Google Workspaceのカーボン フットプリント レポート|メリット・確認手順・注意点

コラム更新日:2026.10.19

企業のESG対応が求められる中、自社のCO2排出量把握に課題を抱える担当者は少なくありません。この記事では、Google Workspaceのカーボン フットプリント レポートについて解説します。この機能を活用することで、日々の業務で利用するツールの環境負荷を可視化し、脱炭素化に向けた具体的なアクションにつなげることができます。

▼Google Workspaceの基本と、企業・組織の導入事例を知りたい方はこちら
>>Google Workspaceとは?できること・使い方・料金をわかりやすく解説

TSクラウドロゴ

執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

※名称変更に関するお知らせ: NotebookLMは、2026年7月に「Gemini Notebook」に名称が変わりました。メディア内では旧名称が利用されていることがあります。その場合は、Gemini Notebookに読み替えてご確認ください。

目次

Google Workspace導入支援サービス

Google Workspaceのカーボン フットプリント レポートとは?

Google Workspaceの「カーボン フットプリント レポート(Carbon Footprint)」は、組織のGoogle Workspace利用による温室効果ガス(CO2換算)排出量を可視化する機能です。まずは、機能の概要と把握できる内容を押さえておきましょう。

組織全体のCO2排出量を自動で可視化する機能

企業が日々の業務でGoogle Workspaceを利用する際、その裏側ではGoogleの巨大なデータセンターが稼働しており、サーバーやネットワーク機器を動かすために大量の電力を消費し、間接的に温室効果ガスを排出しています。「カーボン フットプリント レポート」は、自社のGoogle Workspace利用によって発生したCO2排出量を自動的に計算し、管理ダッシュボード上でわかりやすく可視化してくれる機能です。

通常、自力でクラウドサービス利用によるCO2排出量を正確に算出するのは困難です。しかし、この機能を利用すれば、国際的な算定基準に沿ってGoogleが推計した信頼性の高いデータを、複雑な計算や設定なしに取得できます。自社の事業活動が環境に与える負荷を定量的に把握し、社外に向けたサステナビリティ報告や、社内での環境改善活動の基礎データとして役立てることが可能です。

GmailやGoogle ドライブなど主要アプリごとの排出量を把握できる

このカーボン フットプリント レポートの特徴は、Google Workspace利用分の総排出量だけでなく、主要なアプリケーション別の排出量も確認できる点です。たとえば、GmailやGoogle ドライブ、Google Meet、Google ドキュメントなどの利用状況に基づき、どのアプリが環境負荷に大きく影響しているかを把握できます。これにより、「Google ドライブでのデータ保管が全体の排出量の大部分を占めている」「オンライン会議が集中した月はGoogle Meetの排出量が増加している」といった具体的な傾向が見えてきます。

アプリごとの内訳を詳細に分析することで、「もう使っていない大容量ファイルの削除」「不要なCCメールの削減」「カメラオフでの会議の推奨」など、社内の運用ルールを見直し、より効果的なCO2削減アクションの立案につなげるといった使い方もできます。

過去最大12か月分の推移データと前月との比較表示が可能

カーボン フットプリント レポートでは、月単位でのCO2排出量を確認でき、前月分を最新として最大12か月分のデータが提供されます。月次のレポート画面には前月のデータとの比較も表示されるため、排出量の増減トレンドを直感的に把握できます。これにより、アカウント数の大幅な増加といった利用状況の変化や、社内で実施したデータ整理やエコ活動などの削減施策の効果を、具体的な数値として客観的に評価することが可能です。

管理コンソールでの確認手順と必要な権限の設定方法

カーボン フットプリント レポートを利用するには、Google Workspaceの管理コンソールにアクセスする必要があります。ここでは、レポート画面を表示する方法と、情報システム部門以外の担当者へ安全にレポートの閲覧権限を付与する方法、アプリ別の確認について解説します。

管理コンソールからレポート画面を表示する基本ステップ

特別な初期設定や複雑な計算式などは必要なく、数クリックで確認できます。

【カーボン フットプリントの確認手順】

  1. Google Workspaceの管理コンソールにログイン
  2. 画面左側のメニューから「レポート」を選択
  3. 「Carbon Footprint」をクリック
  4. ダッシュボードが開き、組織全体の排出量や月ごとの推移を確認可能

