Google Vault とは?機能や使い方から料金プランまで詳しく解説
コラム更新日:2025.08.18
Google Workspace には、社内メールやビデオ会議、会話ログを永久に参照できる Google Vault 機能があり、業務データの監査が必要な企業には必須のツールとなっています。
本記事では、Google Vault の基本的な機能から操作の概要、サポートするサービス、そして導入するメリットや料金プランまで、Google Vault の重要性について、詳しく解説していきます。
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執筆・監修:TSクラウド編集部
Google Workspace 正規代理店のうち、最も高いランクのプレミア資格を持っています。業界歴 17 年、延べ 3,500 社以上へのサービス提供で培った知識と経験を活かし、Google Workspace の情報を発信しています。
Google Vault とは?
Google Vault は、Google Workspace の情報ガバナンスおよび電子情報開示(eDiscovery)ツールです。組織の電子情報を保持、検索、書き出し、監査するための機能を提供し、法的義務やコンプライアンス要件への対応を支援します。
➤Google Vault の基本
Google Vault は、Google Workspace で利用する Gmail や、チャットのやり取り、Google Meet の録画ファイル、Google ドライブのストレージ内に保存される Google ドキュメント、Google カレンダーなどのデータを一元的に管理し、保持期間の設定や法的ホールド(リティゲーションホールド)の適用を可能にします。
これにより、データの散逸を防ぎ、必要な情報をいつでも取り出せる状態に保つことができます。
Google Vault が利用できる Google Workspace のプランについてはこちらで確認できます。
➤Google Vault はどんな場面で役立つ?
Google Vault を導入をすれば、コンプライアンス関連のリスクを軽減することができます。たとえば、企業が何らかの不祥事で裁判が起こった場合、Google ドライブ内などにある過去のログを素早く掘り出し、裁判所へ電子情報開示することが可能です。いつ起きるかわからない訴訟のリスクを考えると、Google Vault は企業にとって重要なツールであるといえるでしょう。
Google Vault でできること・使い方
Google Vault の主な機能とその使い方について解説します。
関連記事:Google Vault でできること。使い方や権限設定、保持期間など徹底解説!
➤1.記録保持(リティゲーションホールド)
訴訟や調査に関連する可能性のある情報を保存し、削除や変更から保護する措置を「リティゲーションホールド」といいます。Vault の記録保持(リティゲーションホールド)を設定することにより、データを適切に保持し、法的義務やデータ保全義務を果たすことができるのです。もし記録保持対象のユーザーがデータを削除した場合でも、データはユーザーの画面上では削除されますが、Vault 内には保持されます。記録保持が設定されている限り、管理者はデータの検索と書き出しを行うことが可能です。
➤2.検索
Google Vault に保存されているデータは、日付やキーワードなどを設定することで、ユーザーアカウントや部門組織ごとに検索することができ、該当するコンテンツを含むファイルを取り出すことができます。
業務情報は各ユーザーアカウントと同期しているため、電子情報開示を求められた場合でも迅速に情報を提供することができます。
使い方は以下の通りです。
- Google Vault にログイン
- 案件を作成
- 検索条件の入力
- Gmail のメールや従来のハングアウトのメッセージを検索
- Google ドライブ内のファイルを検索
- 結果をプレビューする
- 検索クエリを保存する
➤3.書き出し
検索で見つかったデータは、まとめて書き出す(エクスポート)ことができます。Google Vault の書き出し機能を使用することにより、次のデータを得られます。
- 検索条件に一致する全てのデータが1つのファイルにまとまったコピー
- 書き出したデータをドメイン内の個々のユーザーとリンクするためのメタデータ
- 書き出したデータが、Google のサーバーに保存されているデータと一致することを証明するために必要となる確認情報
書き出されたデータは、標準的なファイル形式でダウンロードでき、オフラインでのレビューや第三者への提出に利用できます。書き出しの際には、データの整合性が保たれるように設計されています。
➤4.監査レポート
Vault の監査を使用することにより、保持ルールを編集したアカウントや組織のデータを検索したアカウントなどの確認といった、Vault ユーザーのアクティビティに関する詳細情報を取得することができます。Vault ユーザーとは、Vault にログインして操作を行う権限を持つアカウントのことを指します。使い方は以下の通りです。
- Google Vault で「レポート」から「監査」へアクセス
- 「期間を選択」で、監査の開始日と終了日を指定
- 「Vault ユーザーを選択」で、監査の対象ユーザーを指定( Vault の権限を持っているVault ユーザーを入力)
- 「操作の種類を選択」で、監査情報が必要な操作のチェックボックスをオンにする
- 「CSV 形式でダウンロード」をクリック(監査情報を含む CSV ファイルがデバイスにダウンロードされる)
Vault 監査レポートは CSV ファイルとして書き出すことができるほか、CSV ファイルはGoogle スプレッドシートなど任意のスプレッドシートビューアで閲覧できます。監査レポートに記録された操作は、組織や企業で Vault を使用し続ける限り、Google または Vault の管理者・ユーザーが削除することはできません。組織で Vault サービスを終了すると、その約 30 日後に監査データが削除されます。
