コラム更新日:2026.08.24

業務で利用するパソコンやスマートフォンの紛失・盗難は、重大な情報漏洩に直結します。Google Workspaceで、事前に端末紛失対策を講じておくことで、万が一の事態が発生した場合でも、企業データを迅速に保護できます。

今回は、Google Workspaceのモバイル管理における2種類の管理方法と、BYOD(個人端末の業務利用)運用時の注意点、緊急時のリモートワイプ手順などを解説します。従業員が端末を紛失した場合に備えて、どのような対策が必要か、把握しておきましょう。

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執筆・監修:TSクラウド編集部

Google Cloud の「プレミア認定」を保有する、Google Workspace 正規販売代理店です。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上の導入支援実績( 2026 年 2 月時点)に基づき、Google Workspace の最新機能から活用術、DX推進に役立つノウハウを専門的な視点で解説しています。

※情報は記事公開(更新)時のものです。Google Workspace の仕様や価格は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

※名称変更に関するお知らせ: NotebookLMは、2026年7月に「Gemini Notebook」に名称が変わりました。メディア内では旧名称が利用されていることがあります。その場合は、Gemini Notebookに読み替えてご確認ください。

目次

Google Workspaceでできる端末紛失対策とは?

Google Workspaceには端末を紛失した際に、データを保護する「エンドポイント管理機能」が標準搭載されています。従業員が社用パソコンやスマートフォンを紛失(盗難)した際に、どのようなことができるのかを把握しておきましょう。社内データや顧客情報などへのアクセスを遮断し、被害を最小限に抑えます。

モバイルの「基本管理」「詳細管理」でできること

モバイル管理には「基本管理」と「詳細管理」の2つのレベルがあります。基本管理では、管理者の承認なしでユーザーが自らアカウントを追加でき、画面ロックの義務付けやアカウント単位のリモートワイプ(データの遠隔消去)といった標準的な機能を利用できます。一方、詳細管理では、画面ロックのより厳密なパスコードポリシー設定、管理者によるデバイス登録の承認制、特定の端末に対する企業データのアクセス制御など、高度なセキュリティ制限を適用可能です。

「詳細管理」の機能はBusiness PlusやEnterpriseといった上位プラン、またはFrontlineなどの特定プランで利用可能なため、自社の契約プランの確認が必要です。

BYODで消去できるデータの範囲

個人所有の端末を業務で利用するBYOD(Bring Your Own Device)運用において、端末紛失時に実行するリモートワイプ処理には注意が必要です。管理コンソールからワイプ処理を実行する際、「アカウントのワイプ」を選択すれば、端末内に保存された会社のアカウント情報や業務データのみを狙って消去できます。これにより、従業員個人の写真や連絡先などのプライベートデータを残したまま、企業の情報だけを削除することが可能です。

ワイプの手順や操作を誤ると、モバイル端末に保存されている個人データも完全に消去され、端末全体が初期化されてしまいます。運用のトラブルを防ぐためにも、ワイプ手順をマニュアル化して、事前に別端末でテストを実施しておくことを推奨します。

パソコンとモバイル端末では管理方法が異なる

Google Workspaceにおけるエンドポイント管理は、操作対象がモバイル端末か、あるいはパソコンかによって仕様や管理方法が異なります。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末では、MDM(モバイルデバイス管理)機能によって、リモートワイプや画面ロックの強制を設定可能です。

一方のパソコンでは、「アクセス遮断(ログアウト・ブロック)」や「事前のセキュリティポリシー強制」といった管理が基本です。モバイル端末と異なり、「端末自体の初期化(デバイスをワイプ)」や「仕事用データのみの消去(アカウントをワイプ)」は、パソコンに対しては実行できません(※例外あり)。事前の対策として、データのダウンロード制限、「Google ドライブ」のオフラインアクセス無効化、OS標準機能(BitLockerやFileVault)によるストレージ暗号化などが重要です。

端末紛失に備えて設定しておきたいGoogle Workspaceの管理機能

端末の紛失や盗難が発生した際、迅速に被害を防ぐためには事前設定が不可欠です。Google Workspaceの管理者コンソールに備わっている多様なエンドポイント管理機能をあらかじめ有効化しておくことで、有事の際にも慌てずに対応できるようになります。