なお、この画面を確認できるのは、Google Workspaceの管理者権限があるユーザーと、閲覧権限が付与されているユーザーです。もしもメニューが表示されない場合は、情報システム担当者に設定状況をご確認ください。

レポート閲覧に必要な権限とカスタムロールの付与手順

企業のサステナビリティ担当者やESG推進部門など、情報システム担当者(特権管理者)以外のメンバーがレポートを定期的に確認したい場合、Google Workspaceのすべての設定を変更できる権限をそのまま付与するのはセキュリティの観点から推奨されません。閲覧権限のみを切り出した「カスタムロール」を作成して閲覧ユーザーを割り当てる運用を推奨します。

【新しいロールの作成方法】

  1. 特権管理者が管理コンソールにログイン、「アカウント」→「管理者ロール」に移動
  2. 「新しいロールを作成」に進み、ロール名などを入力
  3. 権限名リストで「サービス」→「サステナビリティ」の順に展開し、「Carbon Footprintのレポート」にチェックを入れる
  4. ロールを保存して、ユーザー(担当者)を割り当てる

作成したカスタムロールを該当の担当者に付与することで、他の重要なシステム設定に影響を与えるリスクを排除しつつ、安全に環境データのみを閲覧できる環境を整備できます。

主要アプリケーション別の排出量の確認方法

管理コンソールのダッシュボード内では、月単位でアプリケーション別のCO2排出量を確認できます。任意の期間を指定して、その期間内における特定のアプリの合計排出量を表示することも可能です。

この機能を活用することで、日々のメールの送受信や長時間のオンライン会議など、社内の日常的な業務プロセスがどの程度の環境負荷を生み出しているのかを、具体的に把握できます。排出量が急増しているアプリがあった場合は、その原因となる業務の無駄を特定し、不要な大容量データの削除やコミュニケーション手段の最適化といった、脱炭素に向けた新しいルール作りや具体的な削減目標の設定に活用可能です。

企業のESG・サステナビリティ開示(Scope3)への活用方法

カーボン フットプリント レポートで取得したCO2排出量データは、企業が社会に向けて環境負荷情報を開示する際に強力な裏付けとなります。ここでは、国際的な算定基準への反映や、環境報告書への具体的な活用方法について解説します。

GHGプロトコル「Scope3 カテゴリ1(購入した製品・サービス)」算定への反映

企業がサプライチェーン全体の温室効果ガスの排出量を算定する際、世界で最も広く利用されている国際基準が「GHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)」です。GoogleはこのGHGプロトコルを使用してレポートを作成しており、Google Workspaceの利用に伴う排出量は「Scope3(自社以外のサプライチェーン排出量)」の「カテゴリ1(購入した製品・サービス)」の一部に該当するため、レポートの数値をそのまま転記できます。

従来、こうしたクラウドサービスの排出量は、利用料金ベースの概算値で計算されることが多く、実態との乖離や精度の低さが課題となるケースがあります。カーボン フットプリント レポートでは、Googleの実測推計値に基づいた信頼性の高いデータを直接取得できるため、より精緻で透明性の高いScope3の算定と外部への情報開示の実現につながります。

ESG開示基準(SSBJ基準・GRI規格など)に対応した環境報告書・開示資料への記載

近年、企業に対するESG情報の開示要求は投資家や社会全体から強まっており、大手企業がサプライチェーン全体の排出量削減を進める中、中小企業に対してCO2排出量データの提示や削減を求める動きもあります。カーボン フットプリント レポートから得られたデータは、企業の統合報告書やサステナビリティレポート、温室効果ガス算定シートなどに、具体的な環境データとして記載することができます。

たとえば、「Google ドライブ上の不要な大容量ファイルの削除や、古いメールデータの整理を徹底した結果、クラウド利用に由来するCO2排出量を前年比○○%の削減に成功した」といった、定量的なアピールに活用可能です。客観的な実測データに基づく環境配慮への取り組みにより、企業の信頼性向上も期待できます。

カーボン フットプリント レポートを利用する際の4つの注意点

カーボン フットプリント レポートは便利な機能ですが、仕様上の制限や留意事項も存在します。企業の情報システム部門やサステナビリティ担当者は、以下の4つを押さえておきましょう。

