Google ドライブのセキュリティは万全?企業が知るべきリスクと対策
コラム更新日:2025.08.01
今日のビジネス環境において、クラウドストレージは業務効率化に欠かせないツールとなっています。その中でも、Google ドライブは多くの企業や個人に利用されており、その利便性は計り知れません。その一方で、「Google ドライブのセキュリティは本当に万全なのか?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Google ドライブの利便性とセキュリティリスクの関係性から、無料版利用時の具体的なリスク、そしてその対策、さらにビジネス利用において安心できる Google Workspace のセキュリティ機能まで、幅広く解説していきます。Google ドライブのセキュリティに関する疑問を解消し、適切な対策を講じるための一助となれば幸いです。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
Google ドライブ の利便性とリスクの関係
Google ドライブは、インターネット環境さえあれば、どこからでも必要なファイルにアクセスできるため、場所を選ばずに業務を進めることができます。また、複数人で同時にファイルを編集できる機能は、共同作業の効率を飛躍的に向上させ、生産性向上に大きく貢献します。さらに、ファイルのバージョン履歴が自動的に保存されるため、誤って上書きしてしまっても元の状態に戻すことができ、安心して利用できます。
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しかし、「どこからでもアクセスできる」という利便性は、セキュリティリスクと隣り合わせです。インターネットに接続されている以上、不正アクセスや情報漏えいの可能性はゼロではありません。特に、企業の機密情報や個人情報を扱う場合、そのリスクはさらに高まります。利便性を享受しつつ、いかにリスクを最小限に抑えるかが重要になります。
無料版 Google ドライブをビジネスで使う場合のリスク
無料版の Google ドライブは手軽に利用できる反面、ビジネスでの利用にはいくつかの潜在的なリスクがあります。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じなければ、情報漏えいや業務停止といった重大な事態を招く可能性があります。以下は、無料版 Google ドライブをビジネスで使う場合に想定されるリスクです。
- ヒューマンエラーによる情報漏えい
- マルウェア感染による情報漏えい
- シャドー IT による情報漏えい
➤ヒューマンエラーによる情報漏えい
無料版の Google ドライブ利用において、最も身近で起こりやすいリスクの一つが「ヒューマンエラーによる情報漏えい」です。これは、悪意がなくても、従業員の不注意や誤操作によって引き起こされる場合があります。
たとえば、ファイルやフォルダを共有する際、「リンクを知っている全員」に公開してしまったり、特定の相手に共有するつもりが、誤って無関係な第三者に共有してしまったりするケースです。社外秘の顧客リストを共有する際に、誤って公開設定にしてしまい、インターネット上に流出してしまうといった事態も考えられます。
このようなヒューマンエラーは、従業員へのセキュリティ教育の不足や、セキュリティ意識の低さから発生しやすい傾向にあります。いくらシステムが強固でも、利用する側の意識が低ければ、セキュリティホールとなってしまうのです。
➤マルウェア感染による情報漏えい
無料版 Google ドライブをビジネス利用する際、マルウェア感染は深刻なリスクです。マルウェアはファイル破壊・改ざん(例:ランサムウェアによる身代金要求)、個人情報・機密情報の窃取などを引き起こします。また第三者がログイン情報を得れば、不正アクセスにより、Google ドライブ内のデータを盗み見られたり、勝手に削除・変更されたりする可能性もあります。
不審なメールの添付ファイルやリンク、信頼できない Web サイトからのダウンロード、USB メモリなどが感染経路となるため、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、不審なファイルやリンクに安易に触れないよう徹底することが重要です。
➤シャドー IT による情報漏えい
シャドー IT とは、従業員が企業に無許可で業務に利用する IT 機器やサービスです。場合によっては、無料版 Google ドライブもシャドー IT に該当することもあります。シャドー IT により、企業はセキュリティ管理の課題に直面し、正規システムのようなアクセス制御やログ管理が困難になるだけでなく、情報漏えいやコンプライアンス違反のリスクも高まります。