モバイル端末管理とリモートワイプ機能の有効化

端末紛失に備える最も基本的な対策は、自社のGoogle Workspaceにモバイル端末を登録して、企業が管理できる状態にしておくことです。紛失しても、管理者は管理コンソールからの遠隔操作で、「アカウントのワイプ(仕事用データのみ削除)」または「デバイスのワイプ(端末全体の初期化)」が可能となります。

ただし、「基本管理」と「詳細管理」ではワイプ可能な範囲が異なるため、あらかじめ管理レベルごとの動作を把握しておくことが重要です。なお、リモートワイプを実行する際の注意点と緊急時の対応フローは、この記事の後半で解説しています。

BYOD運用における企業データと個人データの隔離設定

個人端末(BYOD)を業務で安全に使用するためには、企業データと個人データを明確に隔離する設定が不可欠です。Androidにおいては「仕事用プロファイル」と呼ばれる独立した領域が端末内に作成され、個人用領域のアプリへ会社データをコピー&ペーストする行為を防止できます。加えて、仕事用プロファイルのアプリは、個人用プロファイルのSMS・MMSデータにアクセスできない仕様となっています(Android11以降)。

iOSの端末に対しては、管理コンソールの「データ操作」設定で、個人用アプリ(チャットやSNSなど)へ会社の機密データをコピーしたり、組織外へ共有したりできないよう制限をかけられます。こうした事前の対策により、私用端末からの情報漏洩リスクを低減できます。

自社の端末環境に応じた管理レベル(基本・詳細)の適用

Google Workspaceのモバイル管理機能は、「基本管理」と「詳細管理」の2つの管理レベルがあり、利用できる機能が異なります。「基本管理」は、画面ロック、アカウントのリモートワイプ(遠隔消去)、デバイスのブロックなど、基本的な機能のみを必要とする場合に適用します。

会社支給の端末(組織所有デバイス)に対しては、安全性を最優先し、デバイスからのアクセス承認や初期化なども可能で、高度なセキュリティポリシーを設定できる「詳細管理」の適用を推奨します。特に、従業員個人の端末(BYOD)を業務で使用する企業においては、個人データのプライバシーに配慮しつつ、仕事用データのみを分離して制御する「詳細管理」を適用して、仕事用プロファイル(Android)やユーザー登録(iOS)を設定するのが適切です。

紛失時対応の失敗を回避するために知っておきたい注意点

端末紛失・盗難などの緊急事態において、管理者が仕様上の注意点をあらかじめ把握していないと、リモートワイプが正常に動作せず、深刻な情報漏洩に発展する危険性があります。主な注意点として、次の3点が挙げられます。

アカウントを削除・停止するとリモートワイプが送信できない

紛失事故が起きた際、焦って最初に対象ユーザーのGoogle Workspaceアカウントを削除あるいは停止したくなりますが、これは誤った対応です。Google Workspaceの構造上、アカウントが削除・停止されると、対象の端末に対して管理コンソールからのリモートワイプ指令を発行できなくなるか、または端末側に指令が到達しなくなってしまいます。

緊急時のフローとしては、「まずワイプ指令を送信して端末側へ到達・実行させる」ことを優先します。ワイプの完了を確認できてから、パスワード変更・セッションの切断・アカウント停止などの制御を行い、クラウド側への不正アクセスを遮断します。

端末がオフラインの場合は管理できない

管理者コンソールからリモートワイプコマンドを発行しても、対象となる端末がオフライン状態にある(機内モード設定、電波の届かない圏外、電源オフなど)場合は、端末側でワイプが実行されません。端末がオンラインへ復帰した時点でワイプが開始されますが、それまでの間に、第三者によるパスコード解析や社内データへのアクセス、アカウントの乗っ取りといったことが懸念されます。

そのため、オフライン中のリスクを想定し、事前に「コンテキストアウェアアクセス」を導入しておくのが有効です。万が一、オフライン中に端末の画面ロックを突破されて、オンラインにつながれたとしても、許可されたIPアドレス以外や特定の地域(日本国外など)からのアクセスを動的にブロックできます。併せて、「アクセス権限の即時変更」などの、追加の対策をあらかじめ整えておくことも大切です。

取り外し可能なストレージのデータは削除できない

MicroSDカードやUSBメモリなど、取り外し可能な記録媒体(外部ストレージ)に格納されたデータは、リモートワイプで削除されません。そのため、すべての業務データは個人端末のローカル環境や外部の記録媒体ではなく、「Google ドライブ」のみに格納・保存する運用ルールの周知徹底が不可欠です。さらに技術的な仕組みとして、モバイルの「詳細管理」で、外部記憶媒体そのものをブロックすることも可能です。

