseなどの選択肢の中から自社に最適なプランを選定します。
Google Workspace の新規契約は、Google 公式または Googleに認定された販売代理店経由からのお申し込みとなります。販売代理店では導入時のサポートを行っている場合があるため、データの移行に不安がある場合やプラン選定に迷う場合、導入時に手厚いサポートを受けたい場合は代理店経由でのお申し込みがおすすめです。
Google Workspace を契約後、まずは使い始めるための初期設定(ドメイン所有権の証明やユーザーアカウントの作成、MX レコードの設定など)を行います。
失敗しない Google Workspace 販売代理店の選び方
Google Workspace 導入は、サポート体制が充実している Google 認定プレミアムパートナーの代理店がおすすめです。
➤データ移行の実行
Google Workspace の準備が整ったらデータ移行作業を行います。大量のファイルを Dropbox から Google ドライブへ安全かつ確実に移動させるには、適切なツールと手順が必要です。
1.移行手段の選定
DropBox から Google ドライブへの移行方法には、大きく分けて 4 つの方法があります。
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Google Workspace が提供するデータ移行サービスを利用する
Google の管理コンソールから利用できる機能で、管理者主導でデータを移行できます。また、1,000 ユーザーを超える大規模で複雑な移行を想定したツール「Google Workspace Migrate」もあります。
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サードパーティ製移行ツールを利用する
Dropbox からの大規模なデータ移行に特化した専門的なツールも存在します。これらのツールは、アクセス権限やタイムスタンプなどのメタデータを保持したまま移行できる点が大きなメリットです。 -
手作業で行う
特定のデータや、データ量が少ない場合は手作業でデータ移行する方法もあります。手動でコピー&ペーストでおこなう場合には、ファイル数や容量が多い場合など、時間がかかるだけでなく、エラーや権限情報の欠落といったリスクがあります。 -
専門サービスを利用する
自社で移行作業を行うのが不安な場合や大量のデータの移行、複雑な移行が必要な場合などは、専門のサポートサービス利用も検討できます。移行計画から実行、運用後のサポートまで一括して委託が可能な場合もあります。
上記の4つの方法の中から自社にあうデータ移行手段を選択します。
TSクラウドでは、Google Workspace 導入支援サービスのオプションとしてデータ移行のサポートを実施しています。必要なサポートの相談や見積もりは、お気軽にお問い合わせください。⇒Google Workspace 導入支援サービスを確認する
2. テスト移行の実施
本番環境での移行に先立ち、少量のデータと代表的なフォルダ構造を対象にテスト移行を実施します。移行ツールの設定が正しいか、ファイル形式の互換性に問題がないか、権限が正しく引き継がれているかを確認し、本番でのリスクを最小限に抑えることが、テスト移行の目的です。
3. 本番移行の実行と進捗管理
テスト移行で問題がなかったことを確認した後、計画されたスケジュールに従って、段階的または一括で本番データ移行を実行します。移行中は進捗を綿密にモニタリングし、エラーが発生した場合は即座に対応します。大規模なデータ移行の場合、業務時間外や週末など、従業員の業務影響が少ない時間帯を選ぶことが一般的です。
Google Workspace へのデータ移行に関しては、以下の記事でも紹介しています。
➤移行後の確認作業
Dropbox から google ドライブへデータ移行が完了した後も、安心して Google Workspace を利用するためには、徹底した確認作業が必要です。この確認作業を怠ると、後になって業務に支障をきたす可能性があるため、細心の注意を払います。
1.ファイルと容量の完全性確認
移行元の Dropbox のデータと、移行先の Google ドライブのデータについて、ファイル数と総容量が一致しているかを確認します。
2.アクセス権限の検証
重要事項であり間違いが発生しやすいのがアクセス権限です。特に機密性の高いファイルや、全社共有のフォルダについて、設定した権限(閲覧者、コメント可、編集者)が正しく反映されているかを複数のユーザーでテストします。
- 共有ドライブの確認
各部署の代表者に、自分のアクセス権限が正しく設定されているかを確認してもらいます。 - 外部共有設定の確認
意図せず外部に共有されていないか、または外部との共有が必要なファイルがロックされていないかを確認します。
3.業務テストとユーザーへの周知
データ移行後、組織内で Google ドライブ環境で実際に業務を行ってもらう業務テスト期間を設けます。
- 既存の業務フロー(例:新しいドキュメント作成、ファイル共有、共同編集)を Google Workspace 上で実行し、問題がないことを確認します。
- 全員が新しい環境での業務に慣れ、問題がないことが確認できた時点で、Dropbox の利用を正式に停止するスケジュールを明確に周知します。
移行作業で失敗しないための注意点
Dropbox から Google ドライブへのデータ移行は、組織の情報資産を移動させる大掛かりなプロジェクトです。移行の過程で発生しがちな課題と、それを回避するための重要な注意点を解説します。
メタデータ(タイムスタンプ・権限)の欠落に注意
ファイルをダウンロードしてアップロードし直す手動移行では、ファイルの作成日、更新日といったタイムスタンプや、元の共有権限の情報が失われてしまうことがあります。
対策:移行後に「いつ誰が作成したファイルなのか」が分からなくなり、業務に支障をきたす可能性を避けるためにも、アクセス権限やメタデータを保持したまま移行できる専用ツールを利用しましょう。
組織内ユーザーへの教育とサポート体制
Google ドライブは Dropbox と比較して、共同編集機能や共有ドライブの概念など、操作や考え方が異なる部分があります。ユーザーが新しい環境で戸惑わないよう、移行完了後すぐに操作マニュアルの提供や、Q&A セッションの開催といった教育とサポート体制を整備しましょう。「移行したはいいが、誰も使えない」という事態を防ぎ、Google Workspace のメリットを最大限に引き出すために不可欠な要素です。
データ移行時に Google Workspace を導入するならTSクラウドへ相談
Dropbox から Google ドライブへの移行は、組織の生産性を高める大きな一歩ですが、これまで解説してきたように、その移行方法には多くの専門知識と工数、そして潜在的なリスクが伴います。
データ移行作業を日々の業務と並行して行うのは負担やリスクが大きいと感じる場合には、専門的な知見と実績を持つパートナーに任せることで、スムーズかつ安全に新しい環境へ移行することができます。
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Google Workspace を導入し、Dropbox から Google ドライブへ安全にデータを移行しよう
本記事では、Dropbox をビジネスで運用する際の課題と、Google Workspace(Google ドライブ)へ移行することで得られる大きなメリット、そして具体的な移行方法について解説しました。
Google ドライブを中心とした Google Workspace の環境は、リアルタイムな共同編集機能や強固なセキュリティ機能により、現代のビジネスに不可欠な生産性の向上と安全性の確保を実現します。
データ移行は確かに複雑な作業ですが、移行計画の策定、適切なツールの選定、そして専門家によるサポートを受けることで、そのリスクを大幅に軽減し、成功へと導くことができます。
ビジネスをさらに加速させるためにも、この機会に Dropbox から Google ドライブへのデータ移行をぜひご検討ください。