特に、個人の Google アカウント利用はデータ保護不備や情報漏えいリスクを高めます。バックアップが不十分な上、退職後も情報アクセスが可能になるなど、機密情報漏えいの危険性が増大。また個人のアカウントはセキュリティ設定が甘く、不正アクセスや乗っ取りの標的になりやすい傾向にあります。従業員が勝手にツールを導入できないよう正規のクラウドサービスの導入や従業員への啓発活動が必要になります。
無料版でできる最低限のセキュリティ対策
無料版の Google ドライブであっても、いくつかの設定や利用方法を工夫することで、セキュリティリスクを大幅に軽減することが可能です。以下に、いますぐ実践できる最低限のセキュリティ対策をご紹介します。
- ファイルアクセス権限の制限
- 2段階認証の設定
- 重要なデータのバックアップ
- 他アプリ連携時の注意
- 強化されたセーフブラウジング保護の活用
- Free Wi-Fi の利用回避
➤ファイルアクセス権限の制限
Google ドライブにおける情報漏えいのリスクを軽減するうえで、最も基本的な対策の一つが「ファイルアクセス権限の制限」です。ファイルやフォルダを共有する際には、必要最小限の範囲でのみアクセスを許可することが重要です。
具体的には、以下の点に注意して設定を行いましょう。
共有範囲の選択
- 「制限付き」
特定のユーザーのみがアクセスできる設定です。最も安全性が高く、機密性の高い情報共有に適しています。共有したい相手の Google アカウントを直接指定して招待します。 - 「リンクを知っている全員」
リンクを知っている人なら誰でもファイルにアクセスできる設定です。公開情報や、不特定多数への情報提供に限定して利用しましょう。誤って機密性の高いファイルをこの設定で共有しないよう、細心の注意が必要です。
権限レベルの設定
- 「閲覧者」
ファイルの閲覧のみが可能です。編集やコメントはできません。 - 「閲覧者(コメント可)」
ファイルの閲覧とコメントの追加が可能です。編集はできません。 - 「編集者」
ファイルの閲覧、コメント、編集、共有設定の変更(ファイルの共有相手を増やしたり、権限を変更したりすることも可能)が可能です。強力な権限であり、信頼できる相手にのみ付与すべきです。
共有設定を変更する際は、必ず最終確認を行い、意図しない公開や過剰な権限付与がないかを確認する習慣をつけましょう。定期的に共有設定を見直し、不要な共有は解除することも大切です。
➤2段階認証の設定
2段階認証(多要素認証)は、Google アカウントのセキュリティを大幅に強化するための非常に重要な設定です。パスワードだけでなく、別の方法で本人確認を行うことで、たとえパスワードが漏えいしても、不正ログインを防ぐことができます。
まだ2段階認証を設定していない場合は、すぐに設定することをおすすめします。これにより、フィッシング詐欺やパスワードリスト型攻撃などによる不正ログインのリスクを大幅に低減できます。
2段階認証の設定方法は以下の通りです。
- Google アカウントページを開く
- ナビゲーションパネルの「セキュリティ」を選択
- 「Google へのログイン」セクションにある「2段階認証プロセス」を選択し、[使ってみる] をクリック
- 画面の指示に従い、2段階認証プロセスに利用するデバイスを選択し、設定を完了
2段階認証には次の認証方法があり、複数の方法を設定することもできます。
- Google からのメッセージを使用した2段階認証
- セキュリティキー
- メールや音声通話
- バックアップコード
- Google 認証システム
利用状況にあわせて適切な認証方法を設定しましょう。
➤重要なデータのバックアップ
Google ドライブのデータは安全性が高いとされますが、万が一に備え、重要なデータの定期的なバックアップが重要です。誤操作による削除、不正アクセス、Google 側のシステム障害などのリスクが想定されます。これらのリスクに備え、重要なファイルは別のストレージ(例えば、外付け HDD や別のクラウドサービスなど)にもコピーを保存することをおすすめします。特に業務上の機密情報や顧客データは、自動バックアップの仕組みを検討し、迅速な復旧を可能にすることが望ましいです。
➤他アプリ連携時の注意
Google ドライブはサードパーティ製アプリとの連携で利便性が高まります。しかし、同時にセキュリティリスクも伴います。