【緊急時】端末紛失時に管理者が行うべき対応フロー

社員から「端末を紛失した」と報告を受けたら、二次被害となる情報漏洩を最小限に防ぐため、管理者は冷静かつ迅速に対処を進める必要があります。 緊急で行うべき対応は、次の3段階です。

①管理者コンソールからのリモートワイプ実行

まず最初に、管理者コンソールから対象端末を指定し、リモートワイプを実行します。このとき、BYODで社用領域のみを削除する場合は「アカウントをワイプ」、社用端末でモバイル自体を初期化する場合は「デバイスをワイプ」を確実に選択してください。「仕事用プロファイル」を設定せず使っている端末や、古いモバイル端末で「個人用」と「仕事用」の区別があいまいな場合は、「アカウントをワイプ」を実行した場合でも、プライベートの写真やアプリなども含めた全データが消去(初期化)されるため、実行前に従業員に確認することをおすすめします。

送信されたワイプ指令は、端末がネットワークに接続されていれば即時実行されます(インターネットに接続されていない場合は、デバイスがワイプ指令を受信するまで待つことになります)。焦らずに適切なワイプ(削除)範囲を選択することで、従業員個人のプライバシーを守りつつ、会社のデータ漏洩を防ぐことが可能です。

②対象アカウントを強制ログアウト

管理者コンソールから対象ユーザーのアカウントのログインセッションを切断し、Google アカウントからの強制サインアウト(強制ログアウト)を実行します。これにより、第三者が不正にクラウド上のデータへアクセスするリスクを直ちに遮断できます。

なお、前述の通り、リモートワイプよりも前にアカウントを削除(停止)してしまうと、リモートワイプ指令を出しても、端末側で受信できなくなってしまいます。必ず、ワイプ指示を先に出しましょう。

③ワイプ実行確認と監査ログ調査・社内外への報告

リモートワイプ指令の送信後は、管理コンソールで、ワイプ処理が正常に完了したかどうかを確認します。併せてGoogle Workspaceの管理ログ(監査ログ)を精査し、紛失からワイプ実行までの間に不正なログイン履歴や、異常なファイルダウンロード処理が行われていないかを調査します。万が一、不審なアクセスが認められた場合は、被害状況を整理した上で、セキュリティガイドラインに沿って、社内関係部署や社外の取引先・公的機関へ事故報告を行います。

端末紛失対策を自社に定着させ、情報漏洩を防ぐ運用ポイント

単に技術的なセキュリティ設定を行うだけでは、実際の紛失を防ぐことはできません。Google Workspaceで高度な管理機能を活用しても、社内の運用ルールや報告体制が形骸化していては有事の際に対応が遅れるためです。以下のように、社内の運用ルールや報告体制を整備し、組織全体に定着させることも、セキュリティ対策となります。

社員が迷わず即座に報告できる「緊急連絡フロー」の整備

初動が遅れる原因の1つに「報告の遅れ」があります。従業員が「もう少し探してみよう」「怒られるかもしれない」などと思って報告が遅れると、その間に情報が流出する恐れがあります。そのため、紛失に気づいた時点で直ちに管理者・情報システム部門へ連絡できる、明確な「緊急連絡フロー」をあらかじめ整備しておくことが重要です。また、報告した社員を過度に責めない文化を醸成し、何よりも初期対応のスピードを最優先させる運用体制を組織全体で築くことも求められます。

自社に最適なGoogle Workspaceプランの選定

強固な端末紛失対策を実現するためには、自社のセキュリティレベルに応じた適切なプランの選定が欠かせません。高度なデバイス承認機能や細やかなアクセス制御に対応した「詳細管理」機能は、Business PlusやEnterpriseといった、セキュリティを強化した上位プランで提供されています。自社で必要な管理レベルを明確にし、コストとセキュリティのバランスを見極めながらプランを見直すことが重要です。

▼企業向けの主要プランを比較して、それぞれの特徴や料金などを解説しています。プラン選びのポイントも解説していますので、参考にしてみてください。

適切な管理設定と運用フローで万全の端末紛失対策を

Google Workspaceを利用する上で、端末の紛失や盗難を想定し、事前にしっかり対策しておくことが重要です。基本管理と詳細管理の違い、BYOD運用での隔離設定、リモートワイプの実行手順・注意点などをあらかじめ整理しておくことが、情報漏洩事故を防ぐ鍵となります。

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