データが反映されるまで一定のタイムラグがある

カーボン フットプリント レポートのデータは、利用したその日のうちにリアルタイムで反映されるわけではありません。世界中のデータセンターにおける実際の利用状況とエネルギー消費量を詳細に集計し、国際基準に沿った複雑な算出処理を行うため、月次の排出量データがダッシュボードに反映されるまでには一定のタイムラグが生じます。

特に、Google Workspaceを新規に導入した企業の場合、数か月分のデータが蓄積された後に初回のレポートが生成されます。導入直後からレポートを確認できるわけではないため、環境報告書などを作成する際は、このデータ反映のタイミングと初期の待機期間をあらかじめスケジュールに組み込んでおく必要があります。

Gemini for Google Workspaceの排出量は計算対象外

Google Workspaceには、生成AI「Gemini for Google Workspace」が搭載されていますが、現時点(2026年10月)では、Gemini for Google Workspaceの利用による排出量は計算に含まれません。そのため、Geminiによる高度な処理を日常的に利用している企業であっても、その分の環境負荷はレポート上の数値には反映されない点に注意が必要です。公式の算出対象範囲を正しく理解し、自社の全体的な排出量を評価・報告する際の前提条件として、社内で共通認識を持っておく必要があります。

過去データの保持期間は最大12か月のため定期的なエクスポートが必要

上述のとおり、管理コンソールのダッシュボード上で閲覧できる月別データは、前月から起算して過去最大12か月分です。それ以前の古いデータは、画面上から順次閲覧できなくなってしまいます。企業が長期的なデータを管理・分析するためには、毎月または四半期ごとなどタイミングを決めて定期的にデータをエクスポートし、自社のGoogle ドライブやファイルサーバーなどで管理する運用ルールが必要です。

Google Workspaceで確認できるのは「位置情報基準」のみ

カーボン フットプリント レポートで算出されるCO2排出量は、温室効果ガスの算定手法(GHGプロトコル)における「位置情報基準」と呼ばれる方法で算出されます。データセンター所在地の平均的なCO2排出量をもとに計算されるため、Google自身が行っている再生可能エネルギーの購入やカーボンフリー電力契約といった取り組みは、レポートの数値に直接反映されません。Googleの環境活動によってレポート上の数値が減るわけではない点に、留意しておきましょう。

脱炭素経営の観点からGoogle Workspaceを利用するメリット

クラウドツールの選定は、業務効率化だけでなく脱炭素経営のためにも重要です。環境配慮の観点からGoogle Workspaceを導入するメリットとして、以下の2つが挙げられます。

オンプレミス運用と比較したCO2排出量の削減効果

自社内にファイルサーバーやメールサーバーなどの機器を保有し運用する従来のオンプレミス環境では、サーバー機器自体の稼働やそれを冷却するための空調設備に電力を消費し、間接的かつ継続的にCO2を排出します。

一方、システムをGoogle Workspaceに移行してクラウド化することで、これらの機器を自社で維持・管理する手間を削減できます。Googleのデータセンターは、独自の冷却技術やAIを活用した緻密な電力制御などにより、世界トップクラスの優れたエネルギー効率を誇っています。そのため、一般的な企業の自社サーバー運用と比較して、システム全体の消費電力とそれに伴うCO2排出量を削減でき、クラウドを利用するだけで脱炭素経営に貢献できます。

プラン料金内で算定データを取得できるコストパフォーマンス

業務で利用するITツールやクラウドサービスのCO2排出量を把握しようとする際には、個々のベンダーへの問い合わせや専門ツールの利用など、確認の手間や追加コストが発生しがちです。Google Workspaceには「カーボン フットプリント レポート」が標準搭載されているため、既存のプラン料金内で利用実績に基づくCO2排出量データを取得できます。日常的に使うツールの環境負荷を確実かつ手軽に把握できる点は、脱炭素経営の一歩を踏み出したい企業にとってメリットでしょう。

\ Google Workspaceのプラン比較はこちら /

料金ページを確認する

Google Workspaceのレポートを活用して企業の脱炭素開示を効率化しよう

カーボン フットプリント レポートは、組織がGoogle Workspaceを利用することで発生する環境負荷を可視化し、脱炭素経営をサポートする便利な機能です。手軽に信頼性の高いデータを取得することで、効果的な脱炭素アクションの立案や透明性の高い情報開示を実現し、自社の信頼性を高めていきましょう。

もっと読む