アプリ連携時は次の点に注意が必要です。まず、アプリが信頼できる開発元から提供されているか、十分なセキュリティ対策が講じられているかを確認しましょう。またアプリに与える権限を必ず確認し、必要以上の権限を要求するアプリには注意が必要です。たとえばファイルの閲覧のみのアプリが削除権限を求める場合は疑うべきです。最後に、不要になった連携は定期的に解除し、セキュリティホールとなる可能性を減らすことをおすすめします。
➤強化されたセーフブラウジング保護の活用
Google Chrome の「セーフブラウジング保護」は、フィッシングやマルウェアからユーザーを保護します。これを強化することで、Google ドライブをより安全に利用できます。
保護モードは「標準保護」(デフォルト)と「強化された保護」の2種類。「強化された保護」を有効にすると、危険サイトの早期検出、危険なダウンロードのブロック、パスワード侵害の警告、そしてGoogle ドライブのファイルスキャンなどのメリットがあります。
これにより、Google ドライブ利用時の危険なサイトアクセスや悪意あるファイルのダウンロードリスクを低減できます。設定の確認と有効化をおすすめします。
セーフブラウジングの設定方法は、以下の通りです。
- Google Chrome の設定画面から「プライバシーとセキュリティ」>「セキュリティ」を選択
- 「セーフブラウジング」の項目で「強化された保護」を選択
➤Free Wi-Fi の利用回避
Free Wi-Fi は便利ですが、セキュリティリスクが高いため Free Wi-Fi に繋いだ状態での Google ドライブの利用は避けるべきです。Free Wi-Fi は、データ通信の暗号化処理が行われていないケースも多く、データの不正閲覧や盗難被害への懸念もあります。データを安全に保護するためにも、業務での Free Wi-Fi の使用禁止を徹底することをおすすめします。
やむを得ず利用する場合は、VPN の使用、HTTPS 接続の確認、重要な操作の回避を検討しましょう。最も安全なのは、自宅や職場のネットワーク、またはスマートフォンのテザリング利用です。
ビジネス利用なら Google Workspace が安心!
無料版 Google ドライブでできる最低限のセキュリティ対策をご紹介しましたが、これらはあくまで個人利用や小規模なチームでの「最低限」の対策です。企業として機密情報や顧客情報を扱う場合、無料版ではセキュリティ面で十分とは言えません。
ビジネスで Google ドライブを利用するなら、Google Workspace の導入を強くおすすめします。Google Workspace は、Gmail、Google ドキュメント、Google スプレッドシートなど、Google ドライブを含むさまざまなビジネスツールが統合されたクラウドサービスであり、企業向けの強力なセキュリティ機能が多数搭載されています。
➤Google Workspace が提供する強力なセキュリティ機能
Google Workspace が提供するセキュリティ機能は、無料版では利用できない高度なものが多く、企業の情報資産を多角的に保護します。
管理者による2段階認証の強制
無料版の Google アカウントでは、ユーザー自身が2段階認証を設定するかどうかに委ねられていますが、Google Workspace では、管理者が全ユーザーに対して2段階認証の利用を義務付けることができます。これにより、以下のようなメリットがあります。
- セキュリティレベルの統一
従業員全員が2段階認証を利用することで、組織全体のセキュリティレベルを底上げできます。 - パスワード漏えい時のリスク軽減
たとえパスワードが漏えいしても、2段階認証が設定されていれば不正ログインを阻止できる可能性が高まります。 - セキュリティ意識向上
義務的に設定させることで、従業員のセキュリティ意識向上にも繋がります。
管理者は、2段階認証未設定のユーザーに設定を促したり、未設定のユーザーからのアクセスを制限したりすることも可能です。これにより、組織として一貫したセキュリティポリシーを適用し、リスクを最小限に抑えることができます。
より詳細なファイル共有範囲の制御
Google Workspace では、ファイル共有に関するよりきめ細やかな制御が可能です。無料版の「リンクを知っている全員」や「制限付き」といった基本的な設定に加え、以下のような詳細な設定ができます。
- 組織内共有のデフォルト設定
外部共有を禁止し、組織内のユーザーのみにファイルを共有するようにデフォルト設定できます。これにより、意図しない外部への情報漏えいを防ぎます。 - ドメイン単位での共有制限
特定のドメインを持つユーザーとのみ共有を許可するなど、共有相手を細かく制限できます。取引先など、特定の外部パートナーとのみ安全に情報共有したい場合に有効です。 - 共有権限の詳細な設定