Google Vault がサポートするサービスとデータ
Google Vault がサポートする主な Google Workspace サービスとデータタイプは以下の通りです。
| 保持 | 記録保持 | 検索と書き出し | |
| Gmail | ◯ | ◯ | ◯ |
| Google ドライブ内のファイル | ◯ | ◯ | ◯ |
| Google グループ | ◯ | ◯ | ◯ |
| Google Chat | ◯ | ◯ | ◯ |
| 従来のハングアウト | Chat のルールの対象 | Chat の記録保持の対象 | Gmail の検索と書き出しを利用 |
| Google Meet | Meet 固有のルールが有効になっていない限りドライブのルールの対象 | ドライブの記録保持の対象 | ドライブの検索と書き出しを利用 |
| Google Workspace 版 Google Voice | ◯ | ◯ | ◯ |
| Google サイト | サイト固有のルールが無効になっていない限りサイトのルールの対象 | ドライブの記録保持の対象 | ドライブの検索と書き出しを利用 |
| Google カレンダー | ◯ | ◯ | ◯ |
| Google Vids | ドライブのルールの対象 | ドライブの記録保持の対象 | ドライブの検索と書き出しを利用 |
| Gemini アプリ | ✕ | ✕ | ◯ |
※詳細は Google Vault ヘルプにてご確認ください。
Google Vault は必要か?利用するメリット
Google Vault の導入は、企業にとって多くのメリットをもたらします。
➤メリット① 裁判所からの電子情報開示要請に即対応できる
企業は起訴など裁判所からの電子情報開示要請(eDiscovery)があった際には、迅速かつ正確に対応する義務があります。Google Vault を導入していれば、必要なデータを取りまとめて提出できます。
また、2024 年の 1 月から義務化された電子帳簿保存法(電帳法)にも Google Vault は対応しています。
関連記事:【企業向け】Google Vault は電子帳簿保存法に対応!いつから義務化?
➤メリット② 低コストでリスクを回避できる
従来の電子情報開示プロセスでは、外部の専門業者に依頼したり、専用のツールを導入したりするために多額の費用がかかることがありました。Google Workspace のエディション選定の際、Vault を利用できるプランを選択すれば、別途コストが不要で高度なデータ管理と電子情報開示機能を利用できます。これにより、コンプライアンス違反による罰金や訴訟費用といったリスクを、低コストで回避することが可能です。
➤メリット③ 日常のメンテナンスが不要
Google Vault はクラウドベースのサービスであり、Google がそのインフラとメンテナンスを管理します。そのため、企業はサーバーの管理やソフトウェアのアップデートといった日常的なメンテナンス作業から解放されます。IT 部門の負担が軽減され、最新の機能とセキュリティ対策が適用されるため、安心して利用できます。
Google Vault の料金|Google Workspace のプラン
Google Vault は、対象エディションであれば Google Workspace のサービスとして利用でき、別途料金は発生しません。Google Vault でユーザーのデータを検索または保持するための要件は、以下のとおりです。
- Business Plus
- Enterprise Standard、Enterprise Plus
- Frontline Standard、Frontline Plus
- Education のすべてのエディション
- Enterprise Essentials、Enterprise Essentials Plus(ドメインの所有権証明済みのもののみ)
- G Suite Business
Google Vault に関するよくある質問
Google Vault に関するよくある質問とその回答について記載します。
➤特定のサービスなどに対して Vault を無効にできる?
Vault サービスにアクセスできるユーザーは、GmailやGoogleドライブといった特定のサービスに対して個別にオン・オフにすることはできません。
しかし、Vault のデータ保持のルールをサービス単位で制御することは可能です。
➤Vault のデータ保持期間は?
Google Vault では、データの保持期間を柔軟に設定できます。特定の期間(例: 1年間、7年間、期限なしなど)でデータを保持するルールを設定することが可能です。
➤退職者がいる場合、 Vault のデータを残すにはどうしたらいい?
ユーザーを削除すると、そのユーザーの Vault データもすべて削除されてしまうため、退職者のアカウントはすぐに削除しないでください。退職後のユーザーのデータを引き続き Vault で利用できるようにするには、そのユーザーにアーカイブ ユーザー ライセンスを割り当てます。または、ユーザーのアカウントを停止してデータを保持し、サービスを無効にすることもできます。ただし、停止中のアカウントもアクティブなアカウントと同様に請求されます。
Google Vault を活用して組織のデータ管理基盤を強化しよう
Google Workspace を利用する企業にとって、電子情報開示、コンプライアンス遵守、電子帳簿保存法、そして効率的なデータ管理を実現するために、Google Vault は不可欠なツールです。本記事で解説した Google Vault の機能やメリットを理解し、貴社のデータ管理基盤を強化するためにぜひ活用をご検討ください。