閲覧者、編集者といった権限設定に加え、ダウンロード、印刷、コピーの可否を設定することも可能です。これにより、ファイルの持ち出しや複製を防ぎ、情報漏えいのリスクをさらに低減できます。
これらの機能により、管理者は企業のセキュリティポリシーに則った厳格なファイル共有ルールを適用し、情報漏えいのリスクを大幅に軽減することができます。
クライアントサイド暗号化
Google Workspace の一部プラン( Enterprise Plus など)では、「クライアントサイド暗号化(CSE)」という機能が提供されています。これは、Google ドライブにファイルをアップロードする前に、ユーザー側でファイルを暗号化する機能です。
通常、Google ドライブにアップロードされたデータは Google によって暗号化されます(サーバーサイド暗号化)。しかし、クライアントサイド暗号化は、Google のサーバーにデータが到達する前に、ユーザーのデバイス上で暗号化を行うため、Google でさえも暗号化されたコンテンツにアクセスすることができません。
クライアントサイド暗号化は、金融機関や医療機関など、特に厳格なセキュリティ要件が求められる企業にとって、非常に有効なセキュリティ対策となります。
セッション期間の設定
Google Workspace の管理者は、Google アカウントへのログインを維持する「セッション期間」を設定できます。これにより、不正利用リスクを低減できます。設定例としては、セッション期間の短縮(例:1時間、1日)、非アクティブ時の自動ログアウト、管理側からの強制ログアウトなどです。
セッション期間を適切に設定することで、デバイス紛失時や第三者による PC 操作時でも、Google ドライブなどへの不正アクセスを防ぎやすくなります。特に、共有 PC や外出先での利用が多い従業員には短いセッション期間が有効です。
➤Google Workspace で業務効率化も実現
Google Workspace は、すでに述べたように無料版 Google アカウントよりもきめ細やかなセキュリティ設定を行えます。セキュリティレベルの向上はもちろんのこと、業務効率化に貢献する多様な機能も提供しています。Gmail 、カレンダー、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどがシームレスに連携し、情報共有や共同作業を円滑にします。複数人での同時編集機能はチームの作業効率を向上させ、変更履歴も自動保存されます。Google Meet や Chat を活用したリアルタイムコミュニケーションは迅速な意思決定を支援。管理コンソールにより、IT 環境の一元管理も可能です。
Google Workspace は、セキュリティと利便性を両立させ、企業が安心してクラウドサービスを活用し、生産性を高めることを可能にします。
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すでに Google Workspace をお使いの方へ:さらなるセキュリティ強化の重要性
Google Workspace をすでに導入している企業も、セキュリティ対策について、継続的に見直し、強化する必要があります。具体的には、組織規模や情報機密性に応じた共有設定・デバイス管理の最適化、最新セキュリティ機能の活用、従業員への継続的なセキュリティ教育、ログの監視・監査、デバイス管理の徹底が挙げられます。
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Google ドライブのセキュリティ強化で、安全な情報共有と業務推進を
無料版 Google ドドライブを利用している場合、情報漏えいや不正アクセスのリスクがあることを念頭に置き、アクセス権限の制限や2段階認証、バックアップなど最低限の対策を行いましょう。ビジネスで利用する場合は、 ビジネス向けセキュリティ機能をはじめ、業務効率化をサポートする機能が充実している Google Workspace の導入をおすすめします。
すでに Google Workspace を導入済みの場合は、定期的にセキュリティ設定を見直し、必要に応じて専門家のサポートを受けるなど、さらなるセキュリティ強化に努めましょう。
Google ドライブのセキュリティ強化は、リスク回避だけでなく、安全な情報共有と業務推進、ひいては企業の信頼性向上に繋がります。この記事の対策を参考に、情報資産を保護し、Google ドライブを最大限に活用してください